オツムと侑と私
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〜オツムと侑と私〜
その日の休み時間、私は先ほどの授業で返された小テストを見つめながら、友達とため息を吐いていた。
返ってきたテストの点数が、あまりにも壊滅的だったからだ。
「●●どうだった?」
「嫌になるくらい全然ダメ。私、本当にオツム、弱い……」
自虐まじりに溢したその言葉。
その瞬間、すぐ後ろの席で机に突っ伏して寝ていたはずの侑君の肩が、ピクリと不自然に跳ねた。
あ、起こしちゃったかな……?
恐る恐る振り返ったけれど、彼は顔を伏せたまま動かない。
結局、彼は次の授業を告げるチャイムが鳴るまで、一度も顔を上げなかった。
それからだ。
クラスのムードメーカーで、誰にでも気さくに話しかけてくる侑君の態度が、一変したのは。
ーーーー
翌朝。
朝練に向かうため、あくびを噛み殺しながら登校していた。
その通学路の少し先に、見覚えのある高身長と、特徴的な髪色を見つけた。
「侑くーん!おはよう!」
いつものように、屈託のない笑顔で応えてくれるのを期待して、私は大きく手を振った。
だけど、彼はチラリとこちらを見ただけで、挨拶を返すどころか、むしろ歩みを速めてしまった。
「……あれ?」
行き場をなくした手が、力なく下がる。
もしかして、私に気が付かなかった?
いや、でも確かに目は合ったはず。
私はモヤモヤを抱えながら、その日の朝練に取り組んだ。
……。
…………。
重い足取りで練習を終え、汗を拭いながら教室に戻ると、既に制服に着替えた侑君が銀島君と談笑していた。
「あはは!それ、めちゃウケる!」
いつもの、周囲を明るくするような侑君の笑い声。
その音に少しだけ安心した私は、勇気を出して2人の輪に近付いた。
「おはよう、侑君、銀島君。朝から楽しそうだね、何話してるの?」
「あ、おはよう、◯◯さん。えっとな、今のは……」
銀島君が親切に答えようとした、その時。
「●●には関係あらへん」
話を遮るように、侑君が冷たく言い放つ。
笑っていたはずの彼の瞳は、まるで私を蔑むようだった。
「えっ……」
「……」
銀島君が気まずそうに、私と侑君を交互に見つめる。
だけど、侑君は私がそこに存在しないかのように、再び銀島君に向き直って話を再開させた。
昨日までの、名前を呼んで笑い合っていた時間は幻だったのだろうか。
胸の奥がギュッと締め付けられ、視界がじんわりと滲む。
私、何か怒らせること……した?
「……っ、お話の邪魔しちゃって、ごめんね!」
震える声を必死に押し殺し、逃げるように向かいの自分の席に着いた。
教科書とノートを開き、課題のチェックをする。
すると、あちこちに白い空欄が見つかった。
……あ、この問題、分からなくて後回しにして、解き忘れたところだ。
本当に私って頭が悪いな……。
近々行われる期末テストが心配でならない。
誰かに答えを写させてもらうか、教えてもらうか……。
辺りを見渡すと、相変わらず楽しそうに銀島君と話している侑君が視界に入る。
だけど、今の私には、彼らに話しかける勇気なんて1ミリも残っていなかった。
私は溢れそうになる涙を堪えるように、思い切り顔を振り、他の友達を探し始めた。
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