バチバチ
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〜バチバチ〜
「あ、また袖通していない……」
体育の授業中、誰にも聞こえない声でボソッと呟いた。
3年生になって初めて同じクラスになった北信介君。
彼の噂は兼ね兼ね聞いていた。
真面目で几帳面で、人にも自分にも厳しい人がいるって。
それは同じクラスになってから一層と実感させられた。
時間厳守、提出物も怠らない、制服はもちろん着崩さない。
まさに非の打ち所がない、とは彼のこと。
だけど1点あげるとしたら、先程も思わず呟いてしまった体育の授業中にジャージの腕を通さないところ。
最近は暖かくなってきたとは言え、まだ肌寒いときがある。
北君に限って格好付けで肩掛けをしているのではなく、寒くてジャージを羽織っているんだと思うけど……。
なんでちゃんと着ないんだろう。
あまりにも気になりすぎて、授業終わりに思い切って聞いてみることにした。
「ねえ、北君」
「なんや、◯◯さん」
北君は帰り支度していた手を止めて、私へ視線を向けた。
「体育のとき、なんでいつもジャージを羽織っているの?」
口に出してから気が付いた。
“いつも“なんて言い方をしたら、いつも見ているみたいじゃない。
いや、見てはいるけれど、それは体育のときに限ってであって……。
頭の中でぐるぐると言い訳をしていると、北君からは意外な答えが返ってきた。
「静電気」
「静電気?」
ってあの静電気のことよね?
思わず聞き返してしまった。
「着たり脱いだりする度にバチバチッってなるのが苦手なんや」
「そ、そうなんだ……。引き止めてごめんね。それだけだから」
「おん、またな◯◯さん」
そう言うと北君は教室を出ていった。
そっか、静電気が苦手だからか。
ちょっと可愛いところがあるんだな、と思った。
北君が出ていってからもボーッと扉を見つめていると、
「●●ー!帰ろー!」
友達のサチカに呼ばれて我に返った。
「あ、うん!帰ろう!」
「ボーッとしてたけど、何かあった?」
「なんでもなーい!」
グイグイと彼女の背中を押して、私たちも教室から出た。
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