俺が一番
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~俺が一番~
工業高校とは言え文化祭にミスコンはある。
昨年は1年生ながら男子の部門で二口が優勝した。
「今年もさっくり優勝取ろうかな」
職員室横の掲示板に張り出されたミスコン参加者募集のポスターを見て、私に宣言してきた二口。
「相変わらず自信家だね」
だけど、悔しいけど納得できる顔面の持ち主だと思う。
「俺以外に誰が優勝するんだよ」
「青根君とか?」
二口とは系統が違うけど、彼も硬派なイケメンだと思っている。
眉毛はないけど。
「確かに青根はいい男だけど、絶対に出ないじゃん」
「そうだけど………」
青根君は昨年も二口に誘われていたけど、無言の圧で断っていた。
目立ちたい性格じゃないんだろう。
それに、今年はもうひとつ断る理由がある。
それは……、
「ここに書いてあるけど、優勝した男女は皆の前でキスしないといけないんだよ?二口は嫌じゃないの?」
「はぁ?キス?!そんなん昨年はやらなかっただろ」
やっぱりちゃんと読んでいなかったのか。
「昨年は女子の参加者が少なくて開催できなかったじゃん?だから今年はキス目当ての女子の参加者を増やそうとしているみたい」
「優勝はしたいけど、キスはしたくねぇ………仕方がない、●●で我慢してやるから出ろ」
「はぁ?」
迷惑な話である。
確かに私は二口のことが好きだ。
友達としてではなく異性として。
だからこそ遠回しに皆に見られながらキスしてもダメージのない相手、その程度の存在としか思われていないのがツラい。
ネタとして公開キスはしたくない。
それに普通の学校よりかは女子の人数が少ないから、分母が少ない分優勝出来る確率は高いけど、だからと言って可愛い子がいないわけではない。
「参加用紙出しておいたぞ」
「なっ!勝手に」
掲示板の近くに設置されている机の上に置いてある参加用紙と募集箱。
こんなのが近くにあるから…………!!
今ならまだ用紙を取り出せる、そう思って募集箱を覗き込んだけど、既にたくさんの参加用紙が入っていて、その中から私のを探すのは無理そうだった。
観念するしかないのか………。
いや、そもそも私が優勝するかもしれない、なんておこがましい考えを捨てればいい。
だけど、そうすると私以外の女の子が二口とキスをするかもしれない………。
それこそ二口が優勝なんて……いや、それはありえる。
「なーに、悩んでんだ。次の授業始まるぞ」
「あ、うん」
結局なるようにしかならない。
私は諦めて二口と教室に戻った。
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