私の苦手な人
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佐久早君に手を差し出され、私は素直にその手を取った。
彼の指先が、私の手のひらに触れる。
ひんやりとした感覚だった。
立ち上がらせてくれた佐久早君は、あたりをキョロキョロと見回し始めた。
「何か探してるの?」
私の問いかけに、佐久早君は答えなかった。
そして、探し物が見つかったのか、彼は私の手をサッと離すと、小走りでコースを外れていった。
目指したのは、マラソンコースの脇にある小さな公園だった。
私は戸惑いながら、その背中を見送る。
しばらくして、公園の方から佐久早君が戻ってきた。
彼の指先は、汚れなど付いておらず、綺麗になっていた。
どうやら、公園の水道で手を洗ってきたようだ。
「なんだ、ボサッと突っ立って。足遅いなら先に行けばいいものを」
「あ、いや……佐久早君を待っていようかなーって」
「フンッ」
佐久早君は鼻を鳴らすと、今度こそ正しいコースを走り始めた。
私もその後ろに続いて走り出す。
彼の背中は大きく、そして真っ直ぐだった。
その背中を追うように、お互いに無言のまま、ただひたすらに走る。
置いていかれないように。
なのに、佐久早君との距離は全然離れない。
まるで、私の速度に合わせてくれているようだった。
私は少しだけスピードを上げて、佐久早君の横に並び、話しかける。
「ねえ、佐久早君って、運動神経良いのに、なんでゆっくり走るの?」
彼は少しだけ迷うように目を伏せ、そして小さく答えた。
「……バレー以外で汗かきたくなかったから」
その言葉に、私は少しだけ肩を落とす。
なんだ、私に合わせてくれたワケじゃないんだ。
それでも、私はこの時間が嫌いじゃなかった。
口だけは一緒にゴールしようと言いながら、さっさと走り去ってしまう他の友達より、よっぽどよかった。
私の中で、佐久早君は“苦手な人”から“ちょっと苦手な人”に変わった。
そう思うと、不思議と灼熱だった空が、青く澄み渡っているように見えた。
ーーFinーー
彼の指先が、私の手のひらに触れる。
ひんやりとした感覚だった。
立ち上がらせてくれた佐久早君は、あたりをキョロキョロと見回し始めた。
「何か探してるの?」
私の問いかけに、佐久早君は答えなかった。
そして、探し物が見つかったのか、彼は私の手をサッと離すと、小走りでコースを外れていった。
目指したのは、マラソンコースの脇にある小さな公園だった。
私は戸惑いながら、その背中を見送る。
しばらくして、公園の方から佐久早君が戻ってきた。
彼の指先は、汚れなど付いておらず、綺麗になっていた。
どうやら、公園の水道で手を洗ってきたようだ。
「なんだ、ボサッと突っ立って。足遅いなら先に行けばいいものを」
「あ、いや……佐久早君を待っていようかなーって」
「フンッ」
佐久早君は鼻を鳴らすと、今度こそ正しいコースを走り始めた。
私もその後ろに続いて走り出す。
彼の背中は大きく、そして真っ直ぐだった。
その背中を追うように、お互いに無言のまま、ただひたすらに走る。
置いていかれないように。
なのに、佐久早君との距離は全然離れない。
まるで、私の速度に合わせてくれているようだった。
私は少しだけスピードを上げて、佐久早君の横に並び、話しかける。
「ねえ、佐久早君って、運動神経良いのに、なんでゆっくり走るの?」
彼は少しだけ迷うように目を伏せ、そして小さく答えた。
「……バレー以外で汗かきたくなかったから」
その言葉に、私は少しだけ肩を落とす。
なんだ、私に合わせてくれたワケじゃないんだ。
それでも、私はこの時間が嫌いじゃなかった。
口だけは一緒にゴールしようと言いながら、さっさと走り去ってしまう他の友達より、よっぽどよかった。
私の中で、佐久早君は“苦手な人”から“ちょっと苦手な人”に変わった。
そう思うと、不思議と灼熱だった空が、青く澄み渡っているように見えた。
ーーFinーー
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