安心する背丈
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体育祭当日。
青空が広がるグラウンドには、クラスごとに陣取った色とりどりのテントが並んでいる。
私が作った体育祭のしおりを手にしたクラスメイトたちは、競技の順番を確認しながらお喋りしたり、お菓子を回したりと和やかな雰囲気だ。
ときどき、同じクラスの男子生徒が競技に出場すれば、皆一斉に声援を送る。
また、同じチームの先輩が走る度に、
「先輩、頑張ってー!」
という声がグラウンドに響いた。
私も密かに菅原先輩が出ている時に、心の中で応援した。
中には敵チームにも関わらず、堂々と彼氏を応援している子もいる。
その様子を見て、羨ましかった。
そんな賑やかな空気の中、ふとアナウンスが流れる。
“借り物競争に出場する生徒は、待機所に集まってください”
みんなに背中を押されて、私は慌てて待機所へと向かう。
周りを見ると、足の速そうな子たちばかり。
足が遅い私は、一気に自信をなくした。
だけど、お題によってはチャンスがある。
とにかく一生懸命走るしかない。
簡単なお題……、簡単なお題……。
祈りながらスタートの合図を待つ。
“位置について……よーい……”
パンッ!!
乾いた破裂音と共に、一斉に走り出す参加者たち。
私はゼェゼェ息をしながら、借り物のお題が入った箱に手を伸ばす。
紙を開くと、そこに書かれていた内容は……。
“憧れの先輩”
すぐに頭に思い浮かんだのは菅原先輩の姿だった。
確か、3年生のテントは……。
私はテント内で友達と戯れていた先輩を見つけて、走り寄った。
「菅原先輩!一緒に来てください!」
「え、俺?!」
戸惑う暇も与えず、先輩の腕を掴んで審判員の元へ急ぐ。
先輩は目を丸くしながらも、状況をすぐに理解して私に合わせてくれた。
審判員にお題の紙を渡すと、
「はい、クリア!」
と元気な声が響く。
後は先輩と一緒にゴールへ向かうだけ。
足はもつれそうになるし、息は切れて苦しいし、止まりたくなる。
だけど、先輩に触れている部分が熱くて、心臓が速くなる。
それにつられて自然と足も動く。
そして、とうとう目の前に1本の白い線が。
腕を振り切り、その線を越えると、ようやく足を止めた。
全身から力が抜ける感覚。
「走り終わった人は、こちらへ整列してください」
ふと顔を上げると、案内係に1着の待機所へと誘導された。
そこで初めて自分が1番だということに気が付いた。
「やったー!先輩、1着ですよ!」
思わず叫んでしまった。
気が付けば、私は菅原先輩に勢いよく抱きついていた。
「あ……すみません、つい……!」
顔が熱い。
とっさに手を離そうとすると、
「いいよ」
先輩は笑いながら、優しく私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「頑張ったな、●●ちゃん。やればできるじゃん」
「それは、先輩のおかげで……」
菅原先輩に聞こえない声で小さく呟く。
「ん?何か言った?」
「なんでもありませーん!」
だって、先輩と触れていたおかげで速く走れたなんて、恥ずかしくて言えないよ。
「えー!教えてよー!」
「秘密です!」
歓声と笑い声が響くグラウンドで、私は今日の思い出をまたひとつ、大切な宝物に加えた。
青空が広がるグラウンドには、クラスごとに陣取った色とりどりのテントが並んでいる。
私が作った体育祭のしおりを手にしたクラスメイトたちは、競技の順番を確認しながらお喋りしたり、お菓子を回したりと和やかな雰囲気だ。
ときどき、同じクラスの男子生徒が競技に出場すれば、皆一斉に声援を送る。
また、同じチームの先輩が走る度に、
「先輩、頑張ってー!」
という声がグラウンドに響いた。
私も密かに菅原先輩が出ている時に、心の中で応援した。
中には敵チームにも関わらず、堂々と彼氏を応援している子もいる。
その様子を見て、羨ましかった。
そんな賑やかな空気の中、ふとアナウンスが流れる。
“借り物競争に出場する生徒は、待機所に集まってください”
みんなに背中を押されて、私は慌てて待機所へと向かう。
周りを見ると、足の速そうな子たちばかり。
足が遅い私は、一気に自信をなくした。
だけど、お題によってはチャンスがある。
とにかく一生懸命走るしかない。
簡単なお題……、簡単なお題……。
祈りながらスタートの合図を待つ。
“位置について……よーい……”
パンッ!!
乾いた破裂音と共に、一斉に走り出す参加者たち。
私はゼェゼェ息をしながら、借り物のお題が入った箱に手を伸ばす。
紙を開くと、そこに書かれていた内容は……。
“憧れの先輩”
すぐに頭に思い浮かんだのは菅原先輩の姿だった。
確か、3年生のテントは……。
私はテント内で友達と戯れていた先輩を見つけて、走り寄った。
「菅原先輩!一緒に来てください!」
「え、俺?!」
戸惑う暇も与えず、先輩の腕を掴んで審判員の元へ急ぐ。
先輩は目を丸くしながらも、状況をすぐに理解して私に合わせてくれた。
審判員にお題の紙を渡すと、
「はい、クリア!」
と元気な声が響く。
後は先輩と一緒にゴールへ向かうだけ。
足はもつれそうになるし、息は切れて苦しいし、止まりたくなる。
だけど、先輩に触れている部分が熱くて、心臓が速くなる。
それにつられて自然と足も動く。
そして、とうとう目の前に1本の白い線が。
腕を振り切り、その線を越えると、ようやく足を止めた。
全身から力が抜ける感覚。
「走り終わった人は、こちらへ整列してください」
ふと顔を上げると、案内係に1着の待機所へと誘導された。
そこで初めて自分が1番だということに気が付いた。
「やったー!先輩、1着ですよ!」
思わず叫んでしまった。
気が付けば、私は菅原先輩に勢いよく抱きついていた。
「あ……すみません、つい……!」
顔が熱い。
とっさに手を離そうとすると、
「いいよ」
先輩は笑いながら、優しく私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「頑張ったな、●●ちゃん。やればできるじゃん」
「それは、先輩のおかげで……」
菅原先輩に聞こえない声で小さく呟く。
「ん?何か言った?」
「なんでもありませーん!」
だって、先輩と触れていたおかげで速く走れたなんて、恥ずかしくて言えないよ。
「えー!教えてよー!」
「秘密です!」
歓声と笑い声が響くグラウンドで、私は今日の思い出をまたひとつ、大切な宝物に加えた。
