Perfume
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先にアクションを起こしたのは佐久早君の方だった。
授業終わり、生徒たちが出て行ってまばらになった教室。
「◯◯さん」
「何?」
「香水付けてる?」
「……付けてないけど?」
唐突な質問。本当に何を考えているのか分からない。
「ここ最近は?」
「最近も何も人生で1度も付けたことないけど?」
なんでそんなに香水にこだわるんだろう。
私から何か匂いがするのかな?
もしかして制汗スプレー?でも無香料だから、仮に匂ってもそこまでだと思うし。
柔軟剤の匂いかな?これは慣れすぎてて私の鼻では分からない。
「………」
「私、何か臭う?」
ここまで問い詰められたら私に聞く権利くらいあるよね?
臭いって言われたらショックだけど。
「いや、その……」
私が聞き返してこないと思ったのか、言葉に詰まる佐久早君。
そうだよね、普段私と雑談なんかしないから。
私だってあんな夢見なければこんな話題スルーしていた。
「この間、◯◯さんから珍しく香水の匂いがしたから」
「この間……?」
いつのことだろう。心当たりがない。
「プリントを落とした日」
「……あ」
確かお手洗いから出るときに、ぶつかりそうになった女子生徒が香水を付けていた。
「多分、他の人が付けてた香水の匂いが移ったんだと思う」
その答えに妙に納得した顔をした佐久早君。
いや、勝手に納得されても。
それなら私だってあの日に腕を掴んできた理由、聞いてもいいよね?
尋ねると、またもや佐久早君は戸惑った様子だった。
「いつもの◯◯さんの匂いに戻っていたから」
「ん??」
つまりは朝は香水の匂いがしたからしかめっ面で見てきたけど、体育の移動時間ですれ違ったときは香水の匂いが取れて、いつもの匂いだったから驚いて腕を掴んできた、と?
「うん」
「それは分かったけど、佐久早君なんでそんなに私の匂いを嗅いでるの?」
別に気持ち悪いだとか、変態だとかではなく純粋に気になった。
当たり前のように佐久早君が話をしていたからスルーしかけていたけど、みんなの匂いも嗅いでいるの?
そんなに匂いフェチなの?
「いつもちゃんとしているから」
「ちゃんと……」
「匂いのケアをちゃんとしていることに好感がもてるから」
「はぁ、ありがとう」
どうやら私の知らないところで佐久早君の好感度を上げていたようだ。
「だから、この間は勝手に幻滅してごめんなさい」
幻滅レベルで不快だったのか。
「あと、それがきっかけでいつも以上に観察してごめんなさい」
なるほど、だからやたら目があったのか。
「謝ってほしかった訳じゃないから。むしろ謝るのは私の方と言うか……」
「……?」
私だって夢の中で佐久早君とキスしたし、なんてことは口が裂けても言えないが。
「とにかく理由が聞けてよかったよ!」
お互いに納得できたことだし、長居してはなんだったから帰ろうとした。
佐久早君も部活があるだろうし。
「ちょっと待って」
佐久早君に腕を掴まれたと思ったら、おもむろに首筋の匂いを嗅がれた。
微かに感じる佐久早君の息。
「うん。やっぱりこの匂い、安心する」
ものの数秒、佐久早君は直ぐに離れた。
「またね、◯◯さん」
何事もなかったかのように教室を出て行った佐久早君。
しばらく私の首筋には佐久早君の温もりが残った。
夢で見た距離感。当たり前だが夢よりリアルだった。
こんなことされたら余計に意識しちゃうじゃん。
佐久早君はズルいよ。
ーーFinーー
授業終わり、生徒たちが出て行ってまばらになった教室。
「◯◯さん」
「何?」
「香水付けてる?」
「……付けてないけど?」
唐突な質問。本当に何を考えているのか分からない。
「ここ最近は?」
「最近も何も人生で1度も付けたことないけど?」
なんでそんなに香水にこだわるんだろう。
私から何か匂いがするのかな?
もしかして制汗スプレー?でも無香料だから、仮に匂ってもそこまでだと思うし。
柔軟剤の匂いかな?これは慣れすぎてて私の鼻では分からない。
「………」
「私、何か臭う?」
ここまで問い詰められたら私に聞く権利くらいあるよね?
臭いって言われたらショックだけど。
「いや、その……」
私が聞き返してこないと思ったのか、言葉に詰まる佐久早君。
そうだよね、普段私と雑談なんかしないから。
私だってあんな夢見なければこんな話題スルーしていた。
「この間、◯◯さんから珍しく香水の匂いがしたから」
「この間……?」
いつのことだろう。心当たりがない。
「プリントを落とした日」
「……あ」
確かお手洗いから出るときに、ぶつかりそうになった女子生徒が香水を付けていた。
「多分、他の人が付けてた香水の匂いが移ったんだと思う」
その答えに妙に納得した顔をした佐久早君。
いや、勝手に納得されても。
それなら私だってあの日に腕を掴んできた理由、聞いてもいいよね?
尋ねると、またもや佐久早君は戸惑った様子だった。
「いつもの◯◯さんの匂いに戻っていたから」
「ん??」
つまりは朝は香水の匂いがしたからしかめっ面で見てきたけど、体育の移動時間ですれ違ったときは香水の匂いが取れて、いつもの匂いだったから驚いて腕を掴んできた、と?
「うん」
「それは分かったけど、佐久早君なんでそんなに私の匂いを嗅いでるの?」
別に気持ち悪いだとか、変態だとかではなく純粋に気になった。
当たり前のように佐久早君が話をしていたからスルーしかけていたけど、みんなの匂いも嗅いでいるの?
そんなに匂いフェチなの?
「いつもちゃんとしているから」
「ちゃんと……」
「匂いのケアをちゃんとしていることに好感がもてるから」
「はぁ、ありがとう」
どうやら私の知らないところで佐久早君の好感度を上げていたようだ。
「だから、この間は勝手に幻滅してごめんなさい」
幻滅レベルで不快だったのか。
「あと、それがきっかけでいつも以上に観察してごめんなさい」
なるほど、だからやたら目があったのか。
「謝ってほしかった訳じゃないから。むしろ謝るのは私の方と言うか……」
「……?」
私だって夢の中で佐久早君とキスしたし、なんてことは口が裂けても言えないが。
「とにかく理由が聞けてよかったよ!」
お互いに納得できたことだし、長居してはなんだったから帰ろうとした。
佐久早君も部活があるだろうし。
「ちょっと待って」
佐久早君に腕を掴まれたと思ったら、おもむろに首筋の匂いを嗅がれた。
微かに感じる佐久早君の息。
「うん。やっぱりこの匂い、安心する」
ものの数秒、佐久早君は直ぐに離れた。
「またね、◯◯さん」
何事もなかったかのように教室を出て行った佐久早君。
しばらく私の首筋には佐久早君の温もりが残った。
夢で見た距離感。当たり前だが夢よりリアルだった。
こんなことされたら余計に意識しちゃうじゃん。
佐久早君はズルいよ。
ーーFinーー