欲張りなキミに乾杯
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翌日のお昼休み。
4限目で使い終わった教材やノートを鞄へとしまい込んだ。
代わりに、机の中から巾着に入ったお弁当袋を取り出す。
受験モードの教室から一刻も早く脱出して、食堂で一息つこう。
そう思っていた矢先のことだった。
「●●ちゃーん!お昼一緒に食わへん?」
「っ!?」
教室の入り口から、馬鹿デカイ声が響き渡った。
やたら通る、昨日嫌というほど耳に焼き付けられた声。
驚きと嫌な予感に冷や汗を流しながら視線を向けると、そこにはお弁当袋を嬉しそうにブンブンと振っている金髪の男が立っていた。
「……侑」
なんでここにいるの……。
案の定、教室にいるクラスメイトたちの視線が一斉に動き、私と入り口の侑との間を何度も往復し始める。
やめてー!
お願いだからこっちを見ないでー!
そんな私の悲痛な心の叫びなど露知らず、侑は周囲の視線を気にもとめず、満面の笑みでこちらを見ている。
最悪なことに、隣の席にいた友達が興味津々の様子で私に詰め寄ってきた。
「ちょっと、●●!いつの間に侑君とそんな仲良くなったの!?聞いてないんだけど!」
「そ、そんなんじゃないから!誤解!……あーもう、ほら侑、行くよ!」
このまま教室にいたら、根掘り葉掘り訊かれてお昼ご飯どころではなくなってしまう。
私は友達の質問を慌てて否定すると、お弁当袋を片手に掴み、入り口で突っ立っている侑の制服の腕を強引に引っ張って、逃げるようにその場を後にした。
廊下を早足で歩きながら腕を引く私に、侑は驚いたように目を丸くし、それからすぐにニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「うわぁ、●●ちゃんって意外と大胆なんやね!俺、ドキドキしてもうたわ」
「どの口が言ってるのよ……!」
誰のせいでこんなことになっていると思っているのだろう。
ひとまず落ち着いてご飯を食べられる場所を探さなくては。
2人で並んで歩きながら、空いてそうな教室や特別教室を覗いてみるものの、どこも先客の生徒たちで埋まっていた。
仕方なく、移動しながら、どうしても気になっていた疑問をぶつけてみることにした。
「……ねえ、なんで私のクラス知ってるの?教えてないよね」
「あぁ、それな?今朝、木村さん捕まえて聞ぃた」
木村、というのは現部長のミノリちゃんのことだ。
そう言えば昨日、2組の教室で私とミノリちゃんが話しているのを、彼は見ていたのだった。
「最悪……」
思わず本音が口から漏れ出た。
もちろん、侑の勢いに圧されて教えてしまったであろうミノリちゃんに対してではなく、ストーカーじみた行動力を発揮した目の前の男に対して。
「なんでや!酷いわー!俺はただ、●●ちゃんと一緒にお昼食べたい一心で聞いただけやで?!」
「もういいから。早く場所を見つけてお昼にするよ」
侑の騒がしい抗議を聞き流しながら階段を上っていくと、いつの間にか最上階、屋上へと繋がる扉の前まで来てしまっていた。
淡い期待を抱いて試しにドアノブを回してみたけれど、ガチャガチャと虚しい音が響くだけだった。
案の定、厳重に鍵が掛けられていて外へ出ることはできない。
「あーあ、開いてへんな」
「……仕方ないから、今日のお昼はここでいいよね。他に行くとこないし」
「俺は●●ちゃんと一緒ならどこでも大歓迎!」
「煩い、静かにして」
よくよく考えたら、出会ってまだ2日目だというのに、いつの間にか彼の言葉から敬語が完全に消え去っている。
その図々しさに呆れつつも、今更訂正するのも面倒くさく、諦めてため息を吐いた。
結局、私たちは屋上へと続く階段の踊り場に、並んで腰を下ろした。
小ぶりなお弁当箱を開ける私と、その横で大きなお弁当箱を広げる侑。
遠くで聞こえる生徒たちの声をBGMにしながら、私たちは並んでお弁当を食べ進めた。
「なぁ、それ卵焼き美味そうやな」
「……侑のハンバーグと交換ならいいよ」
「釣り合ってへんやろ!」
そんな他愛のないやり取りを交わしながら過ごす時間は、思っていたよりも悪くなかった。
それからというもの、お昼休みは侑と過ごすことが増えた。
4限目で使い終わった教材やノートを鞄へとしまい込んだ。
代わりに、机の中から巾着に入ったお弁当袋を取り出す。
受験モードの教室から一刻も早く脱出して、食堂で一息つこう。
そう思っていた矢先のことだった。
「●●ちゃーん!お昼一緒に食わへん?」
「っ!?」
教室の入り口から、馬鹿デカイ声が響き渡った。
やたら通る、昨日嫌というほど耳に焼き付けられた声。
驚きと嫌な予感に冷や汗を流しながら視線を向けると、そこにはお弁当袋を嬉しそうにブンブンと振っている金髪の男が立っていた。
「……侑」
なんでここにいるの……。
案の定、教室にいるクラスメイトたちの視線が一斉に動き、私と入り口の侑との間を何度も往復し始める。
やめてー!
お願いだからこっちを見ないでー!
そんな私の悲痛な心の叫びなど露知らず、侑は周囲の視線を気にもとめず、満面の笑みでこちらを見ている。
最悪なことに、隣の席にいた友達が興味津々の様子で私に詰め寄ってきた。
「ちょっと、●●!いつの間に侑君とそんな仲良くなったの!?聞いてないんだけど!」
「そ、そんなんじゃないから!誤解!……あーもう、ほら侑、行くよ!」
このまま教室にいたら、根掘り葉掘り訊かれてお昼ご飯どころではなくなってしまう。
私は友達の質問を慌てて否定すると、お弁当袋を片手に掴み、入り口で突っ立っている侑の制服の腕を強引に引っ張って、逃げるようにその場を後にした。
廊下を早足で歩きながら腕を引く私に、侑は驚いたように目を丸くし、それからすぐにニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「うわぁ、●●ちゃんって意外と大胆なんやね!俺、ドキドキしてもうたわ」
「どの口が言ってるのよ……!」
誰のせいでこんなことになっていると思っているのだろう。
ひとまず落ち着いてご飯を食べられる場所を探さなくては。
2人で並んで歩きながら、空いてそうな教室や特別教室を覗いてみるものの、どこも先客の生徒たちで埋まっていた。
仕方なく、移動しながら、どうしても気になっていた疑問をぶつけてみることにした。
「……ねえ、なんで私のクラス知ってるの?教えてないよね」
「あぁ、それな?今朝、木村さん捕まえて聞ぃた」
木村、というのは現部長のミノリちゃんのことだ。
そう言えば昨日、2組の教室で私とミノリちゃんが話しているのを、彼は見ていたのだった。
「最悪……」
思わず本音が口から漏れ出た。
もちろん、侑の勢いに圧されて教えてしまったであろうミノリちゃんに対してではなく、ストーカーじみた行動力を発揮した目の前の男に対して。
「なんでや!酷いわー!俺はただ、●●ちゃんと一緒にお昼食べたい一心で聞いただけやで?!」
「もういいから。早く場所を見つけてお昼にするよ」
侑の騒がしい抗議を聞き流しながら階段を上っていくと、いつの間にか最上階、屋上へと繋がる扉の前まで来てしまっていた。
淡い期待を抱いて試しにドアノブを回してみたけれど、ガチャガチャと虚しい音が響くだけだった。
案の定、厳重に鍵が掛けられていて外へ出ることはできない。
「あーあ、開いてへんな」
「……仕方ないから、今日のお昼はここでいいよね。他に行くとこないし」
「俺は●●ちゃんと一緒ならどこでも大歓迎!」
「煩い、静かにして」
よくよく考えたら、出会ってまだ2日目だというのに、いつの間にか彼の言葉から敬語が完全に消え去っている。
その図々しさに呆れつつも、今更訂正するのも面倒くさく、諦めてため息を吐いた。
結局、私たちは屋上へと続く階段の踊り場に、並んで腰を下ろした。
小ぶりなお弁当箱を開ける私と、その横で大きなお弁当箱を広げる侑。
遠くで聞こえる生徒たちの声をBGMにしながら、私たちは並んでお弁当を食べ進めた。
「なぁ、それ卵焼き美味そうやな」
「……侑のハンバーグと交換ならいいよ」
「釣り合ってへんやろ!」
そんな他愛のないやり取りを交わしながら過ごす時間は、思っていたよりも悪くなかった。
それからというもの、お昼休みは侑と過ごすことが増えた。
