キャッチコピー
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~キャッチコピー~
「やる気がないなら帰れ!」
部活の顧問に言われた私は持っていたタオルを投げ捨て、荷物をまとめた。
言われた通り帰ってやるよ。
後輩は心配そうな顔、先輩は呆れた顔をしていた。
わざとらしく大きな音を立てて体育館の扉を開けて出た。
もちろん多少の後ろめたさはあった。
でも、ちっぽけなプライドのせいで振り向けなかった。
いつもより調子が悪いだけで、あんな風に言わなくてもいいのに。顧問め。
そのまま帰るのもと思い、体育館から離れた水飲み場に腰掛け時間をもてあそぶ。
鞄からスマホを取り出し、ざっと話題のニュースの見出しを見た。
その中の最新映画情報。
“この夏、永遠の愛が生まれる”と言うキャッチコピーの高校生男女の恋愛模様が描かれたベタなラブストーリー。
永遠の愛か……。そんなものあるのかな。
そう思いながら外練習をしている生徒たちを眺める。
すると、黒いジャージを着た男子生徒がこちらへやって来た。
「◯◯じゃん、何やってんの?部活は?」
男子バレー部は外練習の日なのか。走り込みを終えた縁下が話かけてきた。
「よいしょっと」
「座っていいなんて言ってない」
縁下はそんなに堅いこと言うな、と私の言葉を無視して隣に座ってきた。
今は誰とも話したくない。それが例え好きな相手だとしても。
「何かあったのか?」
「……部活放棄した」
「そっか。……俺もさ、去年部活から逃げたことあって。半年以上も」
ダセェだろっと笑う縁下。
「結局今戻ってきて分かったんだけど、逃げた方がしんどかった」
縁下は私の方に向き直した。
「だから、◯◯も逃げんな」
「私は縁下と違うもん」
「それなら、俺も今から部活サボろうかな」
いきなり突拍子のないことを言う縁下。
「新しいコーチも厳しいんじゃないの?」
「そうだけど、でもこのまま◯◯を一人にさせるのも違うかなって」
部活から逃げたことの方がしんどかったと言った縁下に、また同じ気持ちを味合わせるのは申し訳なかった。
「部活戻りなよ」
「◯◯も部活に戻るなら俺も戻る」
ズルい。
そんなこと言われたら戻るしかないじゃん。
でも、直ぐには難しい。
「明日から……」
「ん?」
「明日からちゃんと部活行く」
「約束だからな」
そう言って縁下は自分の小指と私の小指を結んでから、部活へと戻って行った。
私は急に触れられた小指をしばらく眺めた。
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