欲張りなキミに乾杯
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〜欲張りなキミに乾杯〜
肌寒い時期が続く日々。
なんとか年内に推薦で大学を受かることができた。
だけど、周りはまだまだ受験モード。
安易に遊びには誘えない。
そこで私は引退した部活へと顔を出すことにした。
まずは現部長のミノリちゃんに伝えようかな。
彼女の連絡先は知っているけれど、なんとなく教室に出向くことにした。
確か2組だったよね……。
お昼休みの時間にミノリちゃんのクラスへお邪魔すると、彼女はお弁当の準備をしていた。
「ミノリちゃーん!」
教室の入口からミノリちゃんの名前を呼ぶと、彼女はパッと顔を上げてこちらに来てくれた。
「●●先輩!どうしたんですか?」
「ご飯中にごめんね。大学受かったから来週辺り部活に行こうと思って。顧問に伝えてくれないかな?それと部活の予定も教えて?」
「本当ですか?やったー!」
3年生が引退して2年生の新体制で頑張っている中、私が行っても良いか、と少し心配していたけれど、ミノリちゃんの様子を見たことろ大丈夫そうだ。
「予定表送りますね!……ってスマホ鞄だった。少し待っていてください」
ミノリちゃんはパタパタと自分の席へとスマホを取りに戻った。
待っていると、
「2月14日にはこの宮侑にチョコをくれよな!みんなウエルカムやで!」
「まだ先やろ」
「アホか。今のうちに言っとかなあかんやろ」
まだ2ヶ月も先のバレンタインのアピールを声デカデカとしている子がいた。
彼は確か……。
「宮君、うるさいですよね。顔は格好良いのに、ちょっと残念と言うか」
いつの間にか戻ってきていたミノリちゃんが説明をしてくれた。
そうそう、宮侑だ。
朝礼で何度か表彰されているのを見かけたし、試合の応援に駆り出される吹奏楽部の友達も“侑君がー”と度々口にしていたのを思い出した。
確かに背は高いし格好良い。
友達が騒ぐのも無理はない。
それと同時にミノリちゃんの言う通り残念な言動も頷ける。
私はミノリちゃんから予定表を送ってもらうと、興味本位で宮侑に近付いた。
「ねえ、君はチョコが欲しいの?それとも気持ちが欲しいの?」
「へ?」
宮侑は私の問い掛けに間抜けな声を出す。
「そんなん、両方に決まっとるやん」
さも当たり前かのように答えが返ってきた。
相当の自信があるようで。
もしくは何も考えていないのか。
「へえー、欲張りさんなんだ。いきなり変なこと聞いてごめんね」
私はそれだけ言うと、ポカーンと様子をうかがっていたミノリちゃんに、
「行く日にちが決まったらまた連絡するね。それじゃあ」
「あ、はいっ!」
軽く挨拶をしてから、2年生の教室を後にした。
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