~第一章〜 “春”の芽生え
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~第一章〜 “春”の芽生え
新品の匂いのするブレザー。パリパリのスカート。 結び慣れなくて歪なネクタイ。
私は春から伊達工業高校の1年生。
本当は別の公立に行きたかったけれど、全て落ちたため不本意な入学。
だって、工業高校って女子は少ないし、教室は汗臭そうだし、授業中も動物園かってくらいうるさそうだし、何より男子と接するのが苦手。
どうか、クラスに気の合う女子がいますように!
そう願いながら教室へとを入った。
黒板に貼られた席の案内の紙。
どうやら名簿順の様だ。
指定された席へ座って、チラッと周りの様子を伺うと、私を含め意外とみんな緊張しているようだった。
中には小声で会話をしている人たちもいたけれど、あの人たちは中学が同じだったのかな?
思ったよりクラスは動物園じゃなくてよかった。
それより女子は……2人いる!
ひとまず安心した。
絶対にこの子たちと仲良くならないと。
次に回りの席の人たちの確認。
前と隣はまだ来ていない。後ろの男子はうつ伏せで寝ているため、よく分からない。
取りあえず後ろの人から声をかけてみるか。
「ねぇねぇ」
私は男子生徒の腕をツンツンしながら話しかけた。
「あ゛」
「!?」
しかし、起き上がった彼はとても不機嫌な声を上げて睨み付けてきた。
顔は格好いいのに、寝起きは最悪。
「あ……いえ、何でもないです」
それ以上何も言えずに、体を前に向き直した。
けれど、起こしてしまったせいか、目付きの悪いイケメンの視線をずっと感じる。
それは担任らしき先生が教室に入ってきて、入学式のために体育館へ移動するまで続いた。
ーーーー
眠くなりそうな入学式が終わった後は再度教室に戻り、定番の自己紹介が行われた。
「◯◯●●です。よろしくお願いします」
必要最低限の紹介をして、周りからの申し訳程度の拍手を浴びながら座った。
次は後ろの席の寝起き最悪イケメン君の番。
ガタッ
椅子が引かれて彼が立ち上がると、想像以上に背が高かった。
イケメンで背が高いとか、どこかにとんでもない欠点がないと許されない。
「二口堅治」
……え、それだけ?
私よりも短い紹介しかしなかった二口君は、当然のように席に座り直した。
ほら、周りの生徒も終わり?と戸惑いながら拍手をしている。
一応、改めて挨拶をしようかな。
「二口君、これから1年間よろしくね」
「は?うっせえ、ブス」
「……」
イケメンで背が高いけど、性格には難があるようだ。
完璧じゃなくて安心した。
こんなやつに敬称を付けて呼ばなくていいよね。
イライラしながら他の生徒の自己紹介を聞いていると、あっという間に終わった。
「はい、じゃあ自己紹介も終わったところで、面倒な委員会とか決めていくぞー。ちなみに、席替えは面倒だからやらねえから」
終わった。
面倒臭がりの担任の先生によって1年間このままの席だなんて。
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