虹がかかる
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ある日の放課後。
「●●ちゃん」
美化委員の水やりがないから早く帰れると思っていたら、道宮さんに呼び止められた。
「道宮さん、何?」
「ここだとちょっと……。付いてきてくれない?」
「う、うん……」
人がいるところだと話せないこととは、何だろう。
全く心当たりが浮かばないまま、私は誰もいない空き教室に連れて行かれた。
窓ガラスは少し曇っていて、埃っぽい匂いがする。
道宮さんは扉を閉め、くるりと私の方に向き合って立つ。
「ここならいいかな」
彼女はそう言って、改まって話し出した。
「ねえ、●●ちゃん。去年の修学旅行の夜に話した女子トーク、覚えてる?」
覚えている。
忘れるはずがない。
道宮さんは澤村君のことが好きと告白をし、気を遣った私は早川君と答えた、あの夜。
「うん。それがどうかしたの?」
道宮さんは一歩私に近付き、強い決意をした表情で口を開いた。
「私ね、あのとき言った好きな人への気持ち、まだ変わっていないの。●●ちゃんはどう?」
「私は……」
早川君には申し訳ないけど、元々好きと言う感情はなかった。
それは1年経った今でも変わらない。
だから「もう好きじゃなくなった」と言えば済む話だ。
それでも、私は道宮さんには嘘を吐きたくなかった。
澤村君への気持ちに嘘を吐きたくなかった。
「私も……澤村君のことが好きなの」
言葉にした途端、彼女の反応が怖くて、一瞬目を閉じてしまう。
「……」
道宮さんは、今どんな顔をしているだろう。
驚き、怒り、軽蔑。
だけど、そのどれでもなく、彼女は納得した表情をしていた。
「やっぱりね」
「え?」
道宮さんは静かに微笑んだ。
「澤村を見ていると、いつも●●ちゃんも視界に入ってくるの。私と同じ、好きな人を見るときの目」
私ってそんなに分かりやすかったのか。
もし澤村君にもバレていたら……。
そう思った瞬間、背中に一筋の汗が流れた。
すると、それを察してくれたのか、道宮さんはくすりと笑って、優しい声で補足をした。
「澤村は鈍いし、●●ちゃんの気持ちは私にしかバレていないから安心して」
その言葉に安堵し、肩の力が抜けた。
だけど、心休まるのも束の間。
道宮さんは自信あふれた声で、私に宣言をしてきた。
「私たち、ライバルだね」
私を認めているような、純粋な対抗心。
「私も遠慮しないから。どっちが澤村と付き合っても怨みっこなしね!」
その言葉には、一切の含みや悪意がなく、ただ真剣なスポーツマンシップのようなものが感じられた。
「う、うん!」
こんなときでも明るい道宮さんは、格好いいと思った。
「●●ちゃん」
美化委員の水やりがないから早く帰れると思っていたら、道宮さんに呼び止められた。
「道宮さん、何?」
「ここだとちょっと……。付いてきてくれない?」
「う、うん……」
人がいるところだと話せないこととは、何だろう。
全く心当たりが浮かばないまま、私は誰もいない空き教室に連れて行かれた。
窓ガラスは少し曇っていて、埃っぽい匂いがする。
道宮さんは扉を閉め、くるりと私の方に向き合って立つ。
「ここならいいかな」
彼女はそう言って、改まって話し出した。
「ねえ、●●ちゃん。去年の修学旅行の夜に話した女子トーク、覚えてる?」
覚えている。
忘れるはずがない。
道宮さんは澤村君のことが好きと告白をし、気を遣った私は早川君と答えた、あの夜。
「うん。それがどうかしたの?」
道宮さんは一歩私に近付き、強い決意をした表情で口を開いた。
「私ね、あのとき言った好きな人への気持ち、まだ変わっていないの。●●ちゃんはどう?」
「私は……」
早川君には申し訳ないけど、元々好きと言う感情はなかった。
それは1年経った今でも変わらない。
だから「もう好きじゃなくなった」と言えば済む話だ。
それでも、私は道宮さんには嘘を吐きたくなかった。
澤村君への気持ちに嘘を吐きたくなかった。
「私も……澤村君のことが好きなの」
言葉にした途端、彼女の反応が怖くて、一瞬目を閉じてしまう。
「……」
道宮さんは、今どんな顔をしているだろう。
驚き、怒り、軽蔑。
だけど、そのどれでもなく、彼女は納得した表情をしていた。
「やっぱりね」
「え?」
道宮さんは静かに微笑んだ。
「澤村を見ていると、いつも●●ちゃんも視界に入ってくるの。私と同じ、好きな人を見るときの目」
私ってそんなに分かりやすかったのか。
もし澤村君にもバレていたら……。
そう思った瞬間、背中に一筋の汗が流れた。
すると、それを察してくれたのか、道宮さんはくすりと笑って、優しい声で補足をした。
「澤村は鈍いし、●●ちゃんの気持ちは私にしかバレていないから安心して」
その言葉に安堵し、肩の力が抜けた。
だけど、心休まるのも束の間。
道宮さんは自信あふれた声で、私に宣言をしてきた。
「私たち、ライバルだね」
私を認めているような、純粋な対抗心。
「私も遠慮しないから。どっちが澤村と付き合っても怨みっこなしね!」
その言葉には、一切の含みや悪意がなく、ただ真剣なスポーツマンシップのようなものが感じられた。
「う、うん!」
こんなときでも明るい道宮さんは、格好いいと思った。
