正義の面を被った狼
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翌日、私は意を決して、再び交番の扉をくぐった。
「あの、すみません……」
応対したのは、前回とは違う警察官だった。
私と同い年くらいだろうか。
その整った顔立ちと、少し緊張したような立ち振る舞いに、私は淡い期待を抱いた。
歳が近いなら、もしかしたら親身になってくれるかもしれない。
「はい、どうかしましたか?」
穏やかな声に、少し安堵する。
「相談がありまして。嫌がらせの手紙が、ほぼ毎日ポストに入れられているんです……」
私は鞄の底から、ビニール袋にまとめて入れていた手紙の束を取り出した。
テーブルの上に、証拠の塊を並べる。
その数は、小さな山になっていた。
若い警察官が、真剣な面持ちで手紙を確認しようと手を伸ばした、そのとき。
奥の事務室から、ドタドタと重い足音が聞こえ、見覚えのある別の警察官が出てきた。
前回私を門前払いした、中年の男性警察官だ。
「あれ、キミ。この前も来てたよね」
低い声が響く。
私は体が強ばるのを感じた。
ああ、この人も今日は勤務だったのか。
最悪だ。
「前も言ったけど、実害は出てないんでしょ? 郵便受けに入れられただけなら、こっちは何もできないの」
私の胸の奥が、じわりと冷えた気がした。
また悔しい思いだけを抱えて帰らなければならないのだろうか。
だけど、中年の警察官はさらに追い打ちをかけてきた。
「それにさ、印刷された字で、切手も貼っていない手紙なんて」
彼は手紙の束を指先で軽く叩き、嘲笑うような視線を私に向けた。
「自作自演なんじゃないの?」
その言葉は、私の心を深く切り裂いた。
市民を守るためのはずの警察官に、どうして私が、被害者であるにも関わらず自作自演だと疑われなければならないのか。
言いようのない怒りと、誰にも助けを求められない悲しさが、胸の中で激しい渦を巻く。
「そんな……っ」
私が反論の言葉を絞り出そうとした、そのとき。
ガタッと交番のドアが開き、後ろから1人の女性が交番を覗き込むように訪ねてきた。
「あの、落とし物拾ったんですけど……」
中年の警察官は、一瞬で私への関心を失った。
「はいはい、落とし物ですね。こちらの用紙に記入してください」
彼は私から、落とし物を持ってきた女性へと、露骨に顔を向けた。
私の用件はまだ終わっていないのに。
私は、手紙の束が並ぶテーブルの脇に、立ち尽くすしかできなかった。
やがて、彼は落とし物の用紙を指し示しながら、私に向かって冷たい視線を投げつけた。
「いつまでいてもこっちは何もできないから。キミは帰った帰った」
彼は手でシッシッと、まるで野良猫を追い払うようなジェスチャーをした。
私は半ば強引に、その場を追い出されてしまった。
一連の始終を見ていた若い警察官は、私から視線を逸らし、居心地が悪そうにしている。
彼に悪意はないのかもしれない。
だけど、そんな顔をされても、結局私を取り合ってくれないなら、あの中年の警察官と同じだ。
「……失礼しました」
私は静かにそう告げ、机に並べた手紙の山を乱雑に掴み、足早に交番を後にした。
やっぱり警察なんか当てにならない。
私を守ってくれるのは、もう私自身しかいないのだ。
この卑劣な状況から抜け出すためには、もう自分でなんとかするしかない。
「こうなったら、早くお金を貯めて、こんな場所から引っ越してやる」
私は小さな決意をした。
「あの、すみません……」
応対したのは、前回とは違う警察官だった。
私と同い年くらいだろうか。
その整った顔立ちと、少し緊張したような立ち振る舞いに、私は淡い期待を抱いた。
歳が近いなら、もしかしたら親身になってくれるかもしれない。
「はい、どうかしましたか?」
穏やかな声に、少し安堵する。
「相談がありまして。嫌がらせの手紙が、ほぼ毎日ポストに入れられているんです……」
私は鞄の底から、ビニール袋にまとめて入れていた手紙の束を取り出した。
テーブルの上に、証拠の塊を並べる。
その数は、小さな山になっていた。
若い警察官が、真剣な面持ちで手紙を確認しようと手を伸ばした、そのとき。
奥の事務室から、ドタドタと重い足音が聞こえ、見覚えのある別の警察官が出てきた。
前回私を門前払いした、中年の男性警察官だ。
「あれ、キミ。この前も来てたよね」
低い声が響く。
私は体が強ばるのを感じた。
ああ、この人も今日は勤務だったのか。
最悪だ。
「前も言ったけど、実害は出てないんでしょ? 郵便受けに入れられただけなら、こっちは何もできないの」
私の胸の奥が、じわりと冷えた気がした。
また悔しい思いだけを抱えて帰らなければならないのだろうか。
だけど、中年の警察官はさらに追い打ちをかけてきた。
「それにさ、印刷された字で、切手も貼っていない手紙なんて」
彼は手紙の束を指先で軽く叩き、嘲笑うような視線を私に向けた。
「自作自演なんじゃないの?」
その言葉は、私の心を深く切り裂いた。
市民を守るためのはずの警察官に、どうして私が、被害者であるにも関わらず自作自演だと疑われなければならないのか。
言いようのない怒りと、誰にも助けを求められない悲しさが、胸の中で激しい渦を巻く。
「そんな……っ」
私が反論の言葉を絞り出そうとした、そのとき。
ガタッと交番のドアが開き、後ろから1人の女性が交番を覗き込むように訪ねてきた。
「あの、落とし物拾ったんですけど……」
中年の警察官は、一瞬で私への関心を失った。
「はいはい、落とし物ですね。こちらの用紙に記入してください」
彼は私から、落とし物を持ってきた女性へと、露骨に顔を向けた。
私の用件はまだ終わっていないのに。
私は、手紙の束が並ぶテーブルの脇に、立ち尽くすしかできなかった。
やがて、彼は落とし物の用紙を指し示しながら、私に向かって冷たい視線を投げつけた。
「いつまでいてもこっちは何もできないから。キミは帰った帰った」
彼は手でシッシッと、まるで野良猫を追い払うようなジェスチャーをした。
私は半ば強引に、その場を追い出されてしまった。
一連の始終を見ていた若い警察官は、私から視線を逸らし、居心地が悪そうにしている。
彼に悪意はないのかもしれない。
だけど、そんな顔をされても、結局私を取り合ってくれないなら、あの中年の警察官と同じだ。
「……失礼しました」
私は静かにそう告げ、机に並べた手紙の山を乱雑に掴み、足早に交番を後にした。
やっぱり警察なんか当てにならない。
私を守ってくれるのは、もう私自身しかいないのだ。
この卑劣な状況から抜け出すためには、もう自分でなんとかするしかない。
「こうなったら、早くお金を貯めて、こんな場所から引っ越してやる」
私は小さな決意をした。
