ーーおまけ(北side)ーー


●●ちゃんが学校に行っている間の出来事。
収穫前に田んぼ水を抜く作業をしていたら、じいちゃんが話しかけてきた。


「北君、これはただの老いぼれの一人言なんだがな」


手元は止めず、作業しながら話を切り出した。


「あの子は小さい頃からじいちゃん子で、両親が仕事に行っているとき、いつもワシの畑に来ては泥んこになって遊んでいた」


小さい頃の●●ちゃん、とても想像が付く。


「その畑がワシの加齢のせいで手放すのをよく思っていない。あの子は何も言わないが」


ハハハと寂しそうに笑うじいちゃん。


「将来は好きなことやってほしいんだが、優しいあの子はワシの畑を継がないといけない、とプレッシャーに感じておる」


●●ちゃんが懸念していたこと、じいちゃんは分かっていたようだ。


「だから、地主の権力を使うようで申し訳ないんじゃが、あの子の支えになってくれんか」


じいちゃんに言われる前から、俺は●●ちゃんに惹かれていた。


「これは僕の一人言なんですが、僕は将来●●さんと稲作農業をしたいと思っています。彼女にはまだ伝えていないので、僕が勝手に考えていることですが……」


俺は作業を止めてじいちゃんに向き合った。


「なのでじいちゃん……いえ◯◯さん。お孫さんを僕に下さい」


じいちゃんは何も言わずに、ただ安心したような顔をしていた。