〜第一章〜 酔っぱらい女からアンタ
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ゴオンゴオンと低く響く洗濯機の回る音で目が覚めた。
「あれ……?」
見慣れた天井が視界に広がる。
ああ、よかった、私の部屋だ。
どうやって帰ってきたんだっけ。
それに、そもそも洗濯機なんて回した覚えがない。
重たい体をなんとか起こすと、肌に触れる空気がひんやりとしていて、自分の体が下着だけなことに気付いた。
ぼんやりと辺りを見回すと、部屋の隅に見知らぬ男性が裸で立っていた。
「ひっ……!」
情けない声が喉から漏れる。
え、これってどういう状況……?
昨日の記憶がぷっつりと途切れていて、頭が真っ白になる。
「起きたか」
私が起き上がったことに気付いたその男性は、静かにこちらに顔を向けた。
その声は驚くほど落ち着いていて、私とは対照的だった。
「もしかして私たち、その……」
声が震えて、最後まで言葉を紡げない。
「想像していることは何もない」
私の動揺を見抜いたかのように、彼は淡々と答えた。
確かに、お互い身に着けている服の面積は少ないけれど、ベッドは乱れていないし、それらしい形跡も全くない。
「覚えていないのか」
男性の問いかけに、私は恥ずかしさで顔を赤らめる。
「お恥ずかしながら」
言葉に詰まりながら答えると、男性は深々とため息を吐き、経過を話してくれた。
彼の話によると、どうやら昨夜、私が居酒屋で彼に絡み、酷く酔って吐いてしまったらしい。
見かねた彼が家まで送り届けてくれたのだが、ゲロまみれの服のまま寝かせるわけにもいかず、かといって自分もゲロのついた服のまま帰るのは嫌だったため、洗濯機にかけたとのこと。
なんてことだ。
私は床に額を擦りつける勢いで土下座をした。
「大変申し訳ございませんでした!」
「乾燥が終わり次第帰る」
男の人はそう言って、洗濯機の様子を気にするように脱衣所の方へ目を向けた。
「よければ、メンズ物の服ありますので着ていってください」
元カレの服なら、今日一日かけてまとめたごみ袋の中にある。
ごみ袋の置いてある玄関へ向かおうとしたら、
「知らないやつの服なんて汚くて着れない」
男性は、嫌悪感を露わにしてぴしゃりと言い放った。
「はあ、そうですか」
私は呆気に取られて、思わずそう呟く。
潔癖症なんだろうか。
でも、いつまでも半裸でいさせるワケにはいかない。
あ、そうだ。あれなら大丈夫かもしれない。
私は衣装ケースの横に放置されていたショップバッグの中身を取り出し、彼に手渡した。
「これなら大丈夫ですか?新品なんで」
別れる前に元カレに、家に置いておく部屋着を買っておいて、と頼まれて、そのまま未開封で放置されていたものだ。
唯一、捨てずに残しておいたもの。
私が買ったんだし、自分用で使おうと思っていただけで、決して未練があるワケじゃない。
男性は渋々といった様子でそれを受け取り、袖を通した。
私が買ったときはオーバーサイズだと思っていたその服は、長身の彼にはちょうどいいサイズだった。
鍛え抜かれた体は、すっかり衣服の中に隠れる。
「クリーニング出してお返しするので、連絡先を教えて頂けませんか?」
私は彼に尋ねたけれど、
「捨ててくれて構わない」
そう言い残し、名も知らない彼は玄関のドアを開けて、あっさりと出ていった。
捨てていいなら、洗濯機を止めよう。
私は脱衣所に向かった。
「……あれ、これ」
洗濯機の上には、小振りの黒い革製のケースが置いてあった。
彼の忘れ物だろうか。
手に取ると、ずっしりとした重みがあった。
蓋を開けると、中には名刺が数枚入っている。
“株式会社ムスビイ 佐久早聖臣”
確か、自動車部品メーカーだったはず。
窓の外は、もうすっかり明るい。
取り敢えず、後で連絡してみるか。
私は名刺ケースを握りしめ、窓の外から差し込む朝日に目を細めた。
「あれ……?」
見慣れた天井が視界に広がる。
ああ、よかった、私の部屋だ。
どうやって帰ってきたんだっけ。
それに、そもそも洗濯機なんて回した覚えがない。
重たい体をなんとか起こすと、肌に触れる空気がひんやりとしていて、自分の体が下着だけなことに気付いた。
ぼんやりと辺りを見回すと、部屋の隅に見知らぬ男性が裸で立っていた。
「ひっ……!」
情けない声が喉から漏れる。
え、これってどういう状況……?
昨日の記憶がぷっつりと途切れていて、頭が真っ白になる。
「起きたか」
私が起き上がったことに気付いたその男性は、静かにこちらに顔を向けた。
その声は驚くほど落ち着いていて、私とは対照的だった。
「もしかして私たち、その……」
声が震えて、最後まで言葉を紡げない。
「想像していることは何もない」
私の動揺を見抜いたかのように、彼は淡々と答えた。
確かに、お互い身に着けている服の面積は少ないけれど、ベッドは乱れていないし、それらしい形跡も全くない。
「覚えていないのか」
男性の問いかけに、私は恥ずかしさで顔を赤らめる。
「お恥ずかしながら」
言葉に詰まりながら答えると、男性は深々とため息を吐き、経過を話してくれた。
彼の話によると、どうやら昨夜、私が居酒屋で彼に絡み、酷く酔って吐いてしまったらしい。
見かねた彼が家まで送り届けてくれたのだが、ゲロまみれの服のまま寝かせるわけにもいかず、かといって自分もゲロのついた服のまま帰るのは嫌だったため、洗濯機にかけたとのこと。
なんてことだ。
私は床に額を擦りつける勢いで土下座をした。
「大変申し訳ございませんでした!」
「乾燥が終わり次第帰る」
男の人はそう言って、洗濯機の様子を気にするように脱衣所の方へ目を向けた。
「よければ、メンズ物の服ありますので着ていってください」
元カレの服なら、今日一日かけてまとめたごみ袋の中にある。
ごみ袋の置いてある玄関へ向かおうとしたら、
「知らないやつの服なんて汚くて着れない」
男性は、嫌悪感を露わにしてぴしゃりと言い放った。
「はあ、そうですか」
私は呆気に取られて、思わずそう呟く。
潔癖症なんだろうか。
でも、いつまでも半裸でいさせるワケにはいかない。
あ、そうだ。あれなら大丈夫かもしれない。
私は衣装ケースの横に放置されていたショップバッグの中身を取り出し、彼に手渡した。
「これなら大丈夫ですか?新品なんで」
別れる前に元カレに、家に置いておく部屋着を買っておいて、と頼まれて、そのまま未開封で放置されていたものだ。
唯一、捨てずに残しておいたもの。
私が買ったんだし、自分用で使おうと思っていただけで、決して未練があるワケじゃない。
男性は渋々といった様子でそれを受け取り、袖を通した。
私が買ったときはオーバーサイズだと思っていたその服は、長身の彼にはちょうどいいサイズだった。
鍛え抜かれた体は、すっかり衣服の中に隠れる。
「クリーニング出してお返しするので、連絡先を教えて頂けませんか?」
私は彼に尋ねたけれど、
「捨ててくれて構わない」
そう言い残し、名も知らない彼は玄関のドアを開けて、あっさりと出ていった。
捨てていいなら、洗濯機を止めよう。
私は脱衣所に向かった。
「……あれ、これ」
洗濯機の上には、小振りの黒い革製のケースが置いてあった。
彼の忘れ物だろうか。
手に取ると、ずっしりとした重みがあった。
蓋を開けると、中には名刺が数枚入っている。
“株式会社ムスビイ 佐久早聖臣”
確か、自動車部品メーカーだったはず。
窓の外は、もうすっかり明るい。
取り敢えず、後で連絡してみるか。
私は名刺ケースを握りしめ、窓の外から差し込む朝日に目を細めた。
