〜第一章〜 友達と呼びたくない
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数日後。
私は研磨の配信部屋に来ていた。
目的は配信動画を録るため。
「ゾンビハザード9協力プレイ実況、続きやっていくよ」
「友達です。よろしくお願いします」
研磨から前回コメントのことを指摘されず、2回目のライブ配信が始まった。
気付かなかったのか、スルーしたのか、それとも研磨も私と一緒にプレイしたいから見なかったことにしているのか。
答えは分からないまま。
「友達、そっちに敵行ったよ」
「あ、うん」
研磨は相変わらず配信中は私のことを“友達”と呼ぶ。
その呼び方がいつまで経っても好きになれなかった。
かと言って、ハンドルネームを考えるほどでもない。
私も私で研磨のことを“コヅケン”と呼ぶのにも慣れない。
何度本名で呼びそうになったことか。
最後までやりきりたいと思う反面、早く終わって欲しいと思ってしまった。
その2つの相反する気持ちが心の中で渦巻く。
だけど、その甲斐あってか、ゲームは順調に進行していった。
「回復アイテムある?」
「はい。全部倒さなくてもスルーできる敵は避ければいいよ」
口に出してから、またもやハッとした。
ナイフ縛りを匂わせる発言をしてしまうなんて。
コメント欄を横目に見ると、多くはないけれど数人の視聴者が指摘をしていた。
コメントの流れが速いけれど、さすがに研磨も気付くだろう。
……。
…………。
「次が最後の章かな。いいところだけど、今日はここまでね」
「ありがとうございました」
ライブ配信を終えると、予想通り研磨がコメントのことを指摘してきた。
「何人か●●がナイフ縛りをプレイしていたことに気付いてるね」
「うん……」
私のプレイのせいで研磨の評価を下げてしまう。
それなのに、研磨は私を責めるどころか、深く頭を下げた。
「俺が、面白そうだからって軽率に動画撮影したのが悪かった」
「そんな、研磨は……」
研磨の申し訳なさそうな顔を見て、言葉が喉に詰まる。
その優しさが、私の胸を締め付けた。
「ゾンビ9の続きは俺一人でやるから。●●が使ってたキャラはCPUに切り替わるでしょ」
「……うん」
研磨とのライブ配信が終わってしまった。
もう、この時間を共有することはないのか。
喪失感が襲ってくる。
私が俯いていると、研磨は静かに話し始めた。
「俺さ、最初は嫌々始めたけど、その反面●●とならどんな実況プレイになるのかなって楽しみだった」
その言葉に、顔を上げる。
「慣れないホラゲーだったけど、●●とだったから楽しくてさ。気付いていないと思うけど、何回か友達じゃなくて本名で呼びそうになった」
研磨も同じことを考えていただなんて、全く気付かなかった。
「段々、●●って呼べないのがツラくなった。何で友達なんだよって」
彼の声が少しだけ震えているように聞こえた。
「どうせなら彼女って呼びたかった」
「……え?」
彼女……?
思いがけない言葉に、新造がドクりと大きく跳ねた。
「視聴者に声可愛いとか、操作上手いとか、顔も絶対に可愛いはずとか言われててさ」
そんなコメント、あったかな。
私の目に留まったのはコヅケンの声で孕むとか、エイム神だとか、コヅケン結婚して、と研磨を褒めるコメントばかりだったのに。
「そんなん、俺はとっくに知ってるしって言ってやりたかった」
「わ、私だって研磨のこと褒めてるコメント見て、とっくに知ってるしって思った!」
「俺たち、同じ事考えていたのかもね」
研磨を見ると困ったような、それでいて嬉しそうな顔で笑っていた。
その顔が、堪らなく愛おしい。
「●●、俺の彼女になってくれない?」
「うん!なる!なりたい!」
嬉しすぎて、思わず前のめりになってしまう。
「ところでゾンビ9の続きは……」
「嫉妬しちゃうから、もう●●は出演させない」
即答で断られてしまった。
でも、プライベートでは一緒にクリアしたいな。
ーーFinーー
私は研磨の配信部屋に来ていた。
目的は配信動画を録るため。
「ゾンビハザード9協力プレイ実況、続きやっていくよ」
「友達です。よろしくお願いします」
研磨から前回コメントのことを指摘されず、2回目のライブ配信が始まった。
気付かなかったのか、スルーしたのか、それとも研磨も私と一緒にプレイしたいから見なかったことにしているのか。
答えは分からないまま。
「友達、そっちに敵行ったよ」
「あ、うん」
研磨は相変わらず配信中は私のことを“友達”と呼ぶ。
その呼び方がいつまで経っても好きになれなかった。
かと言って、ハンドルネームを考えるほどでもない。
私も私で研磨のことを“コヅケン”と呼ぶのにも慣れない。
何度本名で呼びそうになったことか。
最後までやりきりたいと思う反面、早く終わって欲しいと思ってしまった。
その2つの相反する気持ちが心の中で渦巻く。
だけど、その甲斐あってか、ゲームは順調に進行していった。
「回復アイテムある?」
「はい。全部倒さなくてもスルーできる敵は避ければいいよ」
口に出してから、またもやハッとした。
ナイフ縛りを匂わせる発言をしてしまうなんて。
コメント欄を横目に見ると、多くはないけれど数人の視聴者が指摘をしていた。
コメントの流れが速いけれど、さすがに研磨も気付くだろう。
……。
…………。
「次が最後の章かな。いいところだけど、今日はここまでね」
「ありがとうございました」
ライブ配信を終えると、予想通り研磨がコメントのことを指摘してきた。
「何人か●●がナイフ縛りをプレイしていたことに気付いてるね」
「うん……」
私のプレイのせいで研磨の評価を下げてしまう。
それなのに、研磨は私を責めるどころか、深く頭を下げた。
「俺が、面白そうだからって軽率に動画撮影したのが悪かった」
「そんな、研磨は……」
研磨の申し訳なさそうな顔を見て、言葉が喉に詰まる。
その優しさが、私の胸を締め付けた。
「ゾンビ9の続きは俺一人でやるから。●●が使ってたキャラはCPUに切り替わるでしょ」
「……うん」
研磨とのライブ配信が終わってしまった。
もう、この時間を共有することはないのか。
喪失感が襲ってくる。
私が俯いていると、研磨は静かに話し始めた。
「俺さ、最初は嫌々始めたけど、その反面●●とならどんな実況プレイになるのかなって楽しみだった」
その言葉に、顔を上げる。
「慣れないホラゲーだったけど、●●とだったから楽しくてさ。気付いていないと思うけど、何回か友達じゃなくて本名で呼びそうになった」
研磨も同じことを考えていただなんて、全く気付かなかった。
「段々、●●って呼べないのがツラくなった。何で友達なんだよって」
彼の声が少しだけ震えているように聞こえた。
「どうせなら彼女って呼びたかった」
「……え?」
彼女……?
思いがけない言葉に、新造がドクりと大きく跳ねた。
「視聴者に声可愛いとか、操作上手いとか、顔も絶対に可愛いはずとか言われててさ」
そんなコメント、あったかな。
私の目に留まったのはコヅケンの声で孕むとか、エイム神だとか、コヅケン結婚して、と研磨を褒めるコメントばかりだったのに。
「そんなん、俺はとっくに知ってるしって言ってやりたかった」
「わ、私だって研磨のこと褒めてるコメント見て、とっくに知ってるしって思った!」
「俺たち、同じ事考えていたのかもね」
研磨を見ると困ったような、それでいて嬉しそうな顔で笑っていた。
その顔が、堪らなく愛おしい。
「●●、俺の彼女になってくれない?」
「うん!なる!なりたい!」
嬉しすぎて、思わず前のめりになってしまう。
「ところでゾンビ9の続きは……」
「嫉妬しちゃうから、もう●●は出演させない」
即答で断られてしまった。
でも、プライベートでは一緒にクリアしたいな。
ーーFinーー
