虹がかかる
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ーー澤村sideーー
道宮にお試し交際を申し込まれてから、初めての休日。
正直に言って、部活ばかりで道宮の気持ちには全く気が付かなかった。
あの場で断っても良かったが、泣きそうな顔をして必死に思いを伝える道宮に、心が揺さぶられてOKを出してしまった。
しかし、心が揺さぶられると同時に後悔もした。
1週間後に断るなら期待させるようなことは言わない方がよかったのではないか、と。
そんな複雑な思いを抱えたまま、待ち合わせ場所に着いた。
「澤村、ごめん待った?」
俺の顔を見ただけで、満開の笑みを向けてくる道宮。
その笑顔を見ると、決意がまた少し揺らぐ。
「いや、大丈夫」
「じゃあ、行こうか!」
道宮は、自然な動作で俺の腕にそっと自分の腕を絡ませた。
慣れたようにしてきたのに、彼女の耳は真っ赤に染まっている。
それが、彼女がどれほど勇気を出してスキンシップを取っているのかが分かる。
今日は道宮の買い物に付き合う予定だ。
気になる洋服屋に入っては服を物色する。
慣れない場で少し居心地が悪い。
「これとかどうかな?」
気になる服を試着した道宮が、試着室から出てきた。
「いいんじゃないか?」
「もー全部そう言うじゃん」
道宮は少し頬を膨らませて見せる。
「ははは、すまん」
俺は苦笑いをして謝り、その場を濁す。
道宮はそのまま試着室の中へ戻っていった。
女性物の服はよく分からない。
次に感想を求められたとき、なんと言い返そうか悩んでいると、ふとマネキンが着ている服に目がいった。
あ、◯◯に似合いそう。
その瞬間、ハッとした。
今は道宮とデートのはずなのに、なんで◯◯の顔が浮かんだのか。
俺は頭を振って、無理やり意識をデートに集中させた。
「澤村ー?」
この服も見て、と試着室から顔を出した道宮の元へ、俺は慌てて向かった。
……。
…………。
「今日はありがとうね!」
「おう」
道宮を家に送るため、2人で駅に向かって歩く。
道宮はいい買い物ができたことや、カフェで食べたスイーツが美味しかったことなど、今日の1日の出来事の感想を楽しそうに話している。
その声を聞いていると、罪悪感が募っていった。
そんな話を聞いていると、いつの間にか目的地の駅に着いていた。
改札口の前で、俺たちは足を止める。
「ねえ、澤村」
道宮が、いつもより少しトーンを落とした真剣な声で、俺を呼んだ。
「ん、なんだ?」
「今日でお試し期間終わるね」
「……」
道宮が言わんとしていることは分かる。
決断のときだ。
「俺は……」
ーーーー
道宮を送り届けた後、無性に◯◯に会いたくなった。
休日だけど、ひょっとしたら花壇の水やりのために学校に来ているのではないか。
そんなこ淡い期待を抱いて、俺は学校へ向かった。
……。
…………。
昇降口を過ぎて、花壇が見える場所に辿り着いた。
「◯◯!」
俺の予感は的中した。
◯◯が屈んで花壇の水やりをしていた。
「え、なんで澤村君が?」
突然の俺の出現に、◯◯は驚いた表情を見せた。
「ちょっと話せるか?」
◯◯はあと少しで終わるから、と言って水やりを急いでくれた。
だが、その途中で雨が降ってきたため、切り上げて昇降口で雨宿りをすることに。
そこでも◯◯は片付けがあるから待ってて、と言い、水やりをしていたホースをしまうために、その場を離れた。
数分後。
「お待たせ、話って何?」
水やりホースを片付けた◯◯が、少し息を切らしながら戻ってきた。
「えっと……その……」
ここへ来るまでの間、散々時間があったはずなのに、いざ彼女を前にすると、何から話せばよいのか。
言葉が詰まって出てこない。
「ゆっくりでいいよ?」
急に来た俺を責めることなく、◯◯は微笑みながら待っていてくれる。
俺は意を決して、今日起こったことを話した。
「俺、道宮に告白されたんだけど、付き合えないって言ってきた」
もっと他に言い方があったはずなのに、こんな言葉しか出てこなかった。
「なんで私に話すの?」
◯◯は驚きで目を見開いた後、静かに尋ねた。
「◯◯は道宮と仲が良かったから?」
なぜ俺は疑問系で答えてしまったんだ。
いや、本当は分かっているはずだ。
◯◯には、自分の口から伝えないといけない。
勘違いさせないように、と。
道宮と仮で付き合っている間に頭に思い浮かぶのは◯◯のことばかり。
俺は◯◯のことが……。
道宮にお試し交際を申し込まれてから、初めての休日。
正直に言って、部活ばかりで道宮の気持ちには全く気が付かなかった。
あの場で断っても良かったが、泣きそうな顔をして必死に思いを伝える道宮に、心が揺さぶられてOKを出してしまった。
しかし、心が揺さぶられると同時に後悔もした。
1週間後に断るなら期待させるようなことは言わない方がよかったのではないか、と。
そんな複雑な思いを抱えたまま、待ち合わせ場所に着いた。
「澤村、ごめん待った?」
俺の顔を見ただけで、満開の笑みを向けてくる道宮。
その笑顔を見ると、決意がまた少し揺らぐ。
「いや、大丈夫」
「じゃあ、行こうか!」
道宮は、自然な動作で俺の腕にそっと自分の腕を絡ませた。
慣れたようにしてきたのに、彼女の耳は真っ赤に染まっている。
それが、彼女がどれほど勇気を出してスキンシップを取っているのかが分かる。
今日は道宮の買い物に付き合う予定だ。
気になる洋服屋に入っては服を物色する。
慣れない場で少し居心地が悪い。
「これとかどうかな?」
気になる服を試着した道宮が、試着室から出てきた。
「いいんじゃないか?」
「もー全部そう言うじゃん」
道宮は少し頬を膨らませて見せる。
「ははは、すまん」
俺は苦笑いをして謝り、その場を濁す。
道宮はそのまま試着室の中へ戻っていった。
女性物の服はよく分からない。
次に感想を求められたとき、なんと言い返そうか悩んでいると、ふとマネキンが着ている服に目がいった。
あ、◯◯に似合いそう。
その瞬間、ハッとした。
今は道宮とデートのはずなのに、なんで◯◯の顔が浮かんだのか。
俺は頭を振って、無理やり意識をデートに集中させた。
「澤村ー?」
この服も見て、と試着室から顔を出した道宮の元へ、俺は慌てて向かった。
……。
…………。
「今日はありがとうね!」
「おう」
道宮を家に送るため、2人で駅に向かって歩く。
道宮はいい買い物ができたことや、カフェで食べたスイーツが美味しかったことなど、今日の1日の出来事の感想を楽しそうに話している。
その声を聞いていると、罪悪感が募っていった。
そんな話を聞いていると、いつの間にか目的地の駅に着いていた。
改札口の前で、俺たちは足を止める。
「ねえ、澤村」
道宮が、いつもより少しトーンを落とした真剣な声で、俺を呼んだ。
「ん、なんだ?」
「今日でお試し期間終わるね」
「……」
道宮が言わんとしていることは分かる。
決断のときだ。
「俺は……」
ーーーー
道宮を送り届けた後、無性に◯◯に会いたくなった。
休日だけど、ひょっとしたら花壇の水やりのために学校に来ているのではないか。
そんなこ淡い期待を抱いて、俺は学校へ向かった。
……。
…………。
昇降口を過ぎて、花壇が見える場所に辿り着いた。
「◯◯!」
俺の予感は的中した。
◯◯が屈んで花壇の水やりをしていた。
「え、なんで澤村君が?」
突然の俺の出現に、◯◯は驚いた表情を見せた。
「ちょっと話せるか?」
◯◯はあと少しで終わるから、と言って水やりを急いでくれた。
だが、その途中で雨が降ってきたため、切り上げて昇降口で雨宿りをすることに。
そこでも◯◯は片付けがあるから待ってて、と言い、水やりをしていたホースをしまうために、その場を離れた。
数分後。
「お待たせ、話って何?」
水やりホースを片付けた◯◯が、少し息を切らしながら戻ってきた。
「えっと……その……」
ここへ来るまでの間、散々時間があったはずなのに、いざ彼女を前にすると、何から話せばよいのか。
言葉が詰まって出てこない。
「ゆっくりでいいよ?」
急に来た俺を責めることなく、◯◯は微笑みながら待っていてくれる。
俺は意を決して、今日起こったことを話した。
「俺、道宮に告白されたんだけど、付き合えないって言ってきた」
もっと他に言い方があったはずなのに、こんな言葉しか出てこなかった。
「なんで私に話すの?」
◯◯は驚きで目を見開いた後、静かに尋ねた。
「◯◯は道宮と仲が良かったから?」
なぜ俺は疑問系で答えてしまったんだ。
いや、本当は分かっているはずだ。
◯◯には、自分の口から伝えないといけない。
勘違いさせないように、と。
道宮と仮で付き合っている間に頭に思い浮かぶのは◯◯のことばかり。
俺は◯◯のことが……。
