Perfume
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〜Perfume〜
ねえ、佐久早君、ちょっと待って!
同じクラスの佐久早君が、一歩、また一歩と私との距離を詰めてくる。
いつも白いマスクで顔の半分を覆い、感情を読み取らせない彼。
話すのはいつも業務連絡ばかりで、必要最低限の言葉しか交わしたことがない。
そんな彼がどうして私に?
静寂の中で、私と佐久早君の足音だけがやけに響く。
そして、ついに、足音は彼だけに。
私は背後にある見えない壁のような物にぶち当たり、これ以上後退できなかった。
その上体が動かない。
心臓がドクドクと音を立てる。
ついに佐久早君が私の目の前まで来た。
いつもは、身を縮こめているような印象しかなかったのに、目の前に立つ彼は想像以上に大きく、私の視界をすべて彼が占めてしまったかのようだ。
彼は、無言のまま真っ直ぐ私を見つめている。
彼の真っ黒な瞳の奥に、映し出された私の顔。
それは、恐怖と期待が入り乱れた表情をしていた。
私の背にある壁に、彼の大きな手がドンとつかれた。
次に、獲物を捕らえるかのように、彼の大きな手が私の顎をクイッと上に向けた。
マスクのない彼の顔が、ゆっくりと近づいてくる。
整った顔立ちが目の前に現れ、色っぽい表情を浮かべている。
これはもう……そういうことだよね?
彼の吐息が私の頬にかかる。
唇が、触れそう。
待って、心の準備が……!
ーーーー
「佐久早君!!」
ジリリリリ! ジリリリリ!
枕元のアラームがけたたましく鳴り響く。
最悪だ。
なんて夢を見てしまったんだ。
初恋の人でも、好きな俳優さんでもない。ましてや、ほとんど関わったことのない佐久早君が夢に出てくるなんて。
しかも、キ、キ、キスしちゃった。
夢の中の佐久早君は、マスクを外していた。
あの貴重な姿は、もう2度と見られない。
そう思って少し残念な気持ちになる。
それにしても寝汗がすごい。
まだ夏前だというのに、こんな調子で夏本番はどうなることやら。
私は寝ぼけた頭を振り、アラームを止めた。
そして、夢の続きを少しだけ期待しながら、1日を始める準備をした。
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