〜第二章〜 アンタから名前
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~第二章〜 アンタから名前
佐久早聖臣に恋愛の楽しさを教える、と大見得切って付き合ったはいいものの、何をすればよいのやら。
元カレと長く付き合っていたとは言え、浮気されるくらい私たちの関係は悪い意味で空気の様だった。
付き合った当初は遠出もしていたけど、佐久早聖臣は出掛けるのが苦手そう。
そもそもお互いのことを知る必要があるかも。
何が好きで何が嫌いか。どこまでの潔癖具合なのか。
そう言う訳で仕事終わりに佐久早聖臣を家に招待した。
行くのはいいがインターフォンは汚くて押したくない、とのことだったので着いたら連絡してもらうことに。
このくらいは許容範囲。
噂をすれば佐久早聖臣から通知が着た。
「いらっしゃーい」
ドアを開けると若干不機嫌そうな佐久早聖臣。
いや、これが彼の平常運転なのかもしれない。
「お邪魔します」
手洗いうがいにアルコール消毒を済ませた佐久早聖臣は前回同様、座椅子にハンカチを敷いて座った。
「お腹空いてる?」
「空いてるけど、人が作ったものは…」
「そう言うと思ってコンビニのカップデリとおにぎり用意しましたー!」
これなら文句ないだろう。
お茶はついさきほど淹れたばかりのを湯呑みに注いだ。
佐久早聖臣は梅おにぎりと和風サラダと魚が使われた主食のカップを一つずつ取った。
このラインナップから分かることは……。
「和食が好きなの?」
「……和食と言うか梅干しが好き」
「ああ、抗菌作用があるもんね」
そう言えば居酒屋でも梅干しサワーを飲んでいた気がする。
「仕事は?」
意外にも佐久早聖臣が話題を振ってくれた。
「休み~」
だから、今日はラフな格好をしている。
「あ、もしかしてこの服?」
佐久早聖臣が無言で頷いた。
私が今着ているのは、以前に佐久早聖臣が捨てておいていいと言った服。
「だって部屋着にするつもりの新品のやつ、佐久早聖臣にあげちゃったから、ちょうどいいかなって」
佐久早聖臣のサイズだからダボダボ過ぎて萌え袖通り越して体が縮んじゃったのかな?ってくらい大きいけど、裾を折れば着れなくもない。
しかもネットで同じ物を探したから、まあまあいい値段なのは分かっている。
それを易々と捨てるのは忍びなかった。
「クリーニングには出したから、もう汚くないよ」
私は汚くないアピールをするために両腕を広げた。
ダボっとした服はまるでモモンガのようなシルエットに。
「アンタの家に行くときは同じ服を着ないようにする」
「えー!お揃いでいいじゃん!」
今日の収穫、佐久早聖臣は梅干しが好き、お揃いは嫌い。