〜第一章〜 友達と呼びたくない
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研磨の部屋で過ごした1週間は、あっという間だった。
私がプレイした初代ゾンビハザードナイフ縛プレイは、その間で3本の動画になり、再生回数もありがたいことに、どれも10万を越えた。
最終回の動画には“また他のホラーも見たい”や“ゾンビハザード2も期待”などとコメントが寄せられるほどに。
「思ったより評価高かったね」
コメント欄を一緒に見ながら、満足気に言う研磨の声は、どこか弾んでいるように聞こえた。
その言葉に、私は少しだけ頬を赤くしながら返した。
「研磨の知名度があったからだよ!いい経験になりました」
始める前はプレッシャーもあったけれど、終わってみるとなんだか寂しく感じる。
まるで、私と研磨の繋がりがなくなったみたい。
「収録なくても、また遊びに来ていい?」
俯きがちに尋ねると、研磨は呆れたようにフッと笑った。
「今までだって来てたでしょ」
その一言が、研磨との関係は、何ら変わらないのだと教えてくれているようで、嬉しかった。
ーーーー
翌週、研磨の家のチャイムを鳴らすや否や、彼が出てくる前にドアを開けた。
「遊びに来たよー!」
「え、ちょっ、待っ」
遊びに来ていいと言うから来たのに、玄関を開けると、奥の収録部屋から研磨の慌てた声が聞こえてきた。
嫌な予感がする。
「なにか、まずかった?」
一歩足を踏み入れると、ヘッドセットをつけた研磨が、焦った表情で収録部屋から顔を覗かせた。
「今、ライブ配信してた」
「えっ……ごめん!」
咄嗟に手で口を押さえたけれど、どう見ても手遅れだった。
本名は呼ばなかったはずだけど、大丈夫だろうか。
恐る恐る収録部屋へ入ると、研磨のモニターに表示されたコメント欄がざわついていた。
“女の声だった”
“オカンか彼女か”
“コヅケン生きてるかー”
声の持ち主の推測が飛び交っていた。
全く大丈夫じゃない。
研磨は私に向けて人差し指を口元に付けシーっと静かにするようジェスチャーをし、マイクをオンにし、落ち着いた声で配信に戻った。
「ごめん、友達が来た」
“友達”か。
そうだよね、間違っていない。
研磨にとっては、私はただの友達。
でも、そのたった一言が、私の胸をチクリと刺した。
ほんの少し前まで、私たちは動画制作という特別な時間で繋がっていたのに。
「え、コントローラーもう1台あるだろって?」
勝手に落ち込んでいると、ため息を吐いた研磨は、私に向けて予備のコントローラーを渡してきた。
「視聴者が友達もゲームに参加してこいって」
研磨が今プレイしているゲームはやったことがある。
コントローラーを受け取り、成り行きで配信に参加することになった。
下手なことを言うといけないので、オフマイクだけど。
私は研磨の隣に座り、画面に映る世界へ入り込んでいく。
……。
…………。
ライブ配信はヘマすることなく無事に終わった。研磨はヘッドセットを外し、疲れたようにソファに体を預ける。
もう喋っても大丈夫だろうか。
「ねえ、研磨」
「ん?」
「この配信残るの?」
「あー……。普段はアーカイブに残してるけど、これはさすがに非表示にするよ」
「そっか……」
配信上で私の存在がなかったことになるのは寂しい。
でも、研磨が“友達”と私を紹介する声を聞かずに済むなら、それで良かったのかもしれない。
私は、そう自分に言い聞かせて、胸のチクリとした痛みをそっと心の奥に仕舞い込んだ。
私がプレイした初代ゾンビハザードナイフ縛プレイは、その間で3本の動画になり、再生回数もありがたいことに、どれも10万を越えた。
最終回の動画には“また他のホラーも見たい”や“ゾンビハザード2も期待”などとコメントが寄せられるほどに。
「思ったより評価高かったね」
コメント欄を一緒に見ながら、満足気に言う研磨の声は、どこか弾んでいるように聞こえた。
その言葉に、私は少しだけ頬を赤くしながら返した。
「研磨の知名度があったからだよ!いい経験になりました」
始める前はプレッシャーもあったけれど、終わってみるとなんだか寂しく感じる。
まるで、私と研磨の繋がりがなくなったみたい。
「収録なくても、また遊びに来ていい?」
俯きがちに尋ねると、研磨は呆れたようにフッと笑った。
「今までだって来てたでしょ」
その一言が、研磨との関係は、何ら変わらないのだと教えてくれているようで、嬉しかった。
ーーーー
翌週、研磨の家のチャイムを鳴らすや否や、彼が出てくる前にドアを開けた。
「遊びに来たよー!」
「え、ちょっ、待っ」
遊びに来ていいと言うから来たのに、玄関を開けると、奥の収録部屋から研磨の慌てた声が聞こえてきた。
嫌な予感がする。
「なにか、まずかった?」
一歩足を踏み入れると、ヘッドセットをつけた研磨が、焦った表情で収録部屋から顔を覗かせた。
「今、ライブ配信してた」
「えっ……ごめん!」
咄嗟に手で口を押さえたけれど、どう見ても手遅れだった。
本名は呼ばなかったはずだけど、大丈夫だろうか。
恐る恐る収録部屋へ入ると、研磨のモニターに表示されたコメント欄がざわついていた。
“女の声だった”
“オカンか彼女か”
“コヅケン生きてるかー”
声の持ち主の推測が飛び交っていた。
全く大丈夫じゃない。
研磨は私に向けて人差し指を口元に付けシーっと静かにするようジェスチャーをし、マイクをオンにし、落ち着いた声で配信に戻った。
「ごめん、友達が来た」
“友達”か。
そうだよね、間違っていない。
研磨にとっては、私はただの友達。
でも、そのたった一言が、私の胸をチクリと刺した。
ほんの少し前まで、私たちは動画制作という特別な時間で繋がっていたのに。
「え、コントローラーもう1台あるだろって?」
勝手に落ち込んでいると、ため息を吐いた研磨は、私に向けて予備のコントローラーを渡してきた。
「視聴者が友達もゲームに参加してこいって」
研磨が今プレイしているゲームはやったことがある。
コントローラーを受け取り、成り行きで配信に参加することになった。
下手なことを言うといけないので、オフマイクだけど。
私は研磨の隣に座り、画面に映る世界へ入り込んでいく。
……。
…………。
ライブ配信はヘマすることなく無事に終わった。研磨はヘッドセットを外し、疲れたようにソファに体を預ける。
もう喋っても大丈夫だろうか。
「ねえ、研磨」
「ん?」
「この配信残るの?」
「あー……。普段はアーカイブに残してるけど、これはさすがに非表示にするよ」
「そっか……」
配信上で私の存在がなかったことになるのは寂しい。
でも、研磨が“友達”と私を紹介する声を聞かずに済むなら、それで良かったのかもしれない。
私は、そう自分に言い聞かせて、胸のチクリとした痛みをそっと心の奥に仕舞い込んだ。
