守る意味
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~守る意味~
「◯◯さんのこと守り続けるから、俺と付き合ってほしい」
同僚の高橋君に終業後にご飯に誘われたと思ったら、お付き合いの申し込みをされた。
「守るって何から?」
高橋君もそんなことを言われると思っていなかったのか、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
でも、それは私も同じだ。
支える、でも側にいるでもなく“守る”の言葉をあえて選んだ高橋君には驚いた。
別に私たちは命を狙われるような仕事もしていなければ、怪獣が暴れる世界にいる訳でもない。
ヒーロー漫画の読みすぎなのか、純粋に何から守るのか気になった。
「そ、それは………」
言葉に詰まる高橋君。
彼のことは嫌いじゃない。むしろ好きの部類だったけれど、
「ごめんなさい」
中々答えを出さない高橋君を待たずに断ってしまった。
どうも告白に使われた安易な“守る”と言う言葉が引っ掛かって、付き合えなかった。
それ以来、同じ部署の高橋君と顔を合わせる機会があっても、お互い告白なんかなかったものとして過ごしている。
ーーーー
ある日、コーヒーを入れようと給湯室へ行くと、高橋君と他の男性社員の声が聞こえてきた。
咄嗟に隠れて二人の話を聞いていると、どうやら好みの女性の話をしているようだ。
「女優のナナちゃん結婚したな。俺タイプだったのに。高橋はどんな子がタイプ?」
「素直に守らせてくれる子かな」
「分かる。俺がいないと生きていけないってくらい依存されたいわ」
高橋君、まだそんなこと言っているんだ。
根に持っているのかな。
もちろん、私だって助けて欲しいときはある。
だけどそれは守って欲しいのではなく、手伝って欲しいという言い方が正しいのかもしれない。主に仕事だけど。
我ながら可愛げのないことは自覚しているけど、どうもあのとき以来“守る”と言う言葉に過敏になっているようだ。
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