ちゃんと見てんねん
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大会当日。
男子バレーとは大会の日程がずれていたため、何人かの男子バレー部が応援に来てくれていた。
北もそのうちの1人。
「勝ち進んどるな」
「後輩が優秀なもので」
北がせっかく来てくれているのに、卑下した返ししか出来なかった。
だって本当のことだから。
「何が起こるか最後まで分からんよ」
「そうかな」
そんなことを言いつつも、私はもうじき始まる試合のためにストレッチをしている。
補欠なのに、なに一丁前にウォーミングアップなんかしてメンバー面してるのよ、と自分で自分を貶す。
ここまでの試合で私は1度だってコートに立っていない。
おそらくこの先も立つことはない。
そう思っていたのに……。
ほどなくして始まった試合。
なんとか食らいついているけれど厳しい戦いを強いられている。
「ドンマイ!ドンマイ!1本切っていこう!」
控え席で声援を飛ばすが聞こえているか分からない。
それほど、相手校の応援が大きかった。
そんな中、監督が控え席に向かって手招きをしていることに気が付いた。
「………私?」
自分を指差すと監督は頷く。
胸がザワザワする。
……。
…………。
そして、ボールが床に着いたとき、審判によってメンバーチェンジのアナウンスが行なわれた。
稲荷崎高校メンバーチェンジ
IN 1番 ◯◯
3ゲーム目 22-24
これを落とせば終わり。
こんな場面でピンチサーバーに駆り出されるなんて。
でも、コートに立てる。
「●●先輩、お願いします」
「うん」
入れ替わりのとき、後輩は歯を食いしばっていた。
まるで他にも何か言いたそうな。
こんな場面で交代させてしまったという罪悪感なのか、それとも最後までコートに立ちたいと言う悔しさからなのか。
だけど、そんなのはどっちでもいい。
今ボールを持っているのは私だから。
誰にも譲らない。
ボールを床に弾ませる。
うん、手に馴染む。
大きく深呼吸をし、ボールを上に投げた。
ああ、良い感じ……。
「っ!!」
ボールは勢いよく相手コートのラインギリギリに落ちた。
「ナイスサーブ!!」
もう1本……。あ、高く上げすぎた。
ボコッと鈍い音がしたボールは相手コートへ入ったものの、易々と取られた。
「ワンチッ」
スパイクをブロックしたが弾かれたボールが明後日の方角へと飛んで行く。
もうダメかも………なんて言いたくない!
必死にボールを追いかけた。
けど汗で足を滑らせ、気づいたときにはボールは床に落ちていた。
男子バレーとは大会の日程がずれていたため、何人かの男子バレー部が応援に来てくれていた。
北もそのうちの1人。
「勝ち進んどるな」
「後輩が優秀なもので」
北がせっかく来てくれているのに、卑下した返ししか出来なかった。
だって本当のことだから。
「何が起こるか最後まで分からんよ」
「そうかな」
そんなことを言いつつも、私はもうじき始まる試合のためにストレッチをしている。
補欠なのに、なに一丁前にウォーミングアップなんかしてメンバー面してるのよ、と自分で自分を貶す。
ここまでの試合で私は1度だってコートに立っていない。
おそらくこの先も立つことはない。
そう思っていたのに……。
ほどなくして始まった試合。
なんとか食らいついているけれど厳しい戦いを強いられている。
「ドンマイ!ドンマイ!1本切っていこう!」
控え席で声援を飛ばすが聞こえているか分からない。
それほど、相手校の応援が大きかった。
そんな中、監督が控え席に向かって手招きをしていることに気が付いた。
「………私?」
自分を指差すと監督は頷く。
胸がザワザワする。
……。
…………。
そして、ボールが床に着いたとき、審判によってメンバーチェンジのアナウンスが行なわれた。
稲荷崎高校メンバーチェンジ
IN 1番 ◯◯
3ゲーム目 22-24
これを落とせば終わり。
こんな場面でピンチサーバーに駆り出されるなんて。
でも、コートに立てる。
「●●先輩、お願いします」
「うん」
入れ替わりのとき、後輩は歯を食いしばっていた。
まるで他にも何か言いたそうな。
こんな場面で交代させてしまったという罪悪感なのか、それとも最後までコートに立ちたいと言う悔しさからなのか。
だけど、そんなのはどっちでもいい。
今ボールを持っているのは私だから。
誰にも譲らない。
ボールを床に弾ませる。
うん、手に馴染む。
大きく深呼吸をし、ボールを上に投げた。
ああ、良い感じ……。
「っ!!」
ボールは勢いよく相手コートのラインギリギリに落ちた。
「ナイスサーブ!!」
もう1本……。あ、高く上げすぎた。
ボコッと鈍い音がしたボールは相手コートへ入ったものの、易々と取られた。
「ワンチッ」
スパイクをブロックしたが弾かれたボールが明後日の方角へと飛んで行く。
もうダメかも………なんて言いたくない!
必死にボールを追いかけた。
けど汗で足を滑らせ、気づいたときにはボールは床に落ちていた。