〜第二章〜 恋人と呼びたくない
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研磨に内定場所を伝えた日から、少しだけぎこちなくなった。
遠距離恋愛になるのに、このまま卒業はしたくない。
研磨とちゃんと話し合わないと。
そう思い、私は研磨の家に訪れた。
「お邪魔します」
「うん、適当に入って……」
研磨は相変わらず素っ気ない態度のまま、私を迎え入れてくれた。
「飲み物を持ってくるから、先に行ってて」
通された部屋には、さっきまで研磨がやっていたであろうゲームが起動されたまま、テレビ画面に映し出されていた。
今までなら、何のゲームか気になって覗いたりしていたけれど、今はそんな雰囲気ではない。
何度も来たことある部屋なのに、なんだか気まずさを覚えた。
立ち尽くしていると、2人分の飲み物を持ってきた研磨が戻ってきた。
「座らないの?」
「あ、うん。座る」
「ん、これ」
差し出されたグラスの中身は、透明感のある琥珀色。
それを一口飲むと、口の中は甘酸っぱいりんごの風味が広がった。
「……?!」
てっきり、お茶だと思っていたから驚いた。
だけど、その勘違いがクスッと笑えて、少しだけリラックスできた。
グラスの中のりんごジュースを半分ほど飲んだところで、私は意を決して口を開いた。
「研磨は私に名古屋へ行ってほしくないの?」
「そう言うわけじゃないけど……」
研磨は少しだけ目を伏せて、言葉を選んでいるようだった。
そして、ようやく続きを話し始めた。
「●●が決めた仕事は応援したいし、今の俺に止める権利はない」
「うん」
「だけど、変な虫が付かないか心配だし」
「アハハ、ないない」
予想外の言葉に、思わず笑ってしまった。
「口を開けばゲームの話しかしない私と付き合えるの、研磨くらいだよ」
研磨以外と恋愛経験のない私には想像しなかった心配事だった。
それを言うなら、逆に研磨の方が……。
と思ったけれど、研磨もほぼ引きこもってるから大丈夫かな。
そんなことを考えていると、研磨は少し拗ねたように、他の不安も打ち明けてきた。
「それと、もし●●が向こうで何かあっても直ぐに駆けつけられないし」
「東京から名古屋なんて新幹線で1時間半だよ?」
私はできるだけ明るく言った。
調べるまで知らなかったけれど、東京から名古屋は意外と近い。
頻繁には通えないにしろ、会おうと思えばいつでも会える。
「そうじゃなくて、ケガとか病気になって救急車に運ばれたとしても真っ先に連絡が行くのは家族でしょ。俺は●●の家族じゃないから」
「研磨……」
「俺も●●と家族になりたい」
研磨の真摯な言葉が響く。
「だから、籍だけ先に入れて欲しい。そしたら少しは安心して送り出せると思う」
驚きのあまり言葉が出なかった。
研磨がそこまで考えているなんて思わなかったから。
戸惑っていると、研磨は上目遣い気味に答えを求めてきた。
「返事は?」
その顔の破壊力が凄まじくて、
「あ、はい……」
私は気の抜けた声を出してしまった。
そうとも知らず、研磨は、
「両家顔合わせと、婚約指輪を見に行かないとな」
なんて、気の早いことを口にした。
就職活動は終えたけど、まだまだ忙しい日々が続きそうだ。
ーーFinーー
遠距離恋愛になるのに、このまま卒業はしたくない。
研磨とちゃんと話し合わないと。
そう思い、私は研磨の家に訪れた。
「お邪魔します」
「うん、適当に入って……」
研磨は相変わらず素っ気ない態度のまま、私を迎え入れてくれた。
「飲み物を持ってくるから、先に行ってて」
通された部屋には、さっきまで研磨がやっていたであろうゲームが起動されたまま、テレビ画面に映し出されていた。
今までなら、何のゲームか気になって覗いたりしていたけれど、今はそんな雰囲気ではない。
何度も来たことある部屋なのに、なんだか気まずさを覚えた。
立ち尽くしていると、2人分の飲み物を持ってきた研磨が戻ってきた。
「座らないの?」
「あ、うん。座る」
「ん、これ」
差し出されたグラスの中身は、透明感のある琥珀色。
それを一口飲むと、口の中は甘酸っぱいりんごの風味が広がった。
「……?!」
てっきり、お茶だと思っていたから驚いた。
だけど、その勘違いがクスッと笑えて、少しだけリラックスできた。
グラスの中のりんごジュースを半分ほど飲んだところで、私は意を決して口を開いた。
「研磨は私に名古屋へ行ってほしくないの?」
「そう言うわけじゃないけど……」
研磨は少しだけ目を伏せて、言葉を選んでいるようだった。
そして、ようやく続きを話し始めた。
「●●が決めた仕事は応援したいし、今の俺に止める権利はない」
「うん」
「だけど、変な虫が付かないか心配だし」
「アハハ、ないない」
予想外の言葉に、思わず笑ってしまった。
「口を開けばゲームの話しかしない私と付き合えるの、研磨くらいだよ」
研磨以外と恋愛経験のない私には想像しなかった心配事だった。
それを言うなら、逆に研磨の方が……。
と思ったけれど、研磨もほぼ引きこもってるから大丈夫かな。
そんなことを考えていると、研磨は少し拗ねたように、他の不安も打ち明けてきた。
「それと、もし●●が向こうで何かあっても直ぐに駆けつけられないし」
「東京から名古屋なんて新幹線で1時間半だよ?」
私はできるだけ明るく言った。
調べるまで知らなかったけれど、東京から名古屋は意外と近い。
頻繁には通えないにしろ、会おうと思えばいつでも会える。
「そうじゃなくて、ケガとか病気になって救急車に運ばれたとしても真っ先に連絡が行くのは家族でしょ。俺は●●の家族じゃないから」
「研磨……」
「俺も●●と家族になりたい」
研磨の真摯な言葉が響く。
「だから、籍だけ先に入れて欲しい。そしたら少しは安心して送り出せると思う」
驚きのあまり言葉が出なかった。
研磨がそこまで考えているなんて思わなかったから。
戸惑っていると、研磨は上目遣い気味に答えを求めてきた。
「返事は?」
その顔の破壊力が凄まじくて、
「あ、はい……」
私は気の抜けた声を出してしまった。
そうとも知らず、研磨は、
「両家顔合わせと、婚約指輪を見に行かないとな」
なんて、気の早いことを口にした。
就職活動は終えたけど、まだまだ忙しい日々が続きそうだ。
ーーFinーー
