正義の面を被った狼
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~正義の面を被った狼~
新社会人になるにあたって、最近一人暮らしを始めた。
選んだアパートはオートロックなしの1階角部屋。
親からは女の子の一人暮らしなんだからオートロック有りの2階以上にしなさい、って言われたけど私のお給料ではいい物件が見つけられなかった。
でも角部屋は当たりだし、1階は階段の上り下りがなく、忘れ物をした際も直ぐに取りに戻れて便利だと思う。
そう思っていたのに、引っ越しをしてしばらくして後悔した。
多少無理をしてでも親の言うことを聞いておけば良かったって。
ーーーー
仕事が終わり、帰宅。ポストを開けるとため息が出る。
「またか」
ここ最近毎日のように差出人不明の手紙が届く。
切手が貼っていないから直接ポストに入れていることが分かる。
こんな手紙触りたくもないが、証拠だと思って渋々回収する。
手紙の内容は“なんで振り向いてくれないの?”や“ずっと見ているのに”のような好意を綴った一言ばかり書かれている。
今回もそうだろう。
防犯を兼ねて男性用下着を干したりもしたが“君が履くには似合わない下着だね”とすぐに見破られた挙げ句、ご丁寧に下着のプレゼントまでされた。
プレゼントには盗聴器が仕込まれている可能性があると聞いたことがあるが、この透け透けの下着のどこに盗聴器が隠せるだろう。
取りあえず証拠の写真だけ納めて、捨ててやった。
まともに恋愛したことがないのに、初めて好かれた相手がストーカーとか勘弁してほしい。
引っ越しがしたくても、引っ越し費用がない。
親には忠告を無視した後ろめたさがあって言いにくい。
初めてストーカーからの手紙が届いたとき、交番に行ったけど、手紙は害がないから読まずに捨ててくださいの一言で門前払い。
実害がないと動いてくれない無能。
でも、さすがに20通近く貯まった手紙を見たらなんとかしてくれるだろう。
明日、また交番に行く。
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