〜第一章〜 酔っぱらい女からアンタ
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ーー佐久早sideーー
この女は学習能力がないのか。
「いやー送って貰っちゃってごめんなさいね」
なんて悪気なく言う。
俺のことを熱心に応援してくれる◯◯●●がそこら辺で倒れられても困るから、渋々家まで送っていくことに。
どこで何してたか分からないから汚くて肩は貸せないが。
◯◯●●の家に行くのは2回目だ。
前回は焦ってタクシーに乗ったが、歩いてでも帰れる距離だった。
「送ってくれてありがとう。よければ上がってく?」
「……」
正直◯◯●●の家は玄関先以外は綺麗だった。
ごみを捨てられるタイプかの確認を兼ねて入ってみるか。
いや、別に捨ててあっても溜め込んでいても俺には関係ないことだが。
「早くドアを開けろ。ドアノブは菌が多くて触りたくない」
「はい!ただいま」
ドアを開けさせると、あの大量のごみ袋がなくなっていた。
どうやら元カレ関連の物だったらしく、思い残すことがないのか清々したと言わんばかりの口ぶりで捨てたことを話した。
「まあ、立ち話もなんだし、どうぞ」
家に上がると家具も変わっていた。
取り敢えず、前回同様部屋の角へもたれかける。
確かサイン会の時に今なら宅飲みもできるくらい綺麗になったと言っていた。
ソファーがなくなり、その代わりの座椅子。
丸み帯びた柔らかい雰囲気のローテーブル。
それは決して散らかっていたり部屋を圧迫している訳ではなく、その部屋の雰囲気にあった家具だった。
確かにこれなら宅飲みも悪くない。
「何か飲む?」
だが、俺は人が淹れた飲み物は飲みたくない。
いつどのように作ったか分からないから。
「人が作ったものは口にしない」
「缶ビールか酎ハイしかないけど」
そもそも自分で淹れたのがないのか。
「これ以上は体に悪いからお酒もいらない」
「見ているところで沸かしたお茶なら大丈夫?」
リビングへ続く通路にあったキッチン。
綺麗だから使われていないと思っていたが、自炊するのか。
まあでも、見張りながらなら幾分マシか。
俺はキッチンへ向かった。
俺の後を付いてきた◯◯●●はしっかりと石鹸で手を洗い、続いてお湯を沸かす用の鍋も洗った。
てっきりケトルで沸かすのかと思っていたから、好感がもてる。
慣れた手付きでお茶を入れる◯◯●●。
俺がいるから、とかではなく普段からそうしているようにうかがえる。丁寧だ。
「これなら飲めそう?」
「ああ」
◯◯●●はローテーブルに茶托と湯呑みを置いた。
これは部屋の角ではなく座椅子に座れと言うことか。
仕方がない。俺はハンカチを取り出し座椅子に敷きその上に座った。
丁寧な家事に散らかっていない部屋。
好感が持てるが念には念を入れて。
そう言えば、座椅子もそうだが、ベッドのシーツも新しい。
ゲロが着いたシーツをどうするのか気になっていたから覚えていただけで、決して深い意味はない。
座椅子だって前回は座るところがソファしかないと思っていたから覚えていただけであって。
そんなことを考えながらお茶を啜る。旨い。
酔った体には取り分け染み渡る。
すると、唐突に◯◯●●が質問してきた。
誰かを好きになったことはあるのか、と。
俺だって恋人くらいできたことが、
「……ある」
「え?」
◯◯●●は意外そうなリアクションをした。
まあ、そうだよな。こんな慎重すぎるやつ。
俺にだって自覚はある。
「だから、恋愛の良さが分からなくて、もう恋人はうんざりだ」
なんで、そんなに悲しそうな顔をするんだ。
アンタには関係ないことだろう。
「それなら私と恋愛の楽しいところ見つけようよ!」
楽しいところ……か。悪くないかもしれない。
「まあ、アンタなら試してみてもいいか」
本当にそれだけ。ただの好奇心で付き合うことになった。
ーーFinーー
この女は学習能力がないのか。
「いやー送って貰っちゃってごめんなさいね」
なんて悪気なく言う。
俺のことを熱心に応援してくれる◯◯●●がそこら辺で倒れられても困るから、渋々家まで送っていくことに。
どこで何してたか分からないから汚くて肩は貸せないが。
◯◯●●の家に行くのは2回目だ。
前回は焦ってタクシーに乗ったが、歩いてでも帰れる距離だった。
「送ってくれてありがとう。よければ上がってく?」
「……」
正直◯◯●●の家は玄関先以外は綺麗だった。
ごみを捨てられるタイプかの確認を兼ねて入ってみるか。
いや、別に捨ててあっても溜め込んでいても俺には関係ないことだが。
「早くドアを開けろ。ドアノブは菌が多くて触りたくない」
「はい!ただいま」
ドアを開けさせると、あの大量のごみ袋がなくなっていた。
どうやら元カレ関連の物だったらしく、思い残すことがないのか清々したと言わんばかりの口ぶりで捨てたことを話した。
「まあ、立ち話もなんだし、どうぞ」
家に上がると家具も変わっていた。
取り敢えず、前回同様部屋の角へもたれかける。
確かサイン会の時に今なら宅飲みもできるくらい綺麗になったと言っていた。
ソファーがなくなり、その代わりの座椅子。
丸み帯びた柔らかい雰囲気のローテーブル。
それは決して散らかっていたり部屋を圧迫している訳ではなく、その部屋の雰囲気にあった家具だった。
確かにこれなら宅飲みも悪くない。
「何か飲む?」
だが、俺は人が淹れた飲み物は飲みたくない。
いつどのように作ったか分からないから。
「人が作ったものは口にしない」
「缶ビールか酎ハイしかないけど」
そもそも自分で淹れたのがないのか。
「これ以上は体に悪いからお酒もいらない」
「見ているところで沸かしたお茶なら大丈夫?」
リビングへ続く通路にあったキッチン。
綺麗だから使われていないと思っていたが、自炊するのか。
まあでも、見張りながらなら幾分マシか。
俺はキッチンへ向かった。
俺の後を付いてきた◯◯●●はしっかりと石鹸で手を洗い、続いてお湯を沸かす用の鍋も洗った。
てっきりケトルで沸かすのかと思っていたから、好感がもてる。
慣れた手付きでお茶を入れる◯◯●●。
俺がいるから、とかではなく普段からそうしているようにうかがえる。丁寧だ。
「これなら飲めそう?」
「ああ」
◯◯●●はローテーブルに茶托と湯呑みを置いた。
これは部屋の角ではなく座椅子に座れと言うことか。
仕方がない。俺はハンカチを取り出し座椅子に敷きその上に座った。
丁寧な家事に散らかっていない部屋。
好感が持てるが念には念を入れて。
そう言えば、座椅子もそうだが、ベッドのシーツも新しい。
ゲロが着いたシーツをどうするのか気になっていたから覚えていただけで、決して深い意味はない。
座椅子だって前回は座るところがソファしかないと思っていたから覚えていただけであって。
そんなことを考えながらお茶を啜る。旨い。
酔った体には取り分け染み渡る。
すると、唐突に◯◯●●が質問してきた。
誰かを好きになったことはあるのか、と。
俺だって恋人くらいできたことが、
「……ある」
「え?」
◯◯●●は意外そうなリアクションをした。
まあ、そうだよな。こんな慎重すぎるやつ。
俺にだって自覚はある。
「だから、恋愛の良さが分からなくて、もう恋人はうんざりだ」
なんで、そんなに悲しそうな顔をするんだ。
アンタには関係ないことだろう。
「それなら私と恋愛の楽しいところ見つけようよ!」
楽しいところ……か。悪くないかもしれない。
「まあ、アンタなら試してみてもいいか」
本当にそれだけ。ただの好奇心で付き合うことになった。
ーーFinーー