〜第一章〜 美味しいお米の育て方
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~第一章〜 美味しいお米の育て方
私の家は昔から百姓だったらしい。
だけど両親は農業を継いでいないし、私にも農業を継いで欲しい気持ちはないと言う。
幼い頃から、この家は農家として続いていくものだと漠然と思っていた。
だから、じいちゃんの代でその歴史が終わるのだと知った時、胸にぽっかりと穴が空いたような、寂しさを感じた。
ばあちゃんが早くに亡くなってからは、じいちゃんと畑で過ごす時間が私にとっての全てだった。
真夏の強い日差しの下、ハウスのビニールの中で真っ赤な苺を摘んだ。
甘い香りに誘惑されて、こっそり摘み食いをしたことも。
玉ねぎの収穫では、土の中から玉ねぎを引っこ抜くたびに、乾いた土の匂いが立ち上った。
他にも、畑の隅にひっそりと生えている土筆を採ったり、昆虫だって採集した。
それから、わざと田んぼに足を突っ込んで怒られたこともあったっけ。
とにかく、農作業をしているじいちゃんの後ろ姿は、いつだって大きく見えた。
そんなじいちゃんが、年を重ねるごとに少しずつ畑の規模を縮小している。
かつて様々な作物が育てられていた畑は、アスファルトで固められ、無機質な駐車場に姿を変えた。
例え畑の姿を残していても、他の農家に貸し出され、私の知らない作物が植えられている。
思い出を手放している感覚が堪らなく嫌だった。
それに伴い、あんなに大きかったじいちゃんの背中も、気付けば小さく……。
私がもっとたくさん手伝うから。
だから、じいちゃんはいつまでも元気でいてよ。
そう願いながら、私は日々過ごしていた。
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