オツムと侑と私
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ーーおまけ(侑side)ーー
「────ツム、弱い……」
……は?今、なんて言うた?
俺が、弱い……?
寝ぼけながらにも、前の席から聞こえてきたその言葉に、俺の心臓は文字通り跳ねた。
あまりの衝撃に、頭が冴える。
確かに最近の練習は、北さんにもサムにも詰められるほど、不調だと自覚している。
せやけど、それをバレーも知らん素人に、しかもよりによって●●に言われるなんて思っとらんかった。
●●はいつだって俺のことを「格好良い」って言うてくれてたやん。
内心、そんな風に俺を見下しとったんか。
情けないのと、腹立たしいのと、何より泣きそうなくらい悲しいのが混ざって、胸の中がぐちゃぐちゃになった。
そこからの2週間は、自分でも最低やと思うくらいの態度を取った。
朝、まだ眠そうに目を擦りながら俺の名前を無邪気に呼ぶ声が聞こえても、あえて無視して歩みを速めた。
チラリと見えた●●の顔が、不安げに眉を下げて歪む。
なんで、そないな顔するんや。
傷ついとるのは、俺の方やろ。
引くに引けんくなって、教室でもわざと冷たい言葉を投げた。
横で銀が「お前、それはやりすぎやろ」って顔で見とるのも分かっとったけど、一度振り上げた拳の下ろし方が分からんかった。
テスト勉強も全然手がつけられへん。
バレーの練習をしとる時だけは忘れられるけど、部活が終わればまた、●●の「ツム、弱い」という言葉が頭の中を回る。
……あかん、もう限界や。
ーーーー
期末テスト期間の図書室。
必死にノートを広げとる●●を見つけた瞬間、足が勝手に動いとった。
顔を見たら、絶対またキツいこと言ってしまう。
そう自覚しとるのに、隣に座らずにはおれんかった。
「……あの、私、何か怒らせるようなことした?」
震える声で聞かれて、堪えとったもんが全部溢れた。
「……自分、言うたよな。ツム、弱いって。誰よりもバレー必死にやっとる人間に向かって、ようそんなこと言えたもんやな」
口に出すと、余計に自分が惨めで、ちっぽけな男に思えた。
世界一のセッターを目指す男が、女の子の一言にここまで振り回されて。
せやけど、●●の口から出たのは、予想もしない言葉やった。
「私が言ったのは“ツム”じゃなくて“オツム”!」
……オツム?
「私の頭が悪いって、自虐してただけ!侑君のことなんて一文字も言ってないよ!」
……は?
理解が追いついた瞬間、心臓がドクンと跳ねて、そこから一気に顔が沸騰しそうなほど熱くなった。
思い出せ。
あの日の●●の机の上。
そこに転がっとったのは、見るも無惨な点数の小テストや。
“オツムが弱い”
ただの、自分の点数に対する嘆き。
俺……俺、俺はなんてことを……!!
2週間。
自分の名前と聞き間違えて。
勝手に傷ついて、勝手に絶望して、ずっと無視して……。
「……死にたい」
ほんまに、死にたい。
教科書に顔を押し付けて、消えてしまいたいと思った。
穴があったら入りたいなんてレベルやない。
不安にさせて、悲しませて、俺は何をしとったんや。
申し訳なさと、勘違いだったっていう安心感が混ざって、視界が熱くなる。
「……埋め合わせさせて。テスト終わったら、美味いもん食いに行こう。……2人で」
これ以上、まともに彼女の顔を見られへん。
俺は少し乱暴に、●●の柔らかな頭を撫でた。
サラサラした髪の感触が手に残る。
……絶対、この埋め合わせは高くつく。
やけど、次はもう聞き間違わへん。
●●が俺に向かって言う言葉は、一文字も、逃さんと聞くって決めた。
「────ツム、弱い……」
……は?今、なんて言うた?
俺が、弱い……?
寝ぼけながらにも、前の席から聞こえてきたその言葉に、俺の心臓は文字通り跳ねた。
あまりの衝撃に、頭が冴える。
確かに最近の練習は、北さんにもサムにも詰められるほど、不調だと自覚している。
せやけど、それをバレーも知らん素人に、しかもよりによって●●に言われるなんて思っとらんかった。
●●はいつだって俺のことを「格好良い」って言うてくれてたやん。
内心、そんな風に俺を見下しとったんか。
情けないのと、腹立たしいのと、何より泣きそうなくらい悲しいのが混ざって、胸の中がぐちゃぐちゃになった。
そこからの2週間は、自分でも最低やと思うくらいの態度を取った。
朝、まだ眠そうに目を擦りながら俺の名前を無邪気に呼ぶ声が聞こえても、あえて無視して歩みを速めた。
チラリと見えた●●の顔が、不安げに眉を下げて歪む。
なんで、そないな顔するんや。
傷ついとるのは、俺の方やろ。
引くに引けんくなって、教室でもわざと冷たい言葉を投げた。
横で銀が「お前、それはやりすぎやろ」って顔で見とるのも分かっとったけど、一度振り上げた拳の下ろし方が分からんかった。
テスト勉強も全然手がつけられへん。
バレーの練習をしとる時だけは忘れられるけど、部活が終わればまた、●●の「ツム、弱い」という言葉が頭の中を回る。
……あかん、もう限界や。
ーーーー
期末テスト期間の図書室。
必死にノートを広げとる●●を見つけた瞬間、足が勝手に動いとった。
顔を見たら、絶対またキツいこと言ってしまう。
そう自覚しとるのに、隣に座らずにはおれんかった。
「……あの、私、何か怒らせるようなことした?」
震える声で聞かれて、堪えとったもんが全部溢れた。
「……自分、言うたよな。ツム、弱いって。誰よりもバレー必死にやっとる人間に向かって、ようそんなこと言えたもんやな」
口に出すと、余計に自分が惨めで、ちっぽけな男に思えた。
世界一のセッターを目指す男が、女の子の一言にここまで振り回されて。
せやけど、●●の口から出たのは、予想もしない言葉やった。
「私が言ったのは“ツム”じゃなくて“オツム”!」
……オツム?
「私の頭が悪いって、自虐してただけ!侑君のことなんて一文字も言ってないよ!」
……は?
理解が追いついた瞬間、心臓がドクンと跳ねて、そこから一気に顔が沸騰しそうなほど熱くなった。
思い出せ。
あの日の●●の机の上。
そこに転がっとったのは、見るも無惨な点数の小テストや。
“オツムが弱い”
ただの、自分の点数に対する嘆き。
俺……俺、俺はなんてことを……!!
2週間。
自分の名前と聞き間違えて。
勝手に傷ついて、勝手に絶望して、ずっと無視して……。
「……死にたい」
ほんまに、死にたい。
教科書に顔を押し付けて、消えてしまいたいと思った。
穴があったら入りたいなんてレベルやない。
不安にさせて、悲しませて、俺は何をしとったんや。
申し訳なさと、勘違いだったっていう安心感が混ざって、視界が熱くなる。
「……埋め合わせさせて。テスト終わったら、美味いもん食いに行こう。……2人で」
これ以上、まともに彼女の顔を見られへん。
俺は少し乱暴に、●●の柔らかな頭を撫でた。
サラサラした髪の感触が手に残る。
……絶対、この埋め合わせは高くつく。
やけど、次はもう聞き間違わへん。
●●が俺に向かって言う言葉は、一文字も、逃さんと聞くって決めた。
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