とある日
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~とある生理の日~
今月もやってきてしまった月のもの。
正常な女性なら来て然るべきことなんだけど、体調が悪くなるって分かっていながら喜ぶ人はいないだろう。
中には避妊に失敗していないか心配だから来てくれて嬉しい、と思う人もいるかもしれないけど。
聖臣と同棲を始めて早数ヶ月経つけど、これまでは運良くバレーの遠征やらなんやらで一番体調が優れない日は重ならなかった。
だけど今回ばかりは回避できなさそう。
薬を飲めば痛みは和らぐし、イライラして当たり散らすとかはしないけど、それでもどうにもならないことはある。
そう、匂いだ。
小まめに替えるけど、匂いに敏感な聖臣に臭いって思われるのは嫌だ。
明日はお互いに休み。
極力自室にこもる予定だけど、家にいるのに一度も顔を会わさないのはさすがに難しいかもしれない。
そんな憂鬱な気分で仕事から帰宅すると、まだ聖臣は帰ってきていないようだった。
急いでお風呂に入ろうっと。
部屋着を用意してから、脱衣所に向かおうとしたら、玄関の扉が開いた。
「ただいま~」
「近付かないで!」
「えっ……」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした聖臣。
帰宅早々そんなこと言われたら誰だってそうなるよね。
「………ごめんね、先にお風呂頂きます」
そそくさと逃げるように脱衣所へと入った。
感じ悪かったかな。
シャワーを浴びながら菌と一緒に罪悪感も流れればいいのに。
今日は痛み止を飲んで早めに寝よう。
お風呂から上がり、薬を飲むためにキッチンへと向かうと、リビングにいた聖臣に腕を掴まれた。
「どうしたの?お風呂入らないの?」
帰宅後はすぐにお風呂に入って菌を落とす。
同棲を始めるにあたって聖臣が決めたルール。
今回は帰宅がほぼ同時になってしまったので、聖臣を待たせることになってしまったけど。
「俺、臭かったか?練習終わりだったし……」
神妙な顔付きで聞いてきた。
私のせいなのに自分に原因があると勘違いさせてしまったようだ。
「違っ………私の方が臭かったかなって」
「?●●は別に臭くないぞ」
言っている意味が分からないと言わんばかりに答えた聖臣。
匂いに気付いていないの?
このまま気付かないならその方がいいんだけど、いずれぶつかる問題。
やっぱり今のうちに話をしておいた方がいいのかも。
そもそも聖臣って生理についてどこまで知っているの?
元カノがいたって話は聞いたことがあるから、全くの無知って訳じゃないと思うけど。
「あのね………あまり聞きたくない話だと思うんだけど──」
私は聖臣が極力不快に思わないように言葉を丁寧に選び説明した。
生理のこと。臭いが気になること。自室にこもるけど2.3日で落ち着くから、そっとしておいてほしいこと。
「そうだったのか。知らない間に何かして嫌われたのかと思った」
「ごめん」
「生理の大変さは分からないけど、体調が悪い大変さは分かってやれるから。だから避けるのはやめてくれ。堪える」
「聖臣……」
「放っておいてほしいならそうするけど、何かしてほしいことがあれば遠慮なく言え」
「ありがとう」
こうしたら嬉しいんだろ?と見当違いな場所を擦ってきたり、飲みたくもないホットドリンクを用意してきたり、感謝の押し付けをしてきた元カレとは大違い。
いや、ヤツのことは忘れよう。
今は本当の意味で理解のある聖臣にただただ感謝した。
ーーFinーー