〜第二章〜 美味しいお米の炊き方
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普通車の免許証はオートマの方が簡単だと聞くけど、残念ながら家にある軽トラは違うため、ミッションの免許を取ることにした。
合宿中は午前中に学科、午後に技能教習がある。
朝早くから勉強が始まるけれど、農家の孫の私にとって、早起きは苦にならない。
ストレートに合格すれば、16日足らずで終わる。
信介君は色々と心配していたけれど、間違いが起きるような暇なんてない。
みんな真剣に授業を受けている。
そんな1日の授業が終わった後に、信介君と電話で話すのが、唯一の楽しみだった。
“勉強は順調か?”
「うん、明日は仮免のテスト」
“ほうか、●●ちゃんなら大丈夫や”
知り合ってからほとんど毎日顔を合わせていたし、なんなら一緒に住んでいた。
そんな信介君と電話で話す機会なんてほとんどなく、なんだか新鮮な気持ちになる。
ある意味、合宿に参加してよかったのかもしれない。
でも、そんなことを言ったら、きっと信介君は拗ねるだろう。
「そろそろ寝るね」
少し名残惜しさを感じながら、通話終了ボタンを押した。
そして迎えた仮免許試験は、無事に合格。
明日からはいよいよ路上運転だ。
部屋に戻って信介君に連絡しよう。
そう思っていたら、初めて同じ合宿に参加している男性に話しかけられた。
「ねぇ、キミ」
「?」
「そう、キミ。今からみんなで仮免のプチ合格祝いするけど、どう?」
「え、いや、遠慮します」
「残念」
男性は肩をすくめながら言い、他のメンバーのところへ戻っていった。
なるほど、これが信介君の心配していたことか。
そう思いながら、私は今度こそ自室へと戻った。
ーーーー
高速教習では、教官が決めた相手とペアを組み、行きと帰りでどちらが運転するか決める。
私のペアは、先日声をかけてきた男性だった。
普通は同性じゃないのかなと思ったけれど、今回の合宿参加者の中でミッションの女の子は私だけだったらしい。
「よろしくね。どっち運転したい?俺はどっちでもいいけど」
「行きを運転したいです」
「おっけーい、頑張ろうね、◯◯さん」
「あ、はい」
なんで名字を知っているんだろう。
私は、この合宿で誰一人として覚える気がないのに。
……。
…………。
大型トラックに囲まれたり、速い車にビュンビュン抜かされたりしながらも、どうにか目的地のサービスエリアに到着した。
「少ししたら運転手交代して帰るからなー」
教官はそう言って、一服をしに行った。
私は飲み物を買って、イートインスペースに座った。
帰りは運転しなくていいから、ぼーっとできて嬉しい。
「お疲れ、◯◯さん」
「あ、はぁ……」
名前も知らない彼に話しかけられた。
「◯◯さんはさ、彼氏いるの?」
「い、いませんけど……」
そうだ、信介君は私の彼氏でも夫でもない。
「それなら、俺、立候補しちゃおうかな~」
「当選予定の人いるので」
我ながら、なんて寒い言い訳だろう。
「ははは、◯◯さんは面白い人だね」
笑わせようと思って言ったワケではない。
面倒くさいと思っていたところ、教官がいいタイミングで戻ってきてくれた。
帰り道は彼と教官の二人が話をしており、私は後ろの席で大人しくしているだけだった。
教習所に戻り、高速教習が終わった後、教官がいなくなったことを確認した彼は、
「◯◯さん、本気だから考えておいてね」
そう言って去っていった。
名も知らない彼よ、考える余地もない。
それ以降、彼に絡まれることはなく、無事に卒業検定も合格し、自動車合宿は終わった。
