虹がかかる
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〜 虹がかかる〜
高校2年生の修学旅行。
肌寒い秋の夜、旅館の一室は真っ暗闇だけれど、どこか落ち着かない空気に包まれている。
消灯時間は特に過ぎているけれど、このまま寝てしまうのはもったいない。
無理やり布団に潜りもんでいるけど、中々寝付けない。
寝ないといけないのに。
扉の向こうでは、時たま先生が巡回しているのか、微かに足音が聞こえてくる。
すると、隣で寝ていたはずの林さんが、天井の一点を見つめながら、囁くように話しかけてきた。
「ねえ、みんなまだ起きてる?」
その問いかけを合図に、数人の子たちが返事をする。
「うん……」
「寝れないよね」
「分かる」
「それならさ、好きな人言い合おうよ。嘘はなしね」
林さんのその一言がきっかけで、私たちは順番に告白することになった。
「まずは言い出しっぺの私からね。私は────」
誰かの名前が挙がる度に、小さな歓声と笑い声が布団の中にこもる。
心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、私は自分の番が近付くのを待った。
そして、私の1つ前、道宮さんの番になった。
彼女は、運動神経も良くてスタイル抜群。
いつも明るい彼女は、私にも気さくに接してくれる。
そんな彼女が気になる相手は、意外な人物だった。
「私は澤村」
道宮さんの声は、暗闇の中でもハッキリと響いた。
その告白に、私は一瞬だけ心臓が止まる。
澤村君。
バレー部の、誰よりも一生懸命で頼りになる澤村大地君のことだ。
他に思い当たる名前はない。
こんな偶然があるなんて。
だって、私も澤村君のことが好きだから。
だけど、明らかに道宮さんの方が、澤村君とお似合いだ。
ここで私も澤村君のことを好きだと言ったら、気まずい雰囲気になるのが目に見えている。
そんなことを考えていると、道宮さんに名前を呼ばれた。
「次、●●ちゃんの番だよ」
「あ、うん……。えっと、私は……」
咄嗟に、口から出たのは、全く別の人の名前だった。
「……早川君、かな」
自分の声が、まるで他人のもののように感じだ。
「彼、面白いよね」
道宮さんは、あっけらかんと笑った。
その夜の吐いた小さな嘘のせいで、この瞬間から、私の好きな人は早川君になってしまった。
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