負けは格好悪いですか
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静まり返ったコートに、烏野高校の歓喜の叫びが響き渡る。
誰もが白鳥沢のストレート勝ちを予想していた。
春高バレーの決勝で、あの絶対王者・白鳥沢学園が敗れた。
信じられない。
牛島君に会わないと……。
何故かそんな衝動にかられて、観客席から駆け降り、彼の元へ走った。
宮田さんに邪魔しないでと言われたけど、そんなことは関係ない。
体育館のロータリーを突き進んだ先に人影が見えた。
「牛島君!」
私の声に、牛島君はゆっくりと顔を上げた。
そこにいたのは、いつもの威厳に満ちた姿とは違い、ひどくうなだれた姿だった。
その表情には、勝利を逃した無念が色濃く浮かんでいる。
「◯◯……この間と逆だな」
牛島君は、そう絞り出すと、苦しそうに笑った。
その顔を見るのがツラくて、胸が締め付けられるようだった。
「せっかく◯◯が来てくれたから、優勝するところを見せたかった。格好悪いな」
その言葉に、私は首を横に振る。
「格好悪くない!」
精一杯の声で叫んだ。
「……あのとき、牛島君が言ってくれた言葉、嬉しかったよ。だから、私も伝えるね。……負けたって、格好良い!」
あの時、私が敗れた時にかけてくれた言葉。
その言葉がどれだけ私を救ってくれたか、伝えなきゃいけない気がした。
その言葉を聞いて、牛島君は微かに目を見開いた。
そして、少しだけ、本当にわずかだけれど、口角を上げた。
「◯◯は、こんな気持ちだったのか。悪くない」
そう微笑んだ牛島君は、さきほどの苦しそうな顔ではなくなっていた。
ほんの少しだけ、肩の力が抜けたように見えた。
「なんなら、胸だって貸すよ!」
私は両腕を大きく広げて、牛島君を包み込むようなジェスチャーを取った。
「ははは、そんなことをしたら◯◯が潰れてしまう」
「そ、そうだよね」
自分の大胆な行動に、今更ながら恥ずかしくなってくる。
行き場を失くした両腕が、気まずくて仕方ない。
顔が熱くなるのを感じた。
だけど、何かしたいという衝動は抑えきれず、私はもう一度、勇気を振り絞った。
「それなら代わりに……牛島君、少し屈んで?」
「こうか?」
牛島君は素直に私の言葉に従い、少し身を屈めてくれた。
目の前に差し出された頭に、そっと手を伸ばし、優しくポンポンと撫でた。
「よく頑張りました」
牛島君は驚いた顔をして、すぐに左手で口元を覆い隠した。
その仕草は、どこか照れているように見えた。
私もつられて顔が熱くなる。
「そろそろミーティングが始まる。◯◯も、暗くなる前に帰るといい」
そう言い残し、牛島君はチームメイトのところへ去っていった。
その背中には、いつもの威厳が戻っているように見えた。
ーーFinーー
誰もが白鳥沢のストレート勝ちを予想していた。
春高バレーの決勝で、あの絶対王者・白鳥沢学園が敗れた。
信じられない。
牛島君に会わないと……。
何故かそんな衝動にかられて、観客席から駆け降り、彼の元へ走った。
宮田さんに邪魔しないでと言われたけど、そんなことは関係ない。
体育館のロータリーを突き進んだ先に人影が見えた。
「牛島君!」
私の声に、牛島君はゆっくりと顔を上げた。
そこにいたのは、いつもの威厳に満ちた姿とは違い、ひどくうなだれた姿だった。
その表情には、勝利を逃した無念が色濃く浮かんでいる。
「◯◯……この間と逆だな」
牛島君は、そう絞り出すと、苦しそうに笑った。
その顔を見るのがツラくて、胸が締め付けられるようだった。
「せっかく◯◯が来てくれたから、優勝するところを見せたかった。格好悪いな」
その言葉に、私は首を横に振る。
「格好悪くない!」
精一杯の声で叫んだ。
「……あのとき、牛島君が言ってくれた言葉、嬉しかったよ。だから、私も伝えるね。……負けたって、格好良い!」
あの時、私が敗れた時にかけてくれた言葉。
その言葉がどれだけ私を救ってくれたか、伝えなきゃいけない気がした。
その言葉を聞いて、牛島君は微かに目を見開いた。
そして、少しだけ、本当にわずかだけれど、口角を上げた。
「◯◯は、こんな気持ちだったのか。悪くない」
そう微笑んだ牛島君は、さきほどの苦しそうな顔ではなくなっていた。
ほんの少しだけ、肩の力が抜けたように見えた。
「なんなら、胸だって貸すよ!」
私は両腕を大きく広げて、牛島君を包み込むようなジェスチャーを取った。
「ははは、そんなことをしたら◯◯が潰れてしまう」
「そ、そうだよね」
自分の大胆な行動に、今更ながら恥ずかしくなってくる。
行き場を失くした両腕が、気まずくて仕方ない。
顔が熱くなるのを感じた。
だけど、何かしたいという衝動は抑えきれず、私はもう一度、勇気を振り絞った。
「それなら代わりに……牛島君、少し屈んで?」
「こうか?」
牛島君は素直に私の言葉に従い、少し身を屈めてくれた。
目の前に差し出された頭に、そっと手を伸ばし、優しくポンポンと撫でた。
「よく頑張りました」
牛島君は驚いた顔をして、すぐに左手で口元を覆い隠した。
その仕草は、どこか照れているように見えた。
私もつられて顔が熱くなる。
「そろそろミーティングが始まる。◯◯も、暗くなる前に帰るといい」
そう言い残し、牛島君はチームメイトのところへ去っていった。
その背中には、いつもの威厳が戻っているように見えた。
ーーFinーー
