飲み会が終わり、解散の雰囲気になった。


「◯◯さんの家ってどの辺り？」


同じ家の方面の人がいないため、一人で帰ろうとしたとき、不意に月島君に話しかけられた。


「え？」

「飲みやすいお酒、作ってくれるんデショ？」


笑ってごまかされたから、てっきり拒否されたと思ったのに、来るんだ。

家に材料あったかな。それにお供も欲しいし。


「行く前にコンビニ寄っていい？すぐ終わるから月島君はそこのベンチに座って待ってて」


私は材料と酔い覚まし用の水をカゴに入れて、急いで会計を済ませてコンビニを後にした。


「ごめんね、おまたせ」

「何買ったの？」

「内緒〜」

「ふーん」


そんな話をしていると、


「●●じゃん。こんなところでデート？」

「サオリちゃん……」


同じ高校だった子たちに話しかけられた。
彼女たちはいわゆるカースト上位と呼ばれる存在。


「ふーん、陰キャには陰キャ眼鏡の彼がお似合いね」

「どーも、陰キャ眼鏡です」


そう言ってニッコリしながら立ち上がった月島君。


「え、デカ」

「てか、よく見るとイケメンじゃない？」


眼鏡ってだけで陰キャと決めつけてきたサオリちゃんたちは、月島君をまじまじ見ると手のひらを返したように媚を売ってきた。


「ねえ、こんな子より私たちと遊ばない？」

「陰キャ眼鏡の僕でいいんですか？」


笑顔だけど目の奥は笑っていない。圧すら感じられる月島君。


「えーっと」

「僕、君たちみたいな頭の悪そうな子、嫌いなんだよねー」

「くっ……サオリ、もう行こうよ」


顔を真赤にさせたサオリちゃんたちは去っていった。


「えっと、ありがとう？」


助けてくれたのか分からないけど、一応お礼を言った。


「別に、本当のことを言っただけだし。それより早く行こう」

「うん」