蛍光ペン
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数年の歳月が経ち、私は高校生になった。
新しい生活、新しい友達、新しい挑戦に胸を膨らませるはずだった。
それなのに、私の高校生活は、その淡い希望とは裏腹に、初日から暗雲が立ち込めていた。
その原因は、隣の席に座る、あの月島蛍君。
中学は別々になったおかげで、ようやく忘れてかけていた、あの黒歴史の記憶が鮮明に蘇る。
彼が視界に入るたび、胸の奥がきゅうっと締めつけられるような気持ちになる。
なんとか視線を合わせないよう、話しかけないよう、極力接しないように過ごしてきたのに、不運は重なるものらしい。
それは1限目の授業始まり。
私は鞄から教科書とノートを取り出した。
あとは、筆箱……。
だけど、何度探しても、鞄の底にも机の中にも見当たらない。
どうやら、朝、間違えてロッカーに入れてきてしまったらしい。
どうしよう……。
挙手をして先生に伝えようかとも思ったけれど、そんなことをしたら、目立ってしまう。
入学して程ないため、それは避けたかった。
ため息が溢れそうになるのをぐっと堪え、私は意を決して月島君に声をかけた。
「ねえ、月島君……」
小さな声で呼びかけると、彼は返事をせず、視線だけを私に向けた。
その冷たい視線に圧を感じて萎縮してしまう。
「筆箱、ロッカーに忘れちゃったから、何か書くもの貸してもらえないかな?」
すると、意外にも彼は筆箱の中をゆっくりと漁り始めた。
てっきり無視されるかと思ったのに。
ほっとしたのもつかの間、彼が差し出してきたのは、たった1本の黄色い蛍光ペンだった。
「◯◯さん、これで字書くの得意デショ」
その声には、嫌味がたっぷりと含まれている。
その言葉を聞いた瞬間、あの時の情景が脳裏に蘇った。
私が忘れていないんだもの。
月島君もあの時のことを忘れるはずないよね。
彼の筆箱の中をちらりと覗き見ると、シャーペンが何本も入っているのが見えた。
本当はそっちを貸して、と言いたかったけれど、忘れた私が悪いため、歯を食いしばる思いで蛍光ペンを受け取った。
「あ、ありがとう……」
受け取ったはいいものの、これでノートを書くワケにはいかない。
私は鞄からルーズリーフを取り出し、後で書き写そうと決心した。
……。
…………。
蛍光ペンの鮮やかすぎる黄色が、白い紙の上でやけに主張している。
この色で、あの時、ラブレターを書いたのかと思うと、恥ずかしさで消えてしまいたくなる。
授業は淡々と進んでいき、幸いにも、この時間ではプリントなど提出するものはなく、無事に授業は終わった。
新しい生活、新しい友達、新しい挑戦に胸を膨らませるはずだった。
それなのに、私の高校生活は、その淡い希望とは裏腹に、初日から暗雲が立ち込めていた。
その原因は、隣の席に座る、あの月島蛍君。
中学は別々になったおかげで、ようやく忘れてかけていた、あの黒歴史の記憶が鮮明に蘇る。
彼が視界に入るたび、胸の奥がきゅうっと締めつけられるような気持ちになる。
なんとか視線を合わせないよう、話しかけないよう、極力接しないように過ごしてきたのに、不運は重なるものらしい。
それは1限目の授業始まり。
私は鞄から教科書とノートを取り出した。
あとは、筆箱……。
だけど、何度探しても、鞄の底にも机の中にも見当たらない。
どうやら、朝、間違えてロッカーに入れてきてしまったらしい。
どうしよう……。
挙手をして先生に伝えようかとも思ったけれど、そんなことをしたら、目立ってしまう。
入学して程ないため、それは避けたかった。
ため息が溢れそうになるのをぐっと堪え、私は意を決して月島君に声をかけた。
「ねえ、月島君……」
小さな声で呼びかけると、彼は返事をせず、視線だけを私に向けた。
その冷たい視線に圧を感じて萎縮してしまう。
「筆箱、ロッカーに忘れちゃったから、何か書くもの貸してもらえないかな?」
すると、意外にも彼は筆箱の中をゆっくりと漁り始めた。
てっきり無視されるかと思ったのに。
ほっとしたのもつかの間、彼が差し出してきたのは、たった1本の黄色い蛍光ペンだった。
「◯◯さん、これで字書くの得意デショ」
その声には、嫌味がたっぷりと含まれている。
その言葉を聞いた瞬間、あの時の情景が脳裏に蘇った。
私が忘れていないんだもの。
月島君もあの時のことを忘れるはずないよね。
彼の筆箱の中をちらりと覗き見ると、シャーペンが何本も入っているのが見えた。
本当はそっちを貸して、と言いたかったけれど、忘れた私が悪いため、歯を食いしばる思いで蛍光ペンを受け取った。
「あ、ありがとう……」
受け取ったはいいものの、これでノートを書くワケにはいかない。
私は鞄からルーズリーフを取り出し、後で書き写そうと決心した。
……。
…………。
蛍光ペンの鮮やかすぎる黄色が、白い紙の上でやけに主張している。
この色で、あの時、ラブレターを書いたのかと思うと、恥ずかしさで消えてしまいたくなる。
授業は淡々と進んでいき、幸いにも、この時間ではプリントなど提出するものはなく、無事に授業は終わった。
