一人っ子ですが何か
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~一人っ子ですが何か~
春に伊達工業高校に入学した私には同じく伊達高校に2つ上の兄がいる。
兄とは昔から一緒に物作りをしていて、兄に憧れて同じ高校を選んだ。
けれど、そんな理由が恥ずかしくて言えず。
兄には兄妹だと言うのを内緒にしてもらっている。
幸いよくある名字だし顔や雰囲気も似ていないため、初見で兄妹だとは思われない。
そんな中、唯一兄妹だと知っているのはお付き合いをしている二口先輩だけ。
ーーーー
2人並んで歩く帰り道。
「今日、●●の兄貴とすれ違ったけど、本当に似てないのな」
二口先輩は鞄を肩に掛け直しながら微笑んだ。
こういう時だけは兄妹だと言う話をするけれど、それ以外のときは本当に内緒にしてくれている。
「でしょ?」
「学校は慣れたか?」
二口先輩が少し低い声で尋ねた。
「物作りは楽しいんだけど、座学は苦手」
「赤点取ると夏休みに遊べなくなるから、頑張れよな」
少し茶化すような声色。
「そう思うなら勉強教えてよー!」
「俺は部活があるからなー」
二口先輩が所属する男子バレー部は“鉄壁”と呼ばれる強豪校の1つ。
そして3年生が引退した今、新主将を勤めるのが二口先輩。
疲れているはずなのに、私の一緒に帰りたいと言うわがままを“普段構えないから、これくらいはさせて”と言って叶えてくれる。
「そうだ、家で兄貴に教えて貰えばいいんじゃねぇか?」
何気なくそう言った二口先輩の横顔は、少しだけ意地悪に見えた。
「え~」
「喜ぶと思うけどな」
ふと、兄の顔を思い浮かべる。
学校では冷たく振る舞っているから、きっとお願いすれば内心嬉しいはず。
だけど、
「私は二口先輩がいいのー!」
「ははは、ありがとな」
夕暮れのオレンジ色が2人の影を長く伸ばす。
こうして二口先輩と他愛のない話をしているときが1番幸せ。
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