呼び方ひとつで
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プライベートでも菅原先輩呼びに慣れてきた頃。
授業が終わり、部活に入っていない私はそのまま真っすぐ帰ろうとした。
下駄箱で靴を履き替えて昇降口へ向かう。
すると、知った顔の人が待っていた。
「あ、菅原先輩」
「●●……」
「誰か待っているんですか?」
若干の気まずさを覚えつつも、無視するのも違うと思って話しかけた。
もしかしたら私を待っているのかも、なんて淡い期待もあったし。
「いや……その……●●を待ってた」
「え……」
まさか本当に私だったとは。
「今日は部活ないんですね」
「うん……」
珍しい。
最近は他校と練習試合をする機会が増えて楽しい、と翔陽から聞いていたから。
おかしな話だよね。
隣の席の影山君でも、幼馴染の孝ちゃんでもなく、他クラスの翔陽から教えてもらうなんて。
「久しぶりに一緒に帰りたくて」
「……」
怪しい……何か企んでいるのか。
なーんてね。
「いいですよ」
ーーーー
並んで歩く帰り道。
2人の間には何とも言えない間隔が空いている。
「高校に入って初めて一緒に帰りますね」
なんだったら小学校ぶりかな?
中学も孝ちゃんは部活が忙しくて、中々一緒に帰るタイミングがなかったから。
「あの、さ……。その敬語やめね?もう学校の外なんだし」
「それは難しいですね〜」
せっかく慣れてきたところなのに。
「だって、学校で先輩呼びしろって言ってきたのは菅原先輩ですよ。プライベートから慣らさないと、うっかり学校でも孝ちゃんって言っちゃいそうで」
「……」
黙りこくる孝ちゃん。
私、間違ったことを言っていないよね?
「……いい」
「?」
声が小さくて前半部分が聞こえなかった。
「孝ちゃんでいい」
「嫌なんじゃなかったんですか?」
「なんか……いざ呼ばれると、他人行儀と言うか……」
そんな勝手な……。
何か心境の変化でもあったのか。
「日向のこと、翔陽って呼んでるんだな」
「あ、うん。そう呼んでって言われたので」
そうでなければ普通に日向君って呼んでいた。
「……嫉妬した」
嫉妬?
孝ちゃんが翔陽に?
「勝手なのは分かってるけど、また孝ちゃんって呼んでくれないか?」
「今更……。それなら、なんで先輩って呼べって言ったの?私は最初から嫌だって言ったのに!」
「からかわれたくなかったから」
「からかうって……」
一体誰から。
私の知らないところで孝ちゃんも何かに悩んでいたの?
「中学の時に年下の女子にあだ名で呼ばれるのはおかしいってクラスメイトに言われて……それで」
私の周りでは仲が良くていいねって言われるだけだったから気が付かなかった。
まさか孝ちゃんがそんなことを言われていただなんて。
でも、だったら尚更……。
「孝ちゃんって呼んだらまたからかわれるんじゃないの?」
「それ以上に●●と距離が出来たのが嫌だった」
「……」
「だから、また呼んでくれないか」
そこまで言われたら断る理由はない。
私だって本当はずっと孝ちゃんって呼びたかった。
「そんなの当たり前だよ!孝ちゃん!」
「うん、やっぱりそっちの方がしっくり来る」
満面の笑みの孝ちゃん。
「そうだ、せっかくだし昔みたいに手でも繋いで帰るか!」
「!?」
突拍子のない提案に動揺をしてしまった。
だけど……。
私はおそるおそる手を出した。
それをぎゅっと迎えに行くように掴む孝ちゃんの大きな手。
ああ、懐かしい。
「ふふふっ」
私も思わず笑みが溢れた。
ずっと、この手を繋いでいたいな。
ーーFinーー
授業が終わり、部活に入っていない私はそのまま真っすぐ帰ろうとした。
下駄箱で靴を履き替えて昇降口へ向かう。
すると、知った顔の人が待っていた。
「あ、菅原先輩」
「●●……」
「誰か待っているんですか?」
若干の気まずさを覚えつつも、無視するのも違うと思って話しかけた。
もしかしたら私を待っているのかも、なんて淡い期待もあったし。
「いや……その……●●を待ってた」
「え……」
まさか本当に私だったとは。
「今日は部活ないんですね」
「うん……」
珍しい。
最近は他校と練習試合をする機会が増えて楽しい、と翔陽から聞いていたから。
おかしな話だよね。
隣の席の影山君でも、幼馴染の孝ちゃんでもなく、他クラスの翔陽から教えてもらうなんて。
「久しぶりに一緒に帰りたくて」
「……」
怪しい……何か企んでいるのか。
なーんてね。
「いいですよ」
ーーーー
並んで歩く帰り道。
2人の間には何とも言えない間隔が空いている。
「高校に入って初めて一緒に帰りますね」
なんだったら小学校ぶりかな?
中学も孝ちゃんは部活が忙しくて、中々一緒に帰るタイミングがなかったから。
「あの、さ……。その敬語やめね?もう学校の外なんだし」
「それは難しいですね〜」
せっかく慣れてきたところなのに。
「だって、学校で先輩呼びしろって言ってきたのは菅原先輩ですよ。プライベートから慣らさないと、うっかり学校でも孝ちゃんって言っちゃいそうで」
「……」
黙りこくる孝ちゃん。
私、間違ったことを言っていないよね?
「……いい」
「?」
声が小さくて前半部分が聞こえなかった。
「孝ちゃんでいい」
「嫌なんじゃなかったんですか?」
「なんか……いざ呼ばれると、他人行儀と言うか……」
そんな勝手な……。
何か心境の変化でもあったのか。
「日向のこと、翔陽って呼んでるんだな」
「あ、うん。そう呼んでって言われたので」
そうでなければ普通に日向君って呼んでいた。
「……嫉妬した」
嫉妬?
孝ちゃんが翔陽に?
「勝手なのは分かってるけど、また孝ちゃんって呼んでくれないか?」
「今更……。それなら、なんで先輩って呼べって言ったの?私は最初から嫌だって言ったのに!」
「からかわれたくなかったから」
「からかうって……」
一体誰から。
私の知らないところで孝ちゃんも何かに悩んでいたの?
「中学の時に年下の女子にあだ名で呼ばれるのはおかしいってクラスメイトに言われて……それで」
私の周りでは仲が良くていいねって言われるだけだったから気が付かなかった。
まさか孝ちゃんがそんなことを言われていただなんて。
でも、だったら尚更……。
「孝ちゃんって呼んだらまたからかわれるんじゃないの?」
「それ以上に●●と距離が出来たのが嫌だった」
「……」
「だから、また呼んでくれないか」
そこまで言われたら断る理由はない。
私だって本当はずっと孝ちゃんって呼びたかった。
「そんなの当たり前だよ!孝ちゃん!」
「うん、やっぱりそっちの方がしっくり来る」
満面の笑みの孝ちゃん。
「そうだ、せっかくだし昔みたいに手でも繋いで帰るか!」
「!?」
突拍子のない提案に動揺をしてしまった。
だけど……。
私はおそるおそる手を出した。
それをぎゅっと迎えに行くように掴む孝ちゃんの大きな手。
ああ、懐かしい。
「ふふふっ」
私も思わず笑みが溢れた。
ずっと、この手を繋いでいたいな。
ーーFinーー