器用なキミが不器用になるとき
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜器用なキミが不器用になるとき〜
高校3年生の春。
新学期とは言え3回目となれば目新しいことも減ってくる。
もちろんクラス替えはドキドキするけれど、1年生と比べて周りは知っている子ばかり。
そんな中、私は教室の入り口に貼られている座席名簿を見ている女子生徒に話しかけた。
「ユミ、クラス一緒になったね」
「●●!何気に初だね!1年間よろしく!」
近藤ユミとは部活が同じで1年生の頃から仲が良かったけれど、クラスは初めて一緒になる。
まだまだ話したいことはあるけれど、いつまでも入り口にいると他の生徒の邪魔になる。
ひとまず指定された席に荷物を置いてからユミの席へと喋りに行った。
空いているユミの隣の席。
誰だか分からないけれど、まだ来ていないため椅子を借りて腰を下ろすことにした。
「この席、誰だった?」
一応、面倒な性格の持ち主だと嫌なのでユミに確認はする。
「確か、小林だったかな?」
小林君なら文句を言ってこなさそうだから大丈夫か。
「●●の隣は木葉でしょ?いいなー」
「いいな?」
ユミは木葉君と同じクラスになったことがあるらしく、そんなことを言ってきた。
そんなに羨むほど彼は魅力的なのだろうか。
いや、別に嫌う要素もないけれど、接点もなければ3年生で初めて同じクラスになったから、彼のことをよく知らない。
「だって、木葉って気さくだし、その上頭も良いから課題写させてくれるんだよ?授業で当てられて困っているときだって助けてくれるし」
あーそう言う意味か。
便利屋さんってことね。
「課題は自力でやりなさいよ」
「えへへ」
「笑って誤魔化さないの」
「あ、ほら木葉来たよ」
話を逸らしたな。
だけど、ぼんやりとしか覚えていなかった木葉君の顔。
ユミの視線の先を無意識に追ってしまった。
木葉秋紀。
背が高くて、髪はサラサラ、細目の顔立ちをしている。
どうせ直ぐに席替えをするだろうけど、せっかく隣の席になったんだから、仲良くしたいな。
1/8ページ