平日は案の定残業で、会社を出る頃には診療時間は終わっていた。

土曜日もやっているって言っていたけど、終わらなかった仕事をするために休日出勤をしないといけない。
でも、頑張ればギリギリ間に合う………はず！

別に力に会いたいから頑張る、とかそんな理由ではない。絶対に違う。
肩凝りを治したいから。
先輩がせっかく勧めてくれたところだしね。

よし、後はこのメールを送信すれば終わる……。


「お疲れ様です！」


私は勢いよく席を立ち、会社を後にした。

急ぎ足で向かう。
時計をチラ見すると、このペースなら間に合いそう。


「こんにちは」


接骨院の前で軽く息を整えてからドアを開けた。

額に滲む汗を手で扇ぎながら呼ばれるのを待った。


「◯◯さん、中へどうぞ」


施術室に入ると椅子に座った力がいた。


「やっと来たか」

「仕事が忙しくて」


土曜日もやっているって言ったのは力の方なのに。
これでも頑張った方だ。


「じゃあ、施術台にうつ伏せになって」


前回同様肩の調子を見ていく力。


「んー●●さ、余裕あれば家でもストレッチやれよな」

「善処します………うっ……痛」

「あとは水分ちゃんと取れな？」

「はーい」


ここに来ると毎回説教されるなー。

それにしても、押される度にお腹が鳴りそう。
お昼済ませる時間なんてなかったから。


「よしっ！今日はここまでな。次は期間を空けずに診察に来いよ」


肩を回すと驚くほど軽かった。
これはもう行かなくてもよいのでは？


「それと●●、この後空いてるか？」

「え、あーうん」

「俺ももう終わるから少し待っててくれないか？飯、行こうぜ」

「行く！」


私のお腹の音が聞こえていたから誘ってくれたのかは分からないけど、ゆっくり力と話したかったから嬉しかった。