モテ過ぎも考え方によっては
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昨日、残業して仕事を片付けたおかげで、今日の休日が潰れずに済んだ。
かと言って、心置きなくゆっくりできるわけでもない。
なにせ今日は、不動産屋さんに行かないといけないからだ。
侑と2人で住むことを想定した、今の高い賃貸。
ダラダラと高額な家賃を払い続けるより、さっさと引っ越し費用と敷金礼金を払って、自分の身の丈に合った家に移った方が長い目で見れば得だ。
それを言うなら家を買った方が良いのかもしれないけれど、それはソレ、これはコレ。
まずは生活の立て直しが優先だ。
重たい体を起こして朝の支度をする。
「よし、こんなもんかな」
最後に忘れ物をチェックしてから玄関へと向かおうとした、その時だった。
「休みやのに、どこか行くん?そんなオシャレもして」
家を出ようとした私を呼び止めるように、侑が自室の扉を開けて出てきた。
久しぶりに聞く、彼の声。
休みの日はギリギリまで寝ているのに、今日に限ってタイミングが悪い。
私は平静を装って答えた。
「別に、どこだっていいでしょ。侑には関係ない」
私も新しい物件を探しているだなんて話をしたら、きっと侑は焦るはず。
だから、これは言わない方がいい。
「そっか」
何か言いたげな、複雑な表情を浮かべる侑をよそに、私はそれ以上何も言わず、玄関の扉を開けた。
ーーーー
「おはようございます。予約をしていた◯◯です」
不動産屋さんのドアをくぐると、清潔感のある好青年が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました。本日は内見が5件ありますので、さっそく見てまいりましょうか」
「よろしくお願いします」
挨拶もそこそこに、私たちは社用車に揺られて気になる物件へと向かった。
……。
…………。
「こちらのお部屋は日当たりが良くて──」
確かに日当たりはいい。
だけど、壁が薄いのか、隣人の生活音がはっきりと聞こえてくる。
家賃を抑えた物件なだけ仕方がないことかもしれないけれど、侑なら嫌がるだろうな……って、侑は関係ない!
心の中で自分を叱責した。
「キッチンも一人暮らしにしては広くて──」
確かに広いけど、個人的にはもう少し広い方がいい。
じゃないと、侑に栄養あるご飯を作りにくいし……って、まただ。
なぜ彼の基準で考えてしまうのだろうか。
「こちらのお部屋は天井を低くすることで落ち着いた空間を──」
落ち着くどころか、身長180cm越えの侑には低すぎる……。
5件の物件を全て見て回ったけれど、どこを見ても、何を考えても、頭の片隅に侑の残像が過る。
全てが彼の生活、彼の好みを基準に評価されてしまう。
結局、しっくりくる部屋は1つもなく、この日は契約をせずに終わってしまった。
「すみません、色々と見させて頂いたのに決めかねて……」
「いえいえ、また気になる物件がございましたらお申し付け下さい」
不動産屋さんを出る頃には空が薄暗くなっていた。
色々と見て回ったせいで、心身ともにクタクタだ。
夜ご飯は外で済ませてから、重い足取りで帰宅することにした。
かと言って、心置きなくゆっくりできるわけでもない。
なにせ今日は、不動産屋さんに行かないといけないからだ。
侑と2人で住むことを想定した、今の高い賃貸。
ダラダラと高額な家賃を払い続けるより、さっさと引っ越し費用と敷金礼金を払って、自分の身の丈に合った家に移った方が長い目で見れば得だ。
それを言うなら家を買った方が良いのかもしれないけれど、それはソレ、これはコレ。
まずは生活の立て直しが優先だ。
重たい体を起こして朝の支度をする。
「よし、こんなもんかな」
最後に忘れ物をチェックしてから玄関へと向かおうとした、その時だった。
「休みやのに、どこか行くん?そんなオシャレもして」
家を出ようとした私を呼び止めるように、侑が自室の扉を開けて出てきた。
久しぶりに聞く、彼の声。
休みの日はギリギリまで寝ているのに、今日に限ってタイミングが悪い。
私は平静を装って答えた。
「別に、どこだっていいでしょ。侑には関係ない」
私も新しい物件を探しているだなんて話をしたら、きっと侑は焦るはず。
だから、これは言わない方がいい。
「そっか」
何か言いたげな、複雑な表情を浮かべる侑をよそに、私はそれ以上何も言わず、玄関の扉を開けた。
ーーーー
「おはようございます。予約をしていた◯◯です」
不動産屋さんのドアをくぐると、清潔感のある好青年が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました。本日は内見が5件ありますので、さっそく見てまいりましょうか」
「よろしくお願いします」
挨拶もそこそこに、私たちは社用車に揺られて気になる物件へと向かった。
……。
…………。
「こちらのお部屋は日当たりが良くて──」
確かに日当たりはいい。
だけど、壁が薄いのか、隣人の生活音がはっきりと聞こえてくる。
家賃を抑えた物件なだけ仕方がないことかもしれないけれど、侑なら嫌がるだろうな……って、侑は関係ない!
心の中で自分を叱責した。
「キッチンも一人暮らしにしては広くて──」
確かに広いけど、個人的にはもう少し広い方がいい。
じゃないと、侑に栄養あるご飯を作りにくいし……って、まただ。
なぜ彼の基準で考えてしまうのだろうか。
「こちらのお部屋は天井を低くすることで落ち着いた空間を──」
落ち着くどころか、身長180cm越えの侑には低すぎる……。
5件の物件を全て見て回ったけれど、どこを見ても、何を考えても、頭の片隅に侑の残像が過る。
全てが彼の生活、彼の好みを基準に評価されてしまう。
結局、しっくりくる部屋は1つもなく、この日は契約をせずに終わってしまった。
「すみません、色々と見させて頂いたのに決めかねて……」
「いえいえ、また気になる物件がございましたらお申し付け下さい」
不動産屋さんを出る頃には空が薄暗くなっていた。
色々と見て回ったせいで、心身ともにクタクタだ。
夜ご飯は外で済ませてから、重い足取りで帰宅することにした。
