あれから一応毎日就寝前にストレッチをやっては力に報告をしている。
時間があるときはビデオ通話にしながら一緒にやることも。

そのお陰あって先日受診したときは、


「うん、もう大丈夫そうだな。通院は今日までで」

「それじゃあ」

「だけど、ストレッチは続けること」

「ですよねー」


肩凝り解消できたのは嬉しいけど、力に会う口実がなくなるのは少し寂しい。

そんなある日、仕事が一段落したタイミングで力からハイキングのお誘いの連絡があった。

ストレッチだけじゃなくて、たまには身体を動かせよ、と。

理由はどうあれ久しぶりに力に会えるのは嬉しい。

私は嬉々としてハイキング用の服や荷物の準備をした。


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そして、いざ山道を目の当たりにすると心配しかない。

力は初心者コースの緩やかな道だと言っていたけど、本当かな？

でも、せっかくのデート……じゃなくて気分転換なんだし、楽しまないと。


「晴れて良かったね！」

「山の天気は変わりやすいからな」


いきなりテンション下がること言わないでよ。

しかし、いざ歩き始めると登山道は整備されており、道の起伏が少なく足腰への負担もかかりにくかった。

道中は自然や景観を眺めて散策を楽しむ余裕も。

きっと私のレベルに合ったところをいっぱい調べて探してくれたんだな。

ほどよい疲労を感じ始めたところで、


「そろそろ休憩するか」


有人の休憩所で一休みすることにした。

椅子に腰掛け、持参したお茶を渇いた喉へ一気に流し込む。


「ぷはーっ！」

「疲れたか？ここからロープウェイで上がることもできるけど」

「デスクワークなめんなよー！ここまで来たら自分の脚で登りたい！」

「そうこなくちゃな」


力と綺麗な景色を見るんだ。
山頂まで自分を鼓舞しながら登った。

後少し……。


「ほら、見てみろよ」


最後は力に手を引かれながらも何とか登頂した。
そこに広がる景色は、


「うわ～綺麗……」


緩やかに感じたけど、これだけ登ってきたのか。


「来て良かった」

「俺も」


登頂したけど、私たちの手は繋がれたまま。