青春の匂いはパンの香り
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そろそろお昼時間が終わる。
引き上げ作業を始めようとしたそのとき、木兎君が慌てて走ってきた。
「●●さん!」
「どうしたの?」
「買ってないパンが入ってた!」
そう言って袋から取り出したのは、私が作ったメロンパンだった。
「あ、それは……!」
“私が作ったの”
そう言おうとしたら、
「それにしても、不格好なパンっすね!ワハハッ」
盛大に笑う木兎君に、私は思わず固まってしまった。
自分の手作りパンを初めて誰かに食べてもらうと勇気を出した矢先、不格好だと言われた恥ずかしさが一気に押し寄せてくる。
「あ、いや……!その……」
どう言葉を返せばいいのか分からず俯くと、木兎君はきょとんとした顔で首をかしげた。
「どうかしたんすか、●●さん?」
「えっと、その、パン……私が作ったの。初めてで、不格好でごめんなさい……」
蚊の鳴くような声でそう言うと、木兎君は一瞬目を見開いた後、慌ててパンの袋を開けた。
中に入っていた不格好なパンをじっと見つめ、そして私に視線を戻す。
「これ、●●さんが作ったんすか……?」
「はい……」
「●●さんが、俺のために……。すげぇ!超嬉しい!」
木兎君の顔が、驚き顔から一気に晴れ渡ったように輝く。
「不格好って言って、ごめんなさい!でも、なんか、●●さんが一生懸命作ったんだなって思ったら、すげぇカッコよく見えてきた!」
彼はそう言って、一口、大きくかぶりつく。
私はごくりと唾を飲み込んで、木兎君の反応を固唾を飲んで見守った。
「んっ!美味い!●●さん、これ、すげぇ美味いっす!」
満面の笑みで言われ、私は胸を撫で下ろした。
「本当?よかった……」
「これ、俺だけがもらったパンっすよね?他のやつにはあげてないっすよね?!」
「そ、そうだけど、なんで……?」
「だって、その方が俺だけ特別って感じがして、めちゃくちゃ嬉しいから!」
そう言って、木兎君は残りのパンもペロりと平らげると、食べ終えたパンの袋を握りしめながら、両手を合わせた。
「ご馳走様でした!美味かった!●●さん、また作ってくれる?」
「いいよ」
「マジで?やったー!ヘイヘイヘーイ!」
木兎君は大袈裟に飛び跳ね、喜んだ。
美味しかったって喜んでもらうのって、こんな感覚なんだ。
以前、木兎君が感謝を述べに来てくれたことがあった。
そのときは、私が作ったパンじゃないのに、と素直に喜べなかった。
だけど、今、初めて誰かのために作ったパンをこんなにも美味しいって言ってもらえて、心が温まる感じがした。
次は何のパンを作ろうかな。
私は心の中でそう思った。
ーーFinーー
引き上げ作業を始めようとしたそのとき、木兎君が慌てて走ってきた。
「●●さん!」
「どうしたの?」
「買ってないパンが入ってた!」
そう言って袋から取り出したのは、私が作ったメロンパンだった。
「あ、それは……!」
“私が作ったの”
そう言おうとしたら、
「それにしても、不格好なパンっすね!ワハハッ」
盛大に笑う木兎君に、私は思わず固まってしまった。
自分の手作りパンを初めて誰かに食べてもらうと勇気を出した矢先、不格好だと言われた恥ずかしさが一気に押し寄せてくる。
「あ、いや……!その……」
どう言葉を返せばいいのか分からず俯くと、木兎君はきょとんとした顔で首をかしげた。
「どうかしたんすか、●●さん?」
「えっと、その、パン……私が作ったの。初めてで、不格好でごめんなさい……」
蚊の鳴くような声でそう言うと、木兎君は一瞬目を見開いた後、慌ててパンの袋を開けた。
中に入っていた不格好なパンをじっと見つめ、そして私に視線を戻す。
「これ、●●さんが作ったんすか……?」
「はい……」
「●●さんが、俺のために……。すげぇ!超嬉しい!」
木兎君の顔が、驚き顔から一気に晴れ渡ったように輝く。
「不格好って言って、ごめんなさい!でも、なんか、●●さんが一生懸命作ったんだなって思ったら、すげぇカッコよく見えてきた!」
彼はそう言って、一口、大きくかぶりつく。
私はごくりと唾を飲み込んで、木兎君の反応を固唾を飲んで見守った。
「んっ!美味い!●●さん、これ、すげぇ美味いっす!」
満面の笑みで言われ、私は胸を撫で下ろした。
「本当?よかった……」
「これ、俺だけがもらったパンっすよね?他のやつにはあげてないっすよね?!」
「そ、そうだけど、なんで……?」
「だって、その方が俺だけ特別って感じがして、めちゃくちゃ嬉しいから!」
そう言って、木兎君は残りのパンもペロりと平らげると、食べ終えたパンの袋を握りしめながら、両手を合わせた。
「ご馳走様でした!美味かった!●●さん、また作ってくれる?」
「いいよ」
「マジで?やったー!ヘイヘイヘーイ!」
木兎君は大袈裟に飛び跳ね、喜んだ。
美味しかったって喜んでもらうのって、こんな感覚なんだ。
以前、木兎君が感謝を述べに来てくれたことがあった。
そのときは、私が作ったパンじゃないのに、と素直に喜べなかった。
だけど、今、初めて誰かのために作ったパンをこんなにも美味しいって言ってもらえて、心が温まる感じがした。
次は何のパンを作ろうかな。
私は心の中でそう思った。
ーーFinーー
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