〜第二章〜 美味しいお米の炊き方
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
〜第二章〜 美味しいお米の炊き方
朝、目が覚めると、畑の方からじいちゃんの軽トラックのエンジン音が静かに響いていた。
もうすぐ田植えの季節だ。
私はこの春から、農業大学校に進学した。じいちゃんの代で終わるはずだった農家を継ぐかどうか、まだ決心はついていない。
それでも、農家の孫として、知識を付けておくことはきっと無駄にはならない。
じいちゃんが何十年とかけて守ってきた畑を、いつか誰かに任せるにしても、何も知らないままでは寂しいと思ったから。
信介君も、本格的に稲作を始めた。
大学4年生だけど、必要な単位はほぼ取り終えているようで、学校にはたまに顔を出す程度で、ほとんどの時間を畑で過ごしている。
広い空の下、作業着姿で苗を植える信介君の背中は、夏に出会ったときよりもずっと頼もしく見えた。
そう、まだたったの半年しか経っていない。
けれど、私たちはすでに、家族として一緒に暮らしている。
もちろん、2人きりではない。
両親とじいちゃんと、そして信介君の5人暮らしだ。
じいちゃんは、
「早くひ孫の顔が見たい」
なんて言うけれど、信介君と私はまだ、付き合ってもいないし、ましてや結婚なんて。
いくらなんでも気が早すぎる。
だけど、そう思っているのは私だけのよう。
「学校はどうや?変な虫が付かんように、終わったら真っ直ぐ帰ってくるんやで」
朝ご飯を食べていると、信介君がそう声をかけてくる。
もうすっかり決まり文句になった、
まるで許嫁のような言葉。
信介君の真っ直ぐ私に好意を向けてくれることが、嬉しくもあり、同時に戸惑いでもあった。
信介君との共同生活は、何の不満もない。彼は両親にもじいちゃんにもよく懐いてくれているし、掃除や料理も手伝ってくれる。
そして何より、じいちゃんの畑を継ぐと言ってくれた。
本当に、何の問題もない。
なのに、私はまだ信介くんに対して、自分の気持ちが定まらないでいる。
これが“好き”という感情なのか、私にはまだ分からなかった。
