きっかけは突然に
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急いで着替えていると、入れ替わりのバイトさんに機嫌良いね、なんて言われてしまった。
恥ずかしい。
コンビニの裏口から出て表に回ると、約束通り二口さんが待っていた。
「お待たせしました」
「じゃあ行きますか」
どこの居酒屋さんだろう。
そう思いながら後を付いていくと、
「え、ここって」
「俺の家」
まさかの二口さんのお家。
小ぢんまりとしたアパートの一室。
「狭いけど、どうぞ」
「お邪魔します」
一人暮らし……。
と言うことはあの公共料金の手紙に書かれていた名前は二口さんのもの。
二口堅治……。
実際に呼ぶわけでもないのに、心の中で復唱した。
「適当に座って」
「はい、失礼します」
部屋には余計なものがなく、必要最低限の物しか置いていない。
私は部屋の中心部に置かれているローテーブルの前にちょこんと座った。
「部屋、殺風景だろ。春に引っ越したばかりだから、まだ物がないんだ」
「そうなんですね」
「◯◯さん、ビールでいい?」
二口さんはキッチンでグラスを用意しながら聞いてきた。
「あ、はい」
あれ、今◯◯さんって。
「二口さん、なんで私の名前を?」
「制服に名札が付いてたから」
そう言えばそうだった。
「逆になんで俺の名前を知ってんの?」
まずい。墓穴を掘った。
手紙の件なんて伝えようものならキモい人になってしまう。
何か……何かないか。
……そうだ!
「表札!表札に書いてあったから」
「うち、表札付けてないよ」
「と、思ったら勘違いで……」
もうこれは観念するしかない。
「実は公共料金の手紙で名前を知りました」
「へー。職権乱用だ」
「ら、乱用って!」
「冗談。俺のこと覚えていてくれて嬉しいよ」
そう言って、笑った二口さんはとても格好良かった。
ところで嬉しいって……なんで?
二口さんは私にだけビールを用意してくれて、自分はいつものエナジードリンクを冷蔵庫から取り出した。
「二口さんはお酒飲まないんですか?」
「あー、俺18だから」
「え!!年下!?どうしよう。私、未成年にお酒売っちゃった」
成人済みのボタンは押してもらったけど、飲みに誘われたのが嬉しくて、身分証の確認を怠ってしまっていた。
「あれ、でも、飲まないのになんでビールなんか買ったんですか?」
「いつもと違うのを買えば、◯◯さんに話しかけてもらえると思ったから」
「……え?」
「◯◯さんのことが前から気になっていたから」
「でも、彼女いたんじゃ……。今日だって失恋したって」
「あー……あれ」
二口さんは気まずそうに部屋の隅に置かれているビニール袋を指差した。
「中、見てみ」
言われた通りに見てみると未開封の避妊具の箱がたくさん入っていた。
「これって……」
「失恋したなんて嘘。なんだったら彼女いたことないし」
意外だった。
その容姿で彼女がいたことないなんて、信じられない。
「なんだよ、その疑う目は」
「だって……」
「高校はほぼ男子校みたいなもんだったし、職場も男だらけで出会いなんてなかったんだよ」
「それじゃあ、なんであんなことを……」
「ほら、あれだよ。彼女がいればモテるって思うだろ?」
そんな小細工しなくてもいいのに。
「それに、少しでも大人っぽく見られたくて」
「二口さんは充分大人っぽく見えますよ!私よりも年下なのに自立していますし」
私の3個下とは思えない。
「本当?嬉しいな」
「!?」
そう言って、二ヘラっと笑う二口さんの顔が可愛くて、私は照れ隠しでビールを一気に煽った。
あれ、なんだか視界がぐるぐるする……。
そう言えば就活終わるまで禁酒してたから、お酒を飲むの久しぶりだ。
それに空きっ腹だったし。
「ちょっ、おい!大丈夫か?!」
二口さんの心配そうな顔が近づいてくる。
どんな顔も格好良いな。
そんな呑気なことを考えながら、私は意識を手放した。
※未成年の飲酒、販売は違法です。
フィクションとしてお楽しみください。
恥ずかしい。
コンビニの裏口から出て表に回ると、約束通り二口さんが待っていた。
「お待たせしました」
「じゃあ行きますか」
どこの居酒屋さんだろう。
そう思いながら後を付いていくと、
「え、ここって」
「俺の家」
まさかの二口さんのお家。
小ぢんまりとしたアパートの一室。
「狭いけど、どうぞ」
「お邪魔します」
一人暮らし……。
と言うことはあの公共料金の手紙に書かれていた名前は二口さんのもの。
二口堅治……。
実際に呼ぶわけでもないのに、心の中で復唱した。
「適当に座って」
「はい、失礼します」
部屋には余計なものがなく、必要最低限の物しか置いていない。
私は部屋の中心部に置かれているローテーブルの前にちょこんと座った。
「部屋、殺風景だろ。春に引っ越したばかりだから、まだ物がないんだ」
「そうなんですね」
「◯◯さん、ビールでいい?」
二口さんはキッチンでグラスを用意しながら聞いてきた。
「あ、はい」
あれ、今◯◯さんって。
「二口さん、なんで私の名前を?」
「制服に名札が付いてたから」
そう言えばそうだった。
「逆になんで俺の名前を知ってんの?」
まずい。墓穴を掘った。
手紙の件なんて伝えようものならキモい人になってしまう。
何か……何かないか。
……そうだ!
「表札!表札に書いてあったから」
「うち、表札付けてないよ」
「と、思ったら勘違いで……」
もうこれは観念するしかない。
「実は公共料金の手紙で名前を知りました」
「へー。職権乱用だ」
「ら、乱用って!」
「冗談。俺のこと覚えていてくれて嬉しいよ」
そう言って、笑った二口さんはとても格好良かった。
ところで嬉しいって……なんで?
二口さんは私にだけビールを用意してくれて、自分はいつものエナジードリンクを冷蔵庫から取り出した。
「二口さんはお酒飲まないんですか?」
「あー、俺18だから」
「え!!年下!?どうしよう。私、未成年にお酒売っちゃった」
成人済みのボタンは押してもらったけど、飲みに誘われたのが嬉しくて、身分証の確認を怠ってしまっていた。
「あれ、でも、飲まないのになんでビールなんか買ったんですか?」
「いつもと違うのを買えば、◯◯さんに話しかけてもらえると思ったから」
「……え?」
「◯◯さんのことが前から気になっていたから」
「でも、彼女いたんじゃ……。今日だって失恋したって」
「あー……あれ」
二口さんは気まずそうに部屋の隅に置かれているビニール袋を指差した。
「中、見てみ」
言われた通りに見てみると未開封の避妊具の箱がたくさん入っていた。
「これって……」
「失恋したなんて嘘。なんだったら彼女いたことないし」
意外だった。
その容姿で彼女がいたことないなんて、信じられない。
「なんだよ、その疑う目は」
「だって……」
「高校はほぼ男子校みたいなもんだったし、職場も男だらけで出会いなんてなかったんだよ」
「それじゃあ、なんであんなことを……」
「ほら、あれだよ。彼女がいればモテるって思うだろ?」
そんな小細工しなくてもいいのに。
「それに、少しでも大人っぽく見られたくて」
「二口さんは充分大人っぽく見えますよ!私よりも年下なのに自立していますし」
私の3個下とは思えない。
「本当?嬉しいな」
「!?」
そう言って、二ヘラっと笑う二口さんの顔が可愛くて、私は照れ隠しでビールを一気に煽った。
あれ、なんだか視界がぐるぐるする……。
そう言えば就活終わるまで禁酒してたから、お酒を飲むの久しぶりだ。
それに空きっ腹だったし。
「ちょっ、おい!大丈夫か?!」
二口さんの心配そうな顔が近づいてくる。
どんな顔も格好良いな。
そんな呑気なことを考えながら、私は意識を手放した。
※未成年の飲酒、販売は違法です。
フィクションとしてお楽しみください。
