アナタしか好きじゃない
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次の日のお昼休みに木兎を呼び出した。
「木兎、話があるんだけど……」
「奇遇だな、俺もある」
もしかして、一晩経って冷静になった木兎が昨日の嫌がらせに気が付いた?
私、振られちゃうの?
いや、そう仕向けていたのは私じゃない。
木兎の話を聞くのが怖いな……。
「ここじゃなんだから、あっちでお昼ご飯食べながら話そう?」
木兎は私の提案に黙って後ろを付いてきた。
「ここならいいかな」
空き教室のに入り、適当に机を借りた。
お互いにお弁当を広げたけれど、話がある手前、中々手を付けられない。
先に話を切り出したのは木兎の方だった。
「あのさ、俺バカだから気が付かなかったんだけど……」
きっと誰かに相談して諭されたんだ。
大方、お前がされたのは嫌がらせだから、そんな彼女なんか別れろ、とかかな。
それなのに、
「俺、●●に嫌われることをしたかもしれない……。次は気を付けるから、ダメなところがあれば何でも直すから!だから別れないでくれ!」
返ってきたのは意外な言葉だった。
何で木兎の方が私に別れないでって頼んでいるの?
それはこっちのセリフなのに。
「別れたくないのは私の方だよ」
「??」
意味が分からないとでも言いたげな木兎は首を傾げた。
「昨日の嫌がらせ、ワザとやった」
「え……嫌がらせ?」
……あれ?もしかして私の嫌がらせに気が付いていない?
「ほら、教科書に落書きしたり、熱いコーヒーをかけたり……」
「あーそれ?落書きはむしろ嬉しかったし、コーヒーは確かに熱かったけど、●●が火傷しなければ問題ないよ」
「でもジャージ……」
「そんなん洗濯すれば落ちるからへーきへーき!」
開いた口が塞がらない。
「それじゃあ、なんで木兎は私に振られると思ったの?」
「あかーし………後輩にさ、いくら彼氏でも全力で追いかけ回されたら怖いし引くって言われてよ。振られんじゃないかって心配になって」
それこそ私からしたらそんなこと、だ。
確かに体力お化けすぎて引いたけど、それは日頃からバレーを頑張っている木兎の努力の賜物でもあるから。
「それで、なんで●●は俺に嫌がらせしたんだ?」
ま、全然嫌じゃなかったけどな、と付け加えた木兎。
「えっと……」
そうだ、肝心なことをまだ聞いていなかった。
永瀬カレンさんの件。
私は意を決した。
「実はこの間、木兎が永瀬カレンが好きって言っているのを聞いちゃって……」
「永瀬カレン……?」
「うん。だから、木兎は私に情があって別れられないだけで、本当はカレンさんと付き合いたいのかと思って、ワザと振られるように嫌われることをしました」
後半になるにつれ尻窄みになる私の声。
それに反するように木兎は大きな声を出した。
「待て!待て!永瀬カレンって誰だ?!」
「え?木兎が言っていたんだよ?」
むしろ私が永瀬カレンって誰、と問いたい。
「うーん」
木兎は唸りながら頭を抱え込んだ。
やっぱり私の聞き間違えだったの?
いや、でも、あの声は絶対に木兎だった。
すると、
「あっ!思い出した!」
おもむろにスマホを取り出して、何かを打ち込んだ木兎。
「この人!」
見せられた画面にはグラビアアイドル、と紹介されてる永瀬カレンさんのホームページ。
「グラビアアイドル……」
「そう!友達がその人が載っているグラビアの雑誌を持ってきてさ、どうしてもこの中なら誰が好きかって聞かれて、渋々答えたやつ」
「それじゃあ……私の勘違い?」
「だな!俺は●●しか好きじゃないから!」
「はぁ〜」
急に緊張の糸が切れたように机に突っ伏した。
「どうした!お腹でも痛いのか?」
「ううん、なんでもない。………ねえ、木兎」
私は見上げるように木兎に話しかけた。
「ん?」
「私も木兎しか好きじゃないから」
「おう!」
そう言ってニカッと笑った木兎はやっぱり格好良くて、彼と付き合えて本当に幸せだと思った。
ーーFinーー
「木兎、話があるんだけど……」
「奇遇だな、俺もある」
もしかして、一晩経って冷静になった木兎が昨日の嫌がらせに気が付いた?
私、振られちゃうの?
いや、そう仕向けていたのは私じゃない。
木兎の話を聞くのが怖いな……。
「ここじゃなんだから、あっちでお昼ご飯食べながら話そう?」
木兎は私の提案に黙って後ろを付いてきた。
「ここならいいかな」
空き教室のに入り、適当に机を借りた。
お互いにお弁当を広げたけれど、話がある手前、中々手を付けられない。
先に話を切り出したのは木兎の方だった。
「あのさ、俺バカだから気が付かなかったんだけど……」
きっと誰かに相談して諭されたんだ。
大方、お前がされたのは嫌がらせだから、そんな彼女なんか別れろ、とかかな。
それなのに、
「俺、●●に嫌われることをしたかもしれない……。次は気を付けるから、ダメなところがあれば何でも直すから!だから別れないでくれ!」
返ってきたのは意外な言葉だった。
何で木兎の方が私に別れないでって頼んでいるの?
それはこっちのセリフなのに。
「別れたくないのは私の方だよ」
「??」
意味が分からないとでも言いたげな木兎は首を傾げた。
「昨日の嫌がらせ、ワザとやった」
「え……嫌がらせ?」
……あれ?もしかして私の嫌がらせに気が付いていない?
「ほら、教科書に落書きしたり、熱いコーヒーをかけたり……」
「あーそれ?落書きはむしろ嬉しかったし、コーヒーは確かに熱かったけど、●●が火傷しなければ問題ないよ」
「でもジャージ……」
「そんなん洗濯すれば落ちるからへーきへーき!」
開いた口が塞がらない。
「それじゃあ、なんで木兎は私に振られると思ったの?」
「あかーし………後輩にさ、いくら彼氏でも全力で追いかけ回されたら怖いし引くって言われてよ。振られんじゃないかって心配になって」
それこそ私からしたらそんなこと、だ。
確かに体力お化けすぎて引いたけど、それは日頃からバレーを頑張っている木兎の努力の賜物でもあるから。
「それで、なんで●●は俺に嫌がらせしたんだ?」
ま、全然嫌じゃなかったけどな、と付け加えた木兎。
「えっと……」
そうだ、肝心なことをまだ聞いていなかった。
永瀬カレンさんの件。
私は意を決した。
「実はこの間、木兎が永瀬カレンが好きって言っているのを聞いちゃって……」
「永瀬カレン……?」
「うん。だから、木兎は私に情があって別れられないだけで、本当はカレンさんと付き合いたいのかと思って、ワザと振られるように嫌われることをしました」
後半になるにつれ尻窄みになる私の声。
それに反するように木兎は大きな声を出した。
「待て!待て!永瀬カレンって誰だ?!」
「え?木兎が言っていたんだよ?」
むしろ私が永瀬カレンって誰、と問いたい。
「うーん」
木兎は唸りながら頭を抱え込んだ。
やっぱり私の聞き間違えだったの?
いや、でも、あの声は絶対に木兎だった。
すると、
「あっ!思い出した!」
おもむろにスマホを取り出して、何かを打ち込んだ木兎。
「この人!」
見せられた画面にはグラビアアイドル、と紹介されてる永瀬カレンさんのホームページ。
「グラビアアイドル……」
「そう!友達がその人が載っているグラビアの雑誌を持ってきてさ、どうしてもこの中なら誰が好きかって聞かれて、渋々答えたやつ」
「それじゃあ……私の勘違い?」
「だな!俺は●●しか好きじゃないから!」
「はぁ〜」
急に緊張の糸が切れたように机に突っ伏した。
「どうした!お腹でも痛いのか?」
「ううん、なんでもない。………ねえ、木兎」
私は見上げるように木兎に話しかけた。
「ん?」
「私も木兎しか好きじゃないから」
「おう!」
そう言ってニカッと笑った木兎はやっぱり格好良くて、彼と付き合えて本当に幸せだと思った。
ーーFinーー