~第一章〜 “春”の芽生え
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登山しているときから違和感あった右足。
下山を始めるとそれが確実に痛みに変わっていた。
「……っ!」
まだ半分以上ある道のり。
私の足よ、耐えられるのか。当たり前だけど返事はない。
それなのに、
「◯◯ー!足止まってんぞ!」
お構いなしの二口。
でも、だって足痛いんだもん。
「後で行くから先に行っていいよ!」
少しずつなら進めそう。二口に急かされるよりマシ。
「チッ、お前ら先行け。俺はこいつと後で追いかける」
舌打ちするくらいならみんなと行けばいいのに。
こっちだって気分悪い。
二口が私の元まで戻ってきた。
上から下まで見下ろされてから、ため息を吐かれた。
「足痛いのか」
無言で頷く私。
「見せてみろ」
そこら辺の大きな岩に腰掛けてから靴と靴下を脱いだ。
思っていたより足首が腫れ上がっている。
「ったく、言えよな」
言える雰囲気じゃなかったくせに。
二口は鞄をごそごそして、何かを探している様子。
「何するの?」
「何って……応急処置以外あんのかよ」
「二口が?!できるの?」
「はあ?当たり前だろ」
そう言うと、部活のときに使っているであろうテーピングを取り出し、手際よく私の足を固定してきた。
本当にできるんだ。
「気休めだ、帰ったら病院行けよ」
「うん……二口って意外と優しいね」
ふと思ったから口にしてしまった言葉。
後半は恥ずかしくて、小さな声になってしまった。
「あ?俺がなんだって?」
案の定、聞こえなかったみたいで聞き返された。
だけどもう言ってやらない。
「なんでもない!」
「そうかよ。ほら、行くぞ」
二口は私に肩を貸してくれて、歩幅を合わせて下山してくれた。
ちょっとだけ見直した。
ちょっとだけ、ね。
ーーーー
下山すると既に下りていた同じ班の女の子たちが心配をしてくれた。
「●●ちゃん大丈夫だった?二口君と一緒で」
「うん、なんとかね」
むしろ、今回ばかりは二口と一緒だったから大丈夫だった。
二口の方をチラッと見ると、男子にお前が無理させたからーと責められていた。
助けてくれたからお礼を言わないと。
ひょこひょこと痛む足を庇いながら、彼の方へと向かった。
「二口、ありがとう」
「ん、だし巻き玉子な」
あれって本気だったの?
冗談だと思っていたのに。
そう言って笑った二口は少し格好良かった。
ーーFinーー
下山を始めるとそれが確実に痛みに変わっていた。
「……っ!」
まだ半分以上ある道のり。
私の足よ、耐えられるのか。当たり前だけど返事はない。
それなのに、
「◯◯ー!足止まってんぞ!」
お構いなしの二口。
でも、だって足痛いんだもん。
「後で行くから先に行っていいよ!」
少しずつなら進めそう。二口に急かされるよりマシ。
「チッ、お前ら先行け。俺はこいつと後で追いかける」
舌打ちするくらいならみんなと行けばいいのに。
こっちだって気分悪い。
二口が私の元まで戻ってきた。
上から下まで見下ろされてから、ため息を吐かれた。
「足痛いのか」
無言で頷く私。
「見せてみろ」
そこら辺の大きな岩に腰掛けてから靴と靴下を脱いだ。
思っていたより足首が腫れ上がっている。
「ったく、言えよな」
言える雰囲気じゃなかったくせに。
二口は鞄をごそごそして、何かを探している様子。
「何するの?」
「何って……応急処置以外あんのかよ」
「二口が?!できるの?」
「はあ?当たり前だろ」
そう言うと、部活のときに使っているであろうテーピングを取り出し、手際よく私の足を固定してきた。
本当にできるんだ。
「気休めだ、帰ったら病院行けよ」
「うん……二口って意外と優しいね」
ふと思ったから口にしてしまった言葉。
後半は恥ずかしくて、小さな声になってしまった。
「あ?俺がなんだって?」
案の定、聞こえなかったみたいで聞き返された。
だけどもう言ってやらない。
「なんでもない!」
「そうかよ。ほら、行くぞ」
二口は私に肩を貸してくれて、歩幅を合わせて下山してくれた。
ちょっとだけ見直した。
ちょっとだけ、ね。
ーーーー
下山すると既に下りていた同じ班の女の子たちが心配をしてくれた。
「●●ちゃん大丈夫だった?二口君と一緒で」
「うん、なんとかね」
むしろ、今回ばかりは二口と一緒だったから大丈夫だった。
二口の方をチラッと見ると、男子にお前が無理させたからーと責められていた。
助けてくれたからお礼を言わないと。
ひょこひょこと痛む足を庇いながら、彼の方へと向かった。
「二口、ありがとう」
「ん、だし巻き玉子な」
あれって本気だったの?
冗談だと思っていたのに。
そう言って笑った二口は少し格好良かった。
ーーFinーー