思い出のカルーアミルク
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〜思い出のカルーアミルク〜
どこにでもある大衆居酒屋。
学生たちの活気と笑い声が、ガヤガヤと店内を賑やかせる。
私はジョッキに注がれていたビールを飲み切ると、店員さんを呼んだ。
「すみませーん!ウーロン茶下さい」
いつもは2杯目もビールを頼む私がウーロン茶を頼んだからか、隣に座っていた友達が驚いたように言った。
「2杯目でもうノンアル?珍しいね」
「昨日飲みすぎたから、今日は控えようと思ってね」
連日の飲み会続きで、さすがの私でも胃を休めたい気分だった。
ちなみに、今日はゼミの飲み会。
周りを見渡すと、みんなお酒のおかげでエンジンがかかり始めていた。
声は大きくなり、明け透けな話題が飛び交う。
そんな中、ひときわおとなしい人がいた。
月島蛍君。
奥の席で静かに肘を付き、退屈そうにスマホを弄っている。
滅多に参加しない彼が、今日はどういう風の拭き回しで参加しているのか。
彼に惹き付けられるように、私は届いたばかりのウーロン茶を片手に、月島君の隣の空席へと向かった。
「隣、良い?」
声をかけると、彼はゆっくりと顔をあげた。
そして、呆れに近い表情で軽口を叩いた。
「もう座ってるじゃん」
「あはは。飲み会に参加するの珍しいね」
「お酒苦手なんだよ。だけど未成年だからって理由はもう使えないし。今日は無理やり……」
月島君の前に置かれているビールは最初に頼んだ物だろう。
グラスの縁にわずかに泡の跡があるものの、ほとんど手つかずで、既に炭酸が切れかかっていた。
本当にお酒が苦手なんだ……。
「私のウーロン茶あげるよ。まだ口付けてないから。代わりにこのビールちょうだい」
返事を聞く前に、私は月島君のビールを奪って一気に飲み干した。
炭酸はないし、ちょっと温くなったビール。
お世辞にも美味しいとは言えないけど、人助けだと思えば悪くない。
大きなお世話だと言われたらそれまでだけど、彼の困った顔を見ていられなかった。
空になったジョッキをテーブルに置くと、月島君は感心したような表情で私を見ていた。
「……お酒、強いね」
「強くはないけど、好きだね」
それに、お酒は嫌なことを忘れさせる力があるから。
「僕にはその気持ち、分からないな」
「飲みやすいお酒もあるよ」
私は目の前にあったメニュー表を手に取り、そのカクテルを探した。
だけど、隅から隅まで見たけれど、そのカクテルの名前はなかった。
「おかしいなー。大抵置いてあると思ったんだけど」
「そこまで言われると気になる」
月島君の少し前のめりになった姿勢に嬉しくなった私は、イタズラっぽく笑った。
「後で私の家に来る?作ってあげるよ」
「ははは」
月島君は笑うだけで、行くとも行かないとも言わなかった。
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