虹がかかる
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休日の水やり当番は午前中にやらないといけないけれど、今日は他事で頭がいっぱいで忘れていた。
だって、道宮さんが澤村君とデートをするって聞かされていた日だったから。
水やり当番を思い出した頃には夕方になっていた。
急いで制服に着替え、学校へ向かった。
「ごめんね、遅くなって」
私はお花達に謝りながらホースで水やりをした。すると、
「◯◯!」
「え、なんで澤村君が?」
走りながらこちらへ向かってくる澤村君。
「ちょっと話せるか?」
「あと少しで終わるから待っててもらえる?」
水やりの続きをしようとしたら小雨が降ってきた。
これなら水やりいらなかったな。
昇降口で雨宿りをすることになったが、私は片付けがあったので、澤村君には先に待っててもらうことに。
急いでホースを巻いて、用具室へ向かった。
「お待たせ、話って何?」
「えっと……その……」
何故か話しにくそうな澤村君。
おそらく道宮さんのことだろう。
初めて見る澤村君の私服。今日デートだったんでしょ?
それがなんでここに来たかは分からないけど。
「ゆっくりでいいよ?」
正式に付き合うことになった、そう言われる心構えは出来ている。
私は穏やかな気持ちで澤村君の言葉を待った。
「俺、道宮に告白されたんだけど、付き合えないって言ってきた」
え、付き合えない?
思っていたのとは違うことを言われた。
「なんで私に話すの?」
純粋に疑問に思った。
道宮さんは私にだけしかお試しで付き合うことを言っていないはず。
それをわざわざ澤村君に話したとも思えない。
「◯◯は道宮と仲が良かったから?」
仲が良かったから、それだけで?
「いや、違う。そうじゃなくて……」
私は次の言葉を静かに待った。
「俺、◯◯のことが好き……かもしれない」
「かもしれない………」
おかしいな。
「澤村君、前に言ったこと覚えている?澤村君の方が私のことを詳しいって言ったの。それなのに、自分のことは分からないんだね」
意地悪なことを言っている自覚はある。
思い人の澤村君が私のことを好きかもしれない、と言ってくれた。
私も好き、そう言えば済む話なのに、道宮さんのことを考えると言えなかった。
気まずそうな顔をしている澤村君。
「なーんてね!」
話しているうちに雨が上がった。
「雨止んだよ。……あ、見て!」
空を見上げると綺麗な虹が出ていた。
“朝虹は雨、夕虹は晴れ”
夕日が沈まないうちにひと雨降り、その後に虹が見えると翌日は晴れると言われている。
どうやら明日は晴れるようだ。
結局私は澤村君の告白には返事をしなかった。
澤村君はきっと道宮さんに告白されたことによって恋愛スイッチが入ってしまったせいで、最近仲良くしている私のことが好きかもしれない、と思い込んでいる。
もちろん、それでも私は嬉しい。
だけど、本当にそれでいいのか、と問われれば良くないと思う。
ちゃんと澤村君に私のことを好きになってもらって貰えるように頑張るから。
そしたら告白するから。
これならフェアだよね、道宮さん。
ーーFinーー
だって、道宮さんが澤村君とデートをするって聞かされていた日だったから。
水やり当番を思い出した頃には夕方になっていた。
急いで制服に着替え、学校へ向かった。
「ごめんね、遅くなって」
私はお花達に謝りながらホースで水やりをした。すると、
「◯◯!」
「え、なんで澤村君が?」
走りながらこちらへ向かってくる澤村君。
「ちょっと話せるか?」
「あと少しで終わるから待っててもらえる?」
水やりの続きをしようとしたら小雨が降ってきた。
これなら水やりいらなかったな。
昇降口で雨宿りをすることになったが、私は片付けがあったので、澤村君には先に待っててもらうことに。
急いでホースを巻いて、用具室へ向かった。
「お待たせ、話って何?」
「えっと……その……」
何故か話しにくそうな澤村君。
おそらく道宮さんのことだろう。
初めて見る澤村君の私服。今日デートだったんでしょ?
それがなんでここに来たかは分からないけど。
「ゆっくりでいいよ?」
正式に付き合うことになった、そう言われる心構えは出来ている。
私は穏やかな気持ちで澤村君の言葉を待った。
「俺、道宮に告白されたんだけど、付き合えないって言ってきた」
え、付き合えない?
思っていたのとは違うことを言われた。
「なんで私に話すの?」
純粋に疑問に思った。
道宮さんは私にだけしかお試しで付き合うことを言っていないはず。
それをわざわざ澤村君に話したとも思えない。
「◯◯は道宮と仲が良かったから?」
仲が良かったから、それだけで?
「いや、違う。そうじゃなくて……」
私は次の言葉を静かに待った。
「俺、◯◯のことが好き……かもしれない」
「かもしれない………」
おかしいな。
「澤村君、前に言ったこと覚えている?澤村君の方が私のことを詳しいって言ったの。それなのに、自分のことは分からないんだね」
意地悪なことを言っている自覚はある。
思い人の澤村君が私のことを好きかもしれない、と言ってくれた。
私も好き、そう言えば済む話なのに、道宮さんのことを考えると言えなかった。
気まずそうな顔をしている澤村君。
「なーんてね!」
話しているうちに雨が上がった。
「雨止んだよ。……あ、見て!」
空を見上げると綺麗な虹が出ていた。
“朝虹は雨、夕虹は晴れ”
夕日が沈まないうちにひと雨降り、その後に虹が見えると翌日は晴れると言われている。
どうやら明日は晴れるようだ。
結局私は澤村君の告白には返事をしなかった。
澤村君はきっと道宮さんに告白されたことによって恋愛スイッチが入ってしまったせいで、最近仲良くしている私のことが好きかもしれない、と思い込んでいる。
もちろん、それでも私は嬉しい。
だけど、本当にそれでいいのか、と問われれば良くないと思う。
ちゃんと澤村君に私のことを好きになってもらって貰えるように頑張るから。
そしたら告白するから。
これならフェアだよね、道宮さん。
ーーFinーー
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