とある日
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~とある休みの日~
新しいスポーツバッグが欲しいとのことで、聖臣とショッピングに来ていた。
ネットで注文すればいいのに、慎重な性格の聖臣はサイズ感を知りたいから、と人混みが嫌いでもお店まで出向く。
「これは?」
「色がちょっと」
「こっちは?」
「デザインがいまいち」
聖臣なら何でも似合うと思うけど、妥協はできないみたい。
これならスポーツメーカーとコラボして作ってもらった方が早そう。
聖臣がデザイン……ちょっと面白いと思った。
その後もあーでもない、こーでもないと鞄を吟味したが、結局理想の物とは出会えなかった。
「いいのなかったね」
「付き合わせて悪かった」
「ウィンドウショッピング好きだから気にしないで」
それに聖臣と人混みに行くデートは貴重だから、どこでも嬉しかった。
だけど、少しだけ歩き疲れたかな。
カフェでコーヒーをテイクアウトして、近くのベンチで一休みすることに。
乾いた喉を潤す冷たいコーヒー。
「ふ~」
天気は良いし、風は心地よいし、コーヒーは美味しいし、なんだか落ち着く。
隣を見れば飲み物を飲むためにマスクをはずしている聖臣。
絵になる。
そのうちCMとか来るんじゃないかな。
来ても断りそうだけど。
しばらくまったりしていると、
「あの、バレーの佐久早聖臣選手ですか?」
「あ……はい」
「私たちファンなんです!サイン下さい!」
ファンだと名乗る女性二人組が聖臣に話しかけてきた。
二人は書くもの、と鞄を漁っているが、急なことで持ち合わせていないのか困っている様子。
でも、そんな顔しなくても大丈夫だよ。
だって聖臣は、
「ペンならある。名前は?」
と、自分の鞄からポストカードとペンを取り出し、スラスラとファンの名前と自分のサインを書いていく。
「はい」
「ありがとうございます!これからも応援していますので、頑張って下さい!」
そういうと軽くお辞儀をして嬉しそうに去っていった二人組。
「聖臣ってさ、ファンのためにペンとポストカード持ち歩いているの優しいよね」
「握手求められたくないし、誰のペンかも分からない物は触りたくないから」
例えそれが理由でも、やっぱり優しいよ。
日頃他人のことをバイ菌にしか思っていなくても、ファンを大切にするところとか。
私が初めて試合会場に行って話しかけたときも、嘔吐事件があったのにも関わらず嫌な顔せずに対応してくれたし。
聖臣と付き合えて本当によかったと思った。
私は幸せ者だ。
「そろそろ帰るか」
「そうだね」
そう言うと無言で手を差し出した聖臣。
「?」
空になったコーヒーカップを渡すと、違うと言われてしまった。
「手だよ、手」
「え!繋いでくれるの?」
付き合ってからもスキンシップ少なめ、外で手を繋ぐなんてもってのほか。
ついさっきだって握手を求められたくないって言っていたのに。
「●●は仕方ないから」
私は特別、じゃなくて仕方ないって言い方がなんだか聖臣らしいな。
思わず笑ってしまった。
「ふふっ」
私は聖臣の腕を組んだ。
「それはダメ」
「なんでよ!」
なんだかんだ、言いながらも腕組みしながら帰宅した。
ーーFinーー