手首にある小さなライバル
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迎えた7月5日。
今まではお互い部活に明け暮れ、一緒に帰る日なんて数えるほどしかなかった。
でも、夏のインターハイで引退した今なら関係ない。
彼の誕生日プレゼントを渡すには、一緒に帰るタイミングが絶好のチャンスだ。
放課後の喧騒が響く廊下を、私は逸る気持ちを抑えながら彼のクラスへと向かった。
だけど、目的地にたどり着いても、まだホームルームが終わっていないようだった。
教室の中からは、担任らしき先生の声と、生徒たちの小さなざわめきが漏れてくる。
私は逸る気持ちを抑えながら、壁にもたれ掛かりながら待った。
しばらくすると、教室のドアが開いた。
ゾロゾロと生徒たちが出てくる。
その流れの中に、もちろん、私のお目当ての人もいた。
「信介君!」
彼の名前を呼ぶと、信介君は少し驚いたようにしながらも、私の元へ真っ直ぐに来てくれた。
「どないしたん、●●」
穏やかで、少し低めの声。
「あのね、今日は一緒に帰りたくて」
すると、信介君は申し訳なさそうに眉を下げた。
「すまん、今から部活なんや」
「え? 部活?」
てっきり私と同じく夏のインターハイで引退したと思っていたのに。
予想外の言葉に、知らなかったことへの動揺と、少しの寂しさが込み上げてくる。
声が上ずるのを止められなかった。
それでも、信介君はいつもと変わらない淡々とした、だけど誠実な口調で教えてくれた。
「ああ、春高まで残ることにした。……勉強はおろそかにせんから、心配せんでええ」
真面目な信介君が成績を落とすなんてありえない。
「分かった。じゃあ、私、図書室で待ってるね」
私がそう言うと、信介君は少し目を見開いた後、ふっと穏やかな表情になった。
「そうか。無理せんでええよ。先に帰っても」
「ううん、大丈夫。今日はどうしても信介君と帰りたいの」
私の決意に満ちた言葉に、彼は観念したように微笑んだ。
「……そっか。分かった。長うはかからんと思う。終わったらすぐ連絡するわ」
信介君はそう言って、私に背を向けて体育館棟の方へと歩き始めた。
その姿を見送りながら、私は胸の奥に小さな重さを感じた。
引退して、これから一緒に過ごす時間が増えると思っていた。
その当てが外れたような切ないような気持ち。
もちろん、受験生だから勉強会がメインになるのは承知の上。
私はそんなわずかな寂しさを振り払いながら、図書室へと歩き出した。
今まではお互い部活に明け暮れ、一緒に帰る日なんて数えるほどしかなかった。
でも、夏のインターハイで引退した今なら関係ない。
彼の誕生日プレゼントを渡すには、一緒に帰るタイミングが絶好のチャンスだ。
放課後の喧騒が響く廊下を、私は逸る気持ちを抑えながら彼のクラスへと向かった。
だけど、目的地にたどり着いても、まだホームルームが終わっていないようだった。
教室の中からは、担任らしき先生の声と、生徒たちの小さなざわめきが漏れてくる。
私は逸る気持ちを抑えながら、壁にもたれ掛かりながら待った。
しばらくすると、教室のドアが開いた。
ゾロゾロと生徒たちが出てくる。
その流れの中に、もちろん、私のお目当ての人もいた。
「信介君!」
彼の名前を呼ぶと、信介君は少し驚いたようにしながらも、私の元へ真っ直ぐに来てくれた。
「どないしたん、●●」
穏やかで、少し低めの声。
「あのね、今日は一緒に帰りたくて」
すると、信介君は申し訳なさそうに眉を下げた。
「すまん、今から部活なんや」
「え? 部活?」
てっきり私と同じく夏のインターハイで引退したと思っていたのに。
予想外の言葉に、知らなかったことへの動揺と、少しの寂しさが込み上げてくる。
声が上ずるのを止められなかった。
それでも、信介君はいつもと変わらない淡々とした、だけど誠実な口調で教えてくれた。
「ああ、春高まで残ることにした。……勉強はおろそかにせんから、心配せんでええ」
真面目な信介君が成績を落とすなんてありえない。
「分かった。じゃあ、私、図書室で待ってるね」
私がそう言うと、信介君は少し目を見開いた後、ふっと穏やかな表情になった。
「そうか。無理せんでええよ。先に帰っても」
「ううん、大丈夫。今日はどうしても信介君と帰りたいの」
私の決意に満ちた言葉に、彼は観念したように微笑んだ。
「……そっか。分かった。長うはかからんと思う。終わったらすぐ連絡するわ」
信介君はそう言って、私に背を向けて体育館棟の方へと歩き始めた。
その姿を見送りながら、私は胸の奥に小さな重さを感じた。
引退して、これから一緒に過ごす時間が増えると思っていた。
その当てが外れたような切ないような気持ち。
もちろん、受験生だから勉強会がメインになるのは承知の上。
私はそんなわずかな寂しさを振り払いながら、図書室へと歩き出した。
