帰宅するため電車に揺られながらメールのチェックをしていると、迷惑メールに紛れて高校の同窓会のお知らせが来ていた。

卒業してから5年。

私が最初に思い浮かべたのは幼馴染みの澤村大地。

家が近所で、昔から家族ぐるみで仲が良かった。
だから当時は付き合うのも時間の問題だと思っていた。
私が大学から一人暮らしを始めるまでは。

今まで近所に住んでいたということもあって、連絡は取らなくても問題がなかったけど、進学してから私は年末年始以外実家に帰らず、必然的に大地と顔を合わせる機会もなくなった。

元々していなかった連絡も今さら何を送ればいいのか分からず、疎遠のまま就職。

大地は今何をしているのかな？まだ実家に住んでいるのかな？

これを機に実家に顔を出すのもいいかもしれない。

そんなことを考えながら出席の返事をした。


ーーーー


カジュアルなパーティードレスを身にまとい、玄関の扉を開けながら見送ってくれた母に言った。


「帰りは何時になるか分からないから。行ってきます」


同窓会の会場は実家からの方がアクセスがよかったので、顔を出すだけのつもりだったけど、泊まることにした。

両親に大地のことを聞いてもよかったが、それは会ってからの楽しみに取っておくことに。

会場はホテルの一室を貸し切った空間。
受付を済ませて部屋に入ると、そこには懐かしい顔ぶれが合った。


「●●ちゃん久しぶり～」

「もしかしてえっちゃん？うわ、久しぶり！」


仲が良い子がいてひとまず安心。

えーっと、大地は来てるのかな？
キョロキョロしている私を見てえっちゃんは聞いてきた。


「誰か探してるの？もしかして澤村君？」

「え、なんで分かったの」

「なんでって、当時●●ちゃんと一番仲がよかった男子って澤村君でしょ？」


自覚はしていたけど、周りからもそう思われていたと思うと、昔のことながらちょっとだけ恥ずかしくなった。


「澤村君、忙しいから来るかどうか分からないよ」

「忙しい？」

「あれ？聞いていないの？彼、警察官になったんだって」


大地が何をしているのか両親からも聞かないようにしていたのに、まさかえっちゃんから知らされるとは。

そうか、警察官か。


「詳しいね」

「私、地元で就職したから、勝手に耳に入ってくるのよ」


口ぶりからえっちゃんが大地と結婚したから詳しい、と言う訳ではなさそうでよかった。

でも、えっちゃんじゃなくて他の人と結婚している可能性もある。

って、なんで私はそんな心配をしているんだろう。