〜第四章〜 “冬”に震える拳
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最寄り駅に着くと切符売場や改札の出入り口で騒いでいる不良がいた。
工業高工の最寄り駅だからか、この駅はマナーやモラルが欠如している輩がやたらと溜まる。
だけど、今日はやけに人数が多い。
「この駅なんでこんなにも治安悪いのよ」
でも、電車に乗るためにはあの不良たちを掻き分けて改札を通らないといけない。
嫌だなーと改札の方を見ていると、騒いでいた不良の一人と目があってしまった。
「あ゛?何見てんだよ!見せ物じゃねえぞ」
「ヒッ」
二口の方をチラッと見ると一瞬怯んだ様に見えたが、すぐさま私を庇うように前に出た。
「ねえ、そこ退いてくれない?邪魔なんだけど」
手は拳を握りしめている。
そうだよね、普段クソ生意気なことを言っている二口だけど、それは相手が先輩だからであって、見ず知らずの不良は怖いよね。
勇気を出してくれてありがとう。
「彼氏さんビビっちゃってるの?」
「彼氏じゃ…」
「彼女の前でビビるわけないだろ。チビが」
私の言葉を遮るように二口が言った。
彼氏じゃないって否定しないの?
「あ゛?もういっぺん言ってみろ!」
二口は長身を活かしてこれでもかって言うくらい不良を煽った。
「聞こえなかったのか?チビは大人しく見下されとけって言ったんだよ」
不良に胸ぐらを捕まれた二口。
いくら二口でもこのままだとタダでは済まない。
「二口やめて!次の大会だけじゃなくて、就職にも響いちゃう!」
見ていられなくて目をぎゅっと閉じた。
……一向に殴られる音が聞こえない。
別に聞こえないならそれに越したことはないが。
恐る恐る目を開けると、不良の視線は私の後ろにあった。
視線を追って振り向くとそこには青根君が立っていた。
不良は青根君を見てすっかり戦意喪失したように見えた。
190cm越えの眉なし、目付きが悪いやつがいたら誰だってこう言う反応になる。
「チッ、行くぞお前ら」
不良は舌打ちをして改札前から離れていった。
「青根君ありがとう」
青根君は無言だったけど、構わないとでも言いたげな表情だった。
「あーあ、今から俺がアイツらを叩きのめすところだったのに」
頭の後ろで腕を組んで言う二口。
本人は強気を装っているつもりだけど、声が震えていた。
「二口も頑張ってくれてありがとう」
「……おう」
嘘がバレたのが恥ずかしいのか、耳を赤くする二口。
そんな赤くなっている二口の耳元で青根君に聞こえないように言った。
“格好良かったよ”
ーーFinーー
工業高工の最寄り駅だからか、この駅はマナーやモラルが欠如している輩がやたらと溜まる。
だけど、今日はやけに人数が多い。
「この駅なんでこんなにも治安悪いのよ」
でも、電車に乗るためにはあの不良たちを掻き分けて改札を通らないといけない。
嫌だなーと改札の方を見ていると、騒いでいた不良の一人と目があってしまった。
「あ゛?何見てんだよ!見せ物じゃねえぞ」
「ヒッ」
二口の方をチラッと見ると一瞬怯んだ様に見えたが、すぐさま私を庇うように前に出た。
「ねえ、そこ退いてくれない?邪魔なんだけど」
手は拳を握りしめている。
そうだよね、普段クソ生意気なことを言っている二口だけど、それは相手が先輩だからであって、見ず知らずの不良は怖いよね。
勇気を出してくれてありがとう。
「彼氏さんビビっちゃってるの?」
「彼氏じゃ…」
「彼女の前でビビるわけないだろ。チビが」
私の言葉を遮るように二口が言った。
彼氏じゃないって否定しないの?
「あ゛?もういっぺん言ってみろ!」
二口は長身を活かしてこれでもかって言うくらい不良を煽った。
「聞こえなかったのか?チビは大人しく見下されとけって言ったんだよ」
不良に胸ぐらを捕まれた二口。
いくら二口でもこのままだとタダでは済まない。
「二口やめて!次の大会だけじゃなくて、就職にも響いちゃう!」
見ていられなくて目をぎゅっと閉じた。
……一向に殴られる音が聞こえない。
別に聞こえないならそれに越したことはないが。
恐る恐る目を開けると、不良の視線は私の後ろにあった。
視線を追って振り向くとそこには青根君が立っていた。
不良は青根君を見てすっかり戦意喪失したように見えた。
190cm越えの眉なし、目付きが悪いやつがいたら誰だってこう言う反応になる。
「チッ、行くぞお前ら」
不良は舌打ちをして改札前から離れていった。
「青根君ありがとう」
青根君は無言だったけど、構わないとでも言いたげな表情だった。
「あーあ、今から俺がアイツらを叩きのめすところだったのに」
頭の後ろで腕を組んで言う二口。
本人は強気を装っているつもりだけど、声が震えていた。
「二口も頑張ってくれてありがとう」
「……おう」
嘘がバレたのが恥ずかしいのか、耳を赤くする二口。
そんな赤くなっている二口の耳元で青根君に聞こえないように言った。
“格好良かったよ”
ーーFinーー