ちゃんと見てんねん
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~ちゃんと見てんねん~
3年生の女子バレー部は私しかいない。
必然的に実力関係なく部長に任命。
名前だけの部長。
運動部は上下関係が厳しいと言われているけれど、経験者の後輩からナメられているのが分かる。
小中学生の頃からバレーをやっている後輩たちと、高校に入ってからバレーを始めた私では経験値が違う。
もちろん小中学生の頃の私が他事に勤しんでいる間に、あの子たちはバレーを頑張ってきた。上手さを妬むのはお門違いなのは分かる。
私は私なりに部活を頑張ってきたけれど、それが報われないのは面白くないし悔しい気持ちにはなる。
そう思うくらいはいいでしょ。
ーーーー
「ねえ、北」
「なんや、●●」
「北はさー、部長だけど試合に出してもらえないことってある?」
休み時間なのに机に向かって次の授業の予習をしている北に、なんとなく聞いてみた。
「なんや急に」
「いいから、いいから」
男子バレー部にいる2年生の双子の噂はよく聞く。
それは私が女子バレー部だからとかではなく、活躍、容姿、キャラクターが目立つからである。
そんな彼らは実力ももちろん備わっており、必然とスタメン枠は彼らで2つ埋まる。
それなのに近々試合があるから、北はどうなんだろうって。
「せやな、あるも何も公式戦には1度も出てへんよ」
「えっ……」
意外だった。
確か、北は中学もバレー部だって言っていたし、休まず部活にも参加しているし、誰よりも先に体育館に向かうようにもしている。
それなのに公式戦に出してもらえないなんて、よっぽどの下手かセンスがない……いや、それはないな。
きっと周りが上手過ぎなんだ。
「出れなくて悔しくないの?」
「俺にとってバレーは反復・継続・丁寧。心地ええからやってるんや。試合に出れるかどうかは副産物に過ぎん」
「ふーん、変なの」
北と私では感覚が違うみたい。
やるからには結果を残したいと思うのは普通だと思っていたのに、北は経過を大切にするみたいだ。
経過はもちろん大切だと思うけど、結果を残さなければ意味ないよ。
「今日の部活、体育館一緒やろ?お互い頑張ろうな」
そんなことを考えているとも知らず、北は私に笑いかけてくれる。
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