器用なキミが不器用になるとき
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今日は都内大会。
大きい大会ではないけれど、引退間近な私たち3年生にとっては1つ1つが大切な大会である。
それなのに、
「なんでサブアリーナなのよ!」
会場に着くや否や、部員に愚痴をこぼした。
メインアリーナの4分の1の広さしかないサブアリーナ。
観客席はなく、荷物は体育館の四隅に直置き。
文句を言いつつも、荷物を置いてから開会式、ミーティングを終えた。
「さて、と……」
会場が狭い分、試合の順番が来るまで時間がかかる。
暇つぶしがてらウォーミングアップでもしてこようかな。
「ちょっとサクラちゃん!」
私は後輩のサクラちゃんを呼び止めた。
「メインアリーナの回廊でジョギングしてくるから、順番近くなったら教えて」
「分かりました」
「よろしくね〜」
サブアリーナを出て、ロータリーを通ってメインアリーナへ向かう。
その途中に利用案内者の掲示板が設置されているのが目についた。
そうだ、メインアリーナはどこの誰が使っているのか。
「メイン……メイン……」
メインアリーナの項目を見ると“全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会男子の部”と書かれていた。
高校男子バレーか。
知っている人、いるかな……。
どうせ走りにメインアリーナの観客席まで行くんだ。
梟谷のジャージを着ている人がいれば話しかけてみよう。
意気揚々と向かった。
メインアリーナの扉を開けると、ボールの音、大きな声援、審判のホイッスル、と熱気にまみれていた。
さすがメインアリーナ。
サブアリーナと違って収容人数が多い分、賑わっている。
……って、感心していないでジョギング、ジョギング。
回廊に立っている観客者や選手を避けながらジョギングを始めた。
しばらく走っていると、白地のジャージの背面に“FUKURODANI”と書かれている選手を見つけた。
まさか男子バレー部のジャージの背面がローマ字表記だったとか。
どおりで直ぐに見当たらないわけだ。
一度足を止めてその選手がいる観客席の方へと向かうと、一際騒がしい選手がいた。
「木兎……」
ボソッと名前を呟いただけなのに、耳が良いのか、こちらへ顔を向けた木兎。
「おぉ?!◯◯じゃん!なんでいるんだー?!もしかして応援に来てくれたのか?!サンキューな!!」
まだ何も言っていないのに勝手に応援だって決めつけて……。
昨年同じクラスになったときから思っていたけど、本当に騒がしい。
やれやれと思っていると、
「違うだろ。ほら◯◯さんもユニフォーム着てるだろ」
木葉君が代わりに説明すると、木兎は違うのかよ、とあからさまにショボくれてどこかへ行ってしまった。
確か、木兎って上手いけどメンタルが安定していないから全国5本指止まりって話を聞いたことがある。
これから試合なのに大丈夫だろうか。
だけど、ひとまず木葉君にお礼を言わないと。
「説明ありがとう」
「いや、◯◯さんもここで試合だったんだな」
「サブアリーナだけどね」
木葉君に言っても仕方がないのに、八つ当たりをしてしまった。
「あはは……」
苦笑いをする木葉君。
「あ、そうだ。もうすぐ試合だから、もし時間あるなら少しでいいから本当に応援していってよ。木兎、喜ぶぞ」
「まあ、少しくらいなら」
木葉君が言った通り、本当に直ぐに試合のコールがされ、彼らはコートへ向かった。
「木兎頑張れー」
一応、応援をしてみたけれど、私の声は他の声援に掻き消された。
まあ、私の応援が聞こえなくても、木兎の調子が良さそうだし問題ないだろう。
それにしても、木兎が凄いのはもちろんだけれど、木葉君も上手だった。
それにユミの話から何でも卒なくこなすイメージだったけれど、あんなに一生懸命な一面もあんるだ、と少しだけときめいてしまった。
ほどなくして、私のスマホが後輩のサクラちゃんからのメッセージを受信した。
どうやらもうすぐ試合の順番が来るようだ。
ここまでか。
私は後ろ髪を引かれる思いでサブアリーナへと戻った。
大きい大会ではないけれど、引退間近な私たち3年生にとっては1つ1つが大切な大会である。
それなのに、
「なんでサブアリーナなのよ!」
会場に着くや否や、部員に愚痴をこぼした。
メインアリーナの4分の1の広さしかないサブアリーナ。
観客席はなく、荷物は体育館の四隅に直置き。
文句を言いつつも、荷物を置いてから開会式、ミーティングを終えた。
「さて、と……」
会場が狭い分、試合の順番が来るまで時間がかかる。
暇つぶしがてらウォーミングアップでもしてこようかな。
「ちょっとサクラちゃん!」
私は後輩のサクラちゃんを呼び止めた。
「メインアリーナの回廊でジョギングしてくるから、順番近くなったら教えて」
「分かりました」
「よろしくね〜」
サブアリーナを出て、ロータリーを通ってメインアリーナへ向かう。
その途中に利用案内者の掲示板が設置されているのが目についた。
そうだ、メインアリーナはどこの誰が使っているのか。
「メイン……メイン……」
メインアリーナの項目を見ると“全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会男子の部”と書かれていた。
高校男子バレーか。
知っている人、いるかな……。
どうせ走りにメインアリーナの観客席まで行くんだ。
梟谷のジャージを着ている人がいれば話しかけてみよう。
意気揚々と向かった。
メインアリーナの扉を開けると、ボールの音、大きな声援、審判のホイッスル、と熱気にまみれていた。
さすがメインアリーナ。
サブアリーナと違って収容人数が多い分、賑わっている。
……って、感心していないでジョギング、ジョギング。
回廊に立っている観客者や選手を避けながらジョギングを始めた。
しばらく走っていると、白地のジャージの背面に“FUKURODANI”と書かれている選手を見つけた。
まさか男子バレー部のジャージの背面がローマ字表記だったとか。
どおりで直ぐに見当たらないわけだ。
一度足を止めてその選手がいる観客席の方へと向かうと、一際騒がしい選手がいた。
「木兎……」
ボソッと名前を呟いただけなのに、耳が良いのか、こちらへ顔を向けた木兎。
「おぉ?!◯◯じゃん!なんでいるんだー?!もしかして応援に来てくれたのか?!サンキューな!!」
まだ何も言っていないのに勝手に応援だって決めつけて……。
昨年同じクラスになったときから思っていたけど、本当に騒がしい。
やれやれと思っていると、
「違うだろ。ほら◯◯さんもユニフォーム着てるだろ」
木葉君が代わりに説明すると、木兎は違うのかよ、とあからさまにショボくれてどこかへ行ってしまった。
確か、木兎って上手いけどメンタルが安定していないから全国5本指止まりって話を聞いたことがある。
これから試合なのに大丈夫だろうか。
だけど、ひとまず木葉君にお礼を言わないと。
「説明ありがとう」
「いや、◯◯さんもここで試合だったんだな」
「サブアリーナだけどね」
木葉君に言っても仕方がないのに、八つ当たりをしてしまった。
「あはは……」
苦笑いをする木葉君。
「あ、そうだ。もうすぐ試合だから、もし時間あるなら少しでいいから本当に応援していってよ。木兎、喜ぶぞ」
「まあ、少しくらいなら」
木葉君が言った通り、本当に直ぐに試合のコールがされ、彼らはコートへ向かった。
「木兎頑張れー」
一応、応援をしてみたけれど、私の声は他の声援に掻き消された。
まあ、私の応援が聞こえなくても、木兎の調子が良さそうだし問題ないだろう。
それにしても、木兎が凄いのはもちろんだけれど、木葉君も上手だった。
それにユミの話から何でも卒なくこなすイメージだったけれど、あんなに一生懸命な一面もあんるだ、と少しだけときめいてしまった。
ほどなくして、私のスマホが後輩のサクラちゃんからのメッセージを受信した。
どうやらもうすぐ試合の順番が来るようだ。
ここまでか。
私は後ろ髪を引かれる思いでサブアリーナへと戻った。